転職失敗談2
メールマガジンお役立ち情報
会社が運営するサイトの責任者になった新人社員U君。会員数増加のためにあの手この手で奮闘するのだが……。(→後編はこちら
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サイト運営責任者
企業やショップのサイトでよくあるサービスの一つがメールマガジン。小泉首相も発行し、その発行部数が一時話題にもなりました。わざわざ購読しなくとも、ネットショップや企業サイトを利用すると自動的に送られるものも多く、メールアドレスを持っている人なら受信経験があるといってもいいでしょう。商用メールマガジンの場合、内容は大体新サービスや目玉商品の案内から始まり、ちょっとした商品知識のコラムなどを交え、編集後記代わりのエッセイなどで終わるのが一般的な形です。予定調和のお知らせだけに、未開封のまま削除されることも多かったりするのですが、意外な情報が見え隠れすることも……。

販売系企業のR社が集客と顧客情報収集のため、懸賞情報サイトを立ち上げたときのこと。サイトの開発・運営担当に任命されたのは、その年入社したばかりのU君。就職活動のネット活用経験を見込まれたことと、若いユーザーを顧客層に取り込みたいという企画からの抜擢でした。
プロジェクトチームのメンバーはU君と、彼の指示で動くアルバイトの女子学生が3人。立ち上げまでの間、実質的なサイトの開発業務は外注し、U君と3人のアルバイトは手分けして、プレゼント情報登録をお願いするメールをあちこちの企業やショップに発送したり、R社のサイトを他の懸賞情報サイトや検索サイトに登録したりと、ひたすら入力メインの地道な作業に徹しました。
そしてサイトオープン。瞬く間に最初のひと月が過ぎました。しかし、残念ながら会員登録数もサイトの訪問数も期待した数字を得ることはできなかったのです。
メールマガジンの役割
「この手の懸賞情報サイトは乱立していますから、新規参入は弱いですね」
「懸賞の情報を掲載しても、他サイトにも同じものが掲載されていますからね」
「じゃあ予算をもう10万出すから、それでうちからプレゼントを出そう。それを目玉にして、もっと大々的に告知してくれ」
“総額1億円”などの数字が踊る懸賞業界で、10万という予算では全然目立ちません。商品選びも一任されたU君は、小額の品物を多めに出すよりも一点豪華主義に絞り込む方がいいと主張し、人気のデジタルカメラの最新機種に決定しました。当選者数は少なくなりますが、逆にサイトの知名度がない点を逆手にとって「当たりやすいかも」という気にさせれば成功です。
今度はバナー広告も用意し、懸賞情報を他サイトに再度登録。ついでに、サイトの更新情報を掲載するメールマガジンも発行することになりました。無論、執筆・編集もU君の仕事です。
大学時代の論文などを別にすれば、文章を書くという経験は皆無といっていいU君。ライバルサイトのメールマガジンを読みあさり、時候の挨拶・新着の懸賞情報・サイト案内・編集後記という、必要最低限の構成を整えました。しかし、発行前に上司にチェックしてもらったところ、反応はいまひとつ。
「内容が少ない、そして固い。もっと読み物を載せたらどうだ。懸賞に当たるコツとか」 しかし懸賞に当たるコツなどU君にもわかりません。わかったところで上手く書く自信もありません。結局、
「無料のメルマガなんですから、最初から読者もそんな期待してないスよ。要は寂しくない程度で、読者に親近感を持ってもらって、購読を続けてもらえればOKなんじゃないスか?」  という先輩社員の助け舟(?)のおかげで、編集後記の部分を若干膨らませて、U君の日記風のエッセイを掲載することで決着しました。
かくして、社内の期待とそこそこの注目を集め、U君の日記コラムはスタートしました。しかし、これが後に思わぬ波紋を広げることになるとは、この時誰も予想していませんでした。

(→後編に続く)

pen2 そこそこ注目を集めつつ刊行されたメールマガジン。しかし予定調和の発行ペースの中、徐々に注目されなくなってゆき……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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