転職失敗談2
決定打
フランクな職場で採用が進んでいたMさん。しかし面接担当者の気軽な態度がMさんの判断を一転させる……。(→後編はこちら
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その名はプレジ
転職先を探す時、誰にとってもこだわりのポイントはありますが、どんなに良いと思った企業でも、この一点をクリアできなければ内定を辞退する、これがきっかけで入社をとりやめる、そんな判断基準が存在することがあります。
中堅メーカーO社で管理職のポジションにあったHさんは、ある外食産業の最終面接で社長室に招き入れられた時、ドアに掲げられていた「PRESIDENT」の文字で迷っていた内定を断る決心がつきました。というのも、Hさんの勤務先O社は数年前、ワンマン社長の独断で社内の役職名が英語に変えられるという過去を持っていたのです。社内組織の名称がすべて変更になり、名刺はもちろんカタログ・資料の類いもすべて刷り直し。ついでに実体のない肩書きも増えるという混乱も起こり「不相応の見栄を張る」「不必要だ」などと、社員の反発もかなりのものでした。結局これらの行為も経営悪化の要因のひとつとなり、Hさんも転職に至ったのです。
 もちろん、今回Hさんが内定辞退を決めた理由はこれだけではありませんでしたが、
「どこが悪いというわけではなかったけど、何となく決めかねていたところにあの文字を見てしまったから、今回は(入社を)辞めておく決心がついた」
 あの社長室の文字が決定打となってしまったのです。
疑惑の相づち
MさんはあるWEB関連企業C社に応募をし、順調に選考が進んでいました。C社は私服通勤とフラットな人事構成が生きていてフランクな職場という印象。担当者もMさんと同年代で話し易い雰囲気で、面接の段階から
「個人的にはぜひ一緒に働きたい」
「うちに来てくれたら、実際にはこんな仕事を……」
と早速先々のことまで話題にのぼり、おおいに会話も弾みました。
 Mさん自身もこうした雰囲気から、内定が出ればこのままC社に入社するんだろうなと、なんとなく決めかけていました。そんな時、次の面接のスケジュールに変更が出たと、C社側からMさんに電話がかかってきたのです。
 それまでいい関係を築きつつあったMさんとC社の間でしたから、特に大きな不安もなくMさんは電話口に出ました。
「……それで面接日の変更なのですが、○日・×日・△日の中でMさん、いつが都合いいですか?」
「そうですね……×日は都合が悪いのですが……」
「ふん」
「○日は時間が取れそうですが」
「ふん、ふん」
「△日は夜になりそうですね」
「ふーん……」
 このやりとりがあって、MさんはC社の社風を“フランク”から“だらしない”と感じるようになってしまいます。
「いくら気を許しているとはいえ、まだ入社前の人間です。採用側と応募側とは言っても人としての立場は対等なはず。社外の人間と話す時に『ふん』という相づちはどうかと思いますね」
 そういえば、あの段取りも悪かった、あそこもルーズそうだったと、これをきっかけにC社の不満点が一気に噴出。結局MさんはC社への入社を考え直すに至ったのです。
 Mさんの転職活動はまだ続きます。

(→後編に続く)

pen2 担当者の相づちが決定打になったMさんの転職活動。次に応募したところは、完璧なビジネスマナーで接してきたのだが……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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