転職失敗談2
頼りになる先輩
先輩との二人三脚が実を結び、Yさんは内定を獲得。しかしこの人間関係が入社後Yさんのポジションに大きな影響を与える……。(→前編はこちら
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入社後の誤算
M先輩をブレーンに徹底した傾向と対策を研究し、面接に挑んだYさん。
 最終の社長面接でもこの「M知識」は大いに役立ちました。社長が今一番力を入れているという社内環境改善策についての提言、さらには商品企画案を一点持参し、ボードを使ったプレゼンを展開するなどして社長の心をつかむのに成功。Yさんは内定を勝ち取ります。
 M先輩というブレーンがいたとはいえ、企画書やプレゼンなどの素材はYさんが一人で考え、制作したもの。しかし臆すること無く行動に移せた背景には、M先輩がもたらした知識、とりわけ「これはNG、これさえしなければOK」というラインが明確になっていたことがあげられます。内定の報を受け、
「これからは少しは俺の役にもたってくれよ」
 というM先輩の冗談に本気で応えたいと思うほど、Yさんは深く感謝していました。
 しかし、このディープな二人のつながりが、その後の会社生活に大きく影響していくことになるとは、まだYさんは知るよしもなかったのです。

 まずM先輩が急に愚痴っぽくなりはじめたことが最初の誤算。
「もう、お前もうちの社員になったから分かるだろう」
 と前置きしては、社員同士のトラブルから、あまり聞きたくもない不倫ネタまでYさん相手にこぼしまくるのです。あげく
「ほんとは俺、他の会社探してたんだよな……でも、お前がうちに入りたいっていうから、できるだけの協力はしたつもりだ」
 とまで。正直Yさんも
「今になってそんなこと言われても」
 と恨みたい気分に。M先輩にしてみれば、今まで中途採用者の視点で会社に違和感を感じても、率直に告げられる相手がいなかったのでしょう。Yさんの困惑をよそに、M先輩は堰を切ったように話し続けます。
決められていたイメージ
次の誤算は、後輩であるがゆえにM先輩の評判をモロにかぶってしまったこと。
 同じ企画部の先輩にS氏という社員がいました。過去の企画資料をみても目にとまるものはS氏の手によるものが多く、なんとか親しく話が聞ければ……と思うのですが、糸口が見つかりません。二人で作業する機会があっても、丁寧ですが他人行儀な対応でなかなか心を許してもらえないのです。Yさんも「そういう人」なのかと思っていたYさんですが、後に理由が分かって愕然とします。
 M先輩のアグレッシブな仕事スタイルはA社では浮いていたらしく、S氏をはじめとする一部の社員は「Mさんはちょっと苦手」と敬遠していたのです。その関係でYさんまで「あのMさんの後輩」と他の社員からなかなかYさんに心を許してもらえなかったというわけです。
「たしかにMさんの後輩だけど、自分は違う」
 と明言したいところですが、M先輩の力を借りて積極的にアピールし、内定を獲得した事実があるので複雑な心境です。
 M先輩にしても
「あいつの企画はセンスがない、雑なだけで力がない、真似しない方がいい」
 と散々の評価を下して、Yさんが接近することを喜んでいません。
 イチから転職したつもりが、すでに入社前から自分のカラーもポジションも決められている状態。そんな日々からYさんが脱却するには1年もかかりました。「実は辞めたかった」の言葉を守って、Mさんが二度目の転職でA社を出ていったのです。Yさんも頭の上の重しがとれ
「今から人間関係築き直しだ」
 と、遅まきながら心機一転。すでに「M派」として定着していたイメージを、ひとつひとつ払拭しようと奮闘中です。
サクセスポイント
今回はココが問題!
転職の相談相手
転職の相談相手としては大学の先輩や、別の企業につとめる先輩・同期というのは良い選択です。転職という相談内容は、年齢や立ち場が離れ過ぎても、また同じ職場の人間のように近すぎても良いアドバイスを得るのは難しいでしょう。
これでサクセス!
社員から情報収集
現役社員から生の声・社内の情報を得られれば、これほど力強いことはありません。しかし注意したいのはあくまで個人の視点であること。情報の一端であることを忘れずに。最終的な決断は転職者本人が下します。受けたアドバイスが負担にならないよう気をつけて。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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