転職失敗談2
女の園
通販会社でオペレーターを束ねるTさん。販売キャンペーンをきっかけに、プロ意識に欠けるアルバイトオペレーターたちを改革しようと奮闘するのだが……。(→後編はこちら
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キャンペーンにかける熱意
通信販売の企業で勤務4年目のTさんは、最近コールセンターのスーパーバイザーに昇進したばかり。数十人のオペレーターを教育・指導・管理するという仕事です。入社当時はバイヤーの部門にいたTさん。コールセンター配属になった当初は対顧客の“最前線”にストレスばかり感じる日々でした。
 理不尽なクレームや、料金滞納などのトラブル、慣れない女性の集団に加えて、入れ替わりが激しいオペレーターの管理など、頭を抱えることが多く、何度辞めようと思ったかわかりません。しかし業務に慣れ、また昇進という転機から徐々に仕事に愛着を感じ始めているところでした。
そんな時、コールセンターにあるキャンペーンの通達が届きます。それは系列企業の化粧品の販売キャンペーンでした。オーダーなどで電話をかけてきた顧客に、オペレーターから商品の購入を勧めさせるというもの。目標数も設定され、膨大なサンプルも用意されて、会社としても入魂のセールスだとわかります。
Tさんとしても、ここは目標を達成しておきたいところ。さっそくトークの研修を実施し、実際の電話の際に必ずセールスをさせるようにしました。
ところが、Tさんをはじめとする社員側のキャンペーンにかける熱意が、オペレーターたちにはほとんど届いていないようなのです。
「甘え」を斬る
アルバイトとパートで大部分を占めるオペレーターたちは、このトークを「所詮受注作業のついで」と考えているのか、全く数字が上がってこないのです。
初日の契約数は0。翌日も0、3日目にやっとサンプル請求が数件あっただけという惨憺たる有様。
 このままでは目標達成など夢のまた夢と、Tさんも声を荒くして叱りましたが、
「すごいクレームが入って、そのフォローに追われて、電話件数自体が少なかったんです」
「返品処理のお客様で、とても別のものを勧めるなんてできませんでした」
「セールスをはじめたらお客様が立腹されて、オーダーもキャンセルにすると言われて……」
 などなど、言い訳がズラリ。これではいけないと焦ったTさん。ここは営業マンスタイルで少々厳しい手段にでることにしました。
 まず、朝礼で一人一人毎日の目標契約数を発表させ、
「自分で発表したことは必ず守って下さい。守れないときには、できるまで残業してもらいます」
 と喝。また全員の売上表を張り出して競争意識をあおります。
さらに、きちんとセールストークが実施されているか、電話をモニタリングしてチェック。トークがおざなりなオペレーターは呼び寄せて一言注意します。
 正直今までのオペレーターのあり方に、Tさんは決して満足してはいませんでした。ちょっとしたクレームだと、すぐに上の人間に頼ろうとするオペレーター。敬語があやふやで「お送りになられます」などの言い回しを平気でするオペレーター。動かせないシフトなのに朝になって「休みます」と電話してくるオペレーター……。どれも「所詮バイトだから」という甘えのせいだと、Tさんは思っていました。このキャンペーンをきっかけに“プロ意識”に目覚めてくれればと、指導にも力が入ったのです。
ところがTさんの願いは大きく裏切られることになります。オペレーターたちの間に流れたのはプロ意識ではなく、愚痴と不満。そして彼女たちの不満は、ある日限界を超えてしまうのです。

(→後編に続く)

pen2 熱意あるシゴキはオペレーターたちに受け入れられず、逆に意識改革を迫られるハメに。女の園の逆襲に、Tさんは窮地に立たされるが……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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