転職失敗談2
君のため
働く母親に転職市場は厳しく、K子さんはやむなく希望とは違う仕事を続けることになるが……。(→前編はこちら
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難航する産休交渉
転職後4カ月目にしての妊娠発覚。急遽予定を繰り上げ、入籍することになったK子さんでしたが、問題は仕事。しかし上司の反応ははかばかしくなく、
「この会社で産休をとって仕事を続けている人はいない」
「うちの仕事は子供をもった人にはハードすぎる」
 の一点張り。妊娠・出産を理由に解雇するのは法律違反ですが、
「幸いうちに入ってまだ時間もたっていないし……。君のためにもうちのためにもいい解決方法もあると思うが……。」
 などと、暗にK子さんの退職を望むような態度なのです。
 気の強いK子さんは本当に産休をとった人がいないのかと、女性社員に聞いてまわったのですが
「産休なんて聞いたことない」
「取ろうとした人はいたみたい。でも頑張ったけど、みんな結局ダメだった」
 と、戦っては倒れた先人の経験談がチラホラ。さらには
「最近はお盆休みもGWも日数減らされてるのに、産休みたいな長期の休暇、上がいい顔するはずがない」
 という分析までとびだし、K子さんは深いため息を漏らします。
 独身であれば仕事内容にも待遇にも不満の無いよい転職先だったものが、ひとたび自分の身の上が変わったために失敗した会社選びとなってしまったのです。
 結局K子さんは、転職したばかりの会社を半年弱で退職することに。退職後、K子さんは派遣会社へ登録し、ひとまず出産までの時間を短期の仕事を繰り返して乗り切りました。
口コミコンサルタント
そして出産後。幸い0才児保育をしている保育園が見つかったところで、改めて転職活動を開始。広告、WEB、人材紹介とあらゆる手段を試してみたのですが、小さな子供をもつ母親に転職市場は厳しいものでした。
「あなたのキャリアは魅力的なんだが、小さいお子さんがいるとどうしても急に休むこともあるでしょう」
 と敬遠されることが多く、そうでない場合は、
「うちは社員の生産性を重視しています。未婚既婚・子供の有無はいっさい不問ですが、他の社員より生産性が落ちた場合は即辞めてもらいます」
という至ってシビアな判断が下されるのです。
 転職先の要求と、家庭と、自分のやりたい仕事と、この三つを満たせる転職は難しく、その後もK子さんは派遣の仕事をいくつかこなす日々。
そんな時、学生時代の友人に「仕事を手伝ってほしい」と誘われます。友人は自宅の一角で幼児向けの知育塾を開いており、週に2〜3回何コマかの授業を受け持ってほしいというのです。教室自体はフランチャイズで、本部の教本に沿った進め方をすればよく、戸惑いながらもK子さんは新しい仕事になじんでいきました。この仕事がK子さんの新たな仕事の扉をあけることになります。
 土地柄のせいか、教室に通ってくる子どもは自営業や小さな事業経営者の家庭の子が多く、仕事の合間をぬって両親が送り迎えにやってくる姿が目立ちます。そんな中の一人があるとき世間話の中でK子さんにこう漏らしたのです。
「うちでも在庫管理など、全部パソコンにしてるんだけど、最近問屋のシステムが新しいのに変わっちゃってね、うちもそれにひっぱられて全取っ替えしたんだけど……これがまた使いにくくてね……」
 前職がSEだったK子さん昔取った杵柄です。その方面の仕事に餓えていたこともあって、あれこれと細かくアドバイスをしていたところ、その知識の抱負さが相手の目にとまり、
「K先生ができるんだったら、うちにあったシステムを作ってくれないかなぁ。今のを使いやすくしてくれるだけでもいい」
 この一言がきっかけで、K子さんは個人経営者向けのシステムを手掛けることになったのです。はじめは話をもってきた一店だけのつもりでした。しかしその仕事が地元商店街に口コミで広まり、商店街のITコンサルタントのようになってしまったのです。
無論、まだまだ教室の講師と二足のわらじが続きそうですが、自分のキャリアを捨てずにすむことが、何より嬉しそうに見えます。
サクセスポイント
今回はココが問題!
ターニングポイントを視野に
30代は男女ともに人生において変化の多い年代です。こうした人生のターニングポイントを迎えると、それまで快適だった職場環境があわなくなることもあります。女性は結婚や出産により勤務形態が、男性は収入面・待遇面などでミスマッチが起こりやすくなります。
これでサクセス!
職場の実態
就業規約や法律で認められた権利であっても、職場の雰囲気や前例で認められにくかったりすることも。ターニングポイントを視野にいれて転職する際は、文書だけでなく、就業規約が形骸化していないか見極めることも重要。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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