転職失敗談2
オトコだって事務職
競争の激しい営業職から、内勤の事務職に転職を希望するBさん。しかし事務職はまだまだ女性が多く……。(→後編はこちら
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営業に疲れて
大昔、女性の仕事といえば多くは事務職を指したものでした。ひと昔前には女性の総合職進出が盛んになり、男女雇用機会均等法が登場。そして今、徐々に増えているのが事務職・専門職を希望する“男性”たちです。

25歳で人材紹介企業の扉を叩いたのは、営業職としてバリバリ活躍していたはずのBさん。大学を卒業し、大手電気メーカーの系列企業でずっと営業職をしてきました。聞けば誰もが知る名前を冠する企業。一頃のような安定感はなくなりましたが、それでも福利厚生の充実と給料の良さはピカイチです。そんな好条件の勤務先をなぜ退職したいのか、人材コンサルタントが尋ねたところ
「仕事がハンパじゃなくキツいんですよ。ノルマも凄いけどハッパをかける上司がキツくて、大半の営業マンは朝は始発、夜は終電。土曜はほとんど休日出勤で余裕もゆとりもありません。毎日ドッグレースの犬みたいなんです。この際、待遇や給料は下がってもいいので、内勤の事務職に転職したいんです」
 という返事が返ってきました。実際Bさんのようなケースは増えており、人見知りが強いので知った人の中で仕事がしたい、競争やノルマといったプレッシャーから解放されたい、といった理由から、 男性でも「内勤・事務職」を志願するようになっています。しかし
「内勤の仕事の募集もあるにはあります。雇用機会均等法ができ、性別を条件に選別することはできなくなりましたので、応募の面では男性にも門戸が開かれています。しかし、実際は女性の採用を想定していて、男性の応募者はとりあえず面接まで進めて不合格になることも多いのです」
不況で事務職自体の求人が減っている上、男性の採用はさらに難しいのが実態だと、人材コンサルタントは辛そうに説明しますが、今の仕事に嫌気がさしているBさんも退きません。
男性でも……
「比較的男性が多い事務職ですと経理関係や医療関係がありますが、いずれも転職市場では圧倒的に経験者が有利です。募集自体が少なくなりますが、総務・庶務関係ですとパソコン等の実践が必要になります」
「資格はありませんが、パソコンなら企画書やプレゼンでワード、エクセルは使ってました」
「内勤の事務は、職場にもよりますが、専門の仕事の他にいろいろと……雑用なども頼まれることも多いですよ」
「大丈夫です。ノルマがあるわけじゃないですから」
「ずっと同じメンバーの中で過ごすわけですから、人間関係がこじれると厄介ですよ。それに女性ばかりのなかで唯一の男性になる可能性もあります」
「それも大丈夫です。僕、姉が二人もいる末っ子なので」

しかし人材コンサルタントとの押し問答も虚しく、1週間たっても、2週間たっても、仕事の紹介はありません。「紹介会社だけに頼って、待っていても難しい」そう判断したBさんは並行して求人広告を探し、応募することにしました。
もっとも、最初から採用するつもりが無いのに形ばかり面接まで進むのは時間のムダ。そう考えたBさんは応募の前に一社一社問い合わせの電話をいれていきました。
「求人広告を拝見したのですが、この事務の募集は男性でも採用していただけますでしょうか」
 企業の反応は様々で、「採用に関することにはお答え出来ません」と木で鼻をくくったような回答もあれば、「性別は不問です」という理想的な回答、「女性が主力の職場ですので……」とほのめかしたり、中にはハッキリ「できれば女性をと考えております」と告げたところもありました。
 そんな中で手応えのありそうな企業2社を選び出し、Bさんは履歴書を送ることにしました。

(→後編に続く)

pen2 事務職の面接に向かうことになったBさん。事前に電話をかけた甲斐あって、面接の感触も好く、採用にまでこぎ着けるのだが……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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