転職失敗談2
家庭の仕事
結婚後も共働きを続けていたデザイナーのNさん。しかし帰宅が遅くなりがちなNさんに、夫は家庭に入ってほしいと頼むのだが……。(→後編はこちら
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共働きから家庭人へ
「寿退職」という言葉、昔と比べるとかなり耳にしなくなりました。女性の専業主婦希望が増えているとはいえ、不況の中実際の生活基盤を考えると、共働きを選択せざるを得ないケースも。
パッケージデザインの仕事に就いているNさんもその一人。仕事柄会社での勤務時間が長く、深夜の帰宅もしばしば。家事との両立は大変でした。それでも共働きを選んだ理由は、Nさん自身の仕事への愛着もありますが、結婚当初の夫の収入だけで生活するには不安があったことが挙げられます。
しかし最近、この問題点が改善されることになったのです。Nさんの夫がチ−ムの管理者に昇進し、給与もアップ。生活にも若干余裕が出てきました。こうなるとNさんの夫が今まで言えなかった希望を口にしはじめたのです。
「できたら、家にいてほしい
Nさんの家庭は、家事の主導権は妻であるNさんに完全に預けられており、特に料理分野はNさん任せ。Nさんの帰宅が遅くなる時、夫は彼女が帰ってくる深夜まで食事を待つ毎日で、そこで疲れて帰ったNさんが「今日は簡単なものでもいい?」といわれても「うん」と頷くだけでした。
「共働きである以上、家事はNが“好意”でしてくれていること。だから文句は言えなかったけれど、やっぱり帰った時ちゃんとしたご飯ができていて欲しかった。それを言うには僕が養うことが前提だった。でも、やっとそうなれそうだから」
 収入面から今まで言い出せなかったという言葉を、Nさんの夫はやっと切り出したのです。
思わぬ伏兵
夫の意思を聞いたNさんは悩みました。しかし残業、時には徹夜もある仕事の連続に少々疲れていたこともあり、会社に頼んで正社員から外注の契約制に切り替えてもらうことで、家にいる時間を作ることにしたのです。仕事は不定期な上、諸経費のことも考えると収入ダウンが予想されますが、このスタイルなら夕食を作って夫を迎えることができます。
夫婦の折り合いもつき、一件落着かというところでしたが、また新たなトラブルが勃発するのです。
 ここに登場するのがNさんの夫の母、つまり姑の存在です。姑は専業主婦で日頃時間を持て余しているせいか、Nさんが家庭に入ったという話を聞きつけると、電車で数十分の距離を頻繁に、時にはアポなしで遊びにくるようになったのです。
最初は普通に歓迎していたNさんですが、回数を重ねるごとに増える「ここが片付いてない」「夕飯は何を作るの?」「そんな料理じゃダメ」などの“姑チェック”に、ほとほと疲れるようになってしまいます。
何より困ったのは、不定期に入ってくる前の職場からの仕事の時。大抵時間に余裕の無い急ぎの仕事が多いため、締め切り前の忙しい頃合に姑の訪問がぶつかるとたまったものではありません。追い返せば角が立つし、相手をすれば締め切りまでに仕事が仕上がらない……。
 夫からそれとなく訪問を控えるよう頼んでもらっても、「家に一人でいてもつまんないでしょ」「仕事っていっても内職みたいなもんでしょう?そんなの集中してパパッとやれば出来るわよ」「そんなに忙しいんだったら、食事の支度してあげるわよ」と馬耳東風。
このまま家にいたのでは、仕事も満足に出来ないどころか、気が休まる暇も無い。追いつめられたNさんは、姑の来訪を拒む最後の選択として、「昼間うちにいなければいい」と考えるようになります。そう、もう一度働きに出ることを思いついたのです。

(→後編に続く)

pen2 追いつめられたNさんは再就職という手段を選ぶが、これには夫が大反対。夫と姑の間で頭を悩ませるNさんは……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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