転職失敗談2
頼りになる先輩
A社に応募しようとしたYさんは、同社に学生時代の先輩が入社していることを思い出す。情報収集のため先輩を頼ったYさんだったが……。(→後編はこちら
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先輩社員から情報収集
「すこしのことにも、先達はあらまほしき事なり(ちょっとした事でも、案内役はあってほしいものだ)」と言ったのは「徒然草」の吉田兼好ですが、何事においても先を歩んだ人からの手助けは心強いものです。転職もまたしかり。

 このたびYさんはメーカーA社の企画職に応募することにしました。
 そこで思い出したのが学生時代、3年上の先輩だったMさんの事です。職種は違うもののMさんも何年か前に転職し、現在はA社の社員となっていたのです。
 この人脈を使わない手はありません。データでは分からないA社の色々な情報を集めようと、久しぶりにM先輩と連絡を取り、二人は会うことに。
「うちの会社は残業は多いし、楽な仕事ではない。大きな声で勧められないが、それでも入りたいと思うなら受けてみればいい」
まず開口一番、上っ面ではない辛口の意見が飛び出しました。しかし、それでもYさんはどうしてもA社を受けたいと説き続けていくうちに、
「俺も中途で入って人材をスカウトしたり、推薦したりする権限は無い。でも、どういう人間がウケがいいか、どうしたら内定が出るかならある程度分かると思う。そこまで言うなら自分が知っていることなら全部教えてやる」
 と、全面協力を申し出てくれたのです。
人脈と情報を握る
その言葉どおり、YさんはM先輩から採用試験に関する知識を山のように授けられることになりました。取り分け役に立ったのは
「今はどうかわからないが、俺の時の採用試験は……面接は……」
 というM先輩自身の体験談をまじえた試験の傾向。最初の面接時に職務経歴書を、次の選考では簡単な商品企画書を提出させられる事が分かりました。さらに、
「俺は別部署だからこの企画書提出は無かったが、入社してから聞いた話だと……」
 と社内からの視点で、ペーパーテストの対策までたててくれたのでした。
 そのおかげでYさんは一次の面接、二次のペーパーとぶっちぎりの成績で突破していったのです。その様子を内部からうかがっていたM先輩も、自分の指導が実を結んだと大喜びです。
「人事での評判もいいみたいだぞ。特に二次の企画書。なにせ他の応募者が提出したものと、出来が全然違ってたらしいからな」
 それもそのはず、A社の採用スタンスに忠実に忠実に書き上げた企画書なのです。他の応募者が出した一般的なそれとはウケが違って当たり前です。
 それもこれもM先輩という「先達」がいるがゆえの成功です。Yさんも他の応募者の手前、「ある種の反則技」と、引け目を感じないわけではありませんでしたが、
「何言ってる、転職は人脈と情報を握った者が先んじるのは当たり前だ」
 という先輩の励ましに弱気は影を潜めたのでした。

 そして最後の社長面接。もちろんこの面接前にもM先輩は「情報」を授けるのを忘れません。社長が好んで口にする話題、引用するニュースソース。好かれる人物像、相性の悪い人物像……それらを頭に叩き込み、いよいよYさんは最終面接に赴きました。

(→後編に続く)

pen2 M先輩という「参謀」を味方に、Yさんは抜群の成績で採用試験、社長面接をも突破。見事内定にこぎ着けるのだが、問題は入社後に……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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