転職失敗談2
評価するのは誰?
出向先で長期のプロジェクトに参加しているプログラマ−I氏は、年度末に提示された新給与を見て愕然とする……。(→後編はこちら
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年齢給・能力給
「上司に恵まれなかったら……」こんな人材派遣のテレビCMを時折目にすることがあります。上司との折り合いが悪い、仕事上で上司の理解が得られないなど、上司との関係は転職の大きな要素のひとつでしょう。

あるソフトウェアハウスに勤務するプログラマ−S氏は、勤務先での業務より、得意先に出向して作業する形態が多く、この時もメーカーN社に出向して1年以上になっていました。
 長期プロジェクトの場合、同じ作業が続くこともあり、技術職としてのスキルアップが止まってしまうと不満が生まれがちです。幸いS氏の場合は同じプロジェクト内で次々と新しい技術を吸収する必要があったため、N社チ−ムに入ったことがキャリアアップにつながり、また会社への貢献にもつながったと、S氏自身は強く実感していました。
 そんなS氏の不満は、春の昇級時期になって急に浮上してきたのです。
 年度末のある日、本来籍のある勤務先に戻って勤務状況を確認した時のこと。N社のプロジェクトが順調であることもあり、S氏の出向期間は自動的に夏まで延長されていました。
問題は年度をまたぐことによる昇級問題。給与・待遇の決定は当然、出向元であるS氏の会社が行います。明細を見てみると年齢給は若干上っていたものの、能力給の方はアップがなかったのです。
スキルと給与のちぐはぐ感
年齢給はその名の通り、年齢を経るごとに自動的にアップする枠。どんな社員も平等に年をとるとあって、そう大きな枠ではありません。年功序列が廃れたこともあり、この年齢給枠を撤廃する企業も少なくありません。
 S氏の場合、この自動昇級の年齢給が数百円アップしていただけで、能力給は元のまま。技術職として最も評価してほしい部分が上がっていなかったことは少なからずショックでした。
「1年前に比べるとかなりスキルアップもしたし、新しい技術も身につけた。N社のプロジェクトは問題なく動いてるし、契約も延長になったのに、給与を見るとそれがまったく反映されていない。能力0と言われているようなものだ」
実際作業をするのはN社、直接のプロジェクトリーダーも同じように別の企業から出向になっている人物。しかし実際に給与を決定するのは籍のある勤務先。このトライアングルの中で、微妙な勤務の現状が給与面に反映されにくくなっていたのです。
このまま外部に出向を続けると、スキルと給与がちぐはぐ感が進むのではないか……S氏の不安が膨らんでいた矢先、彼のもとに一通のメールが届きました。
「Subject:Kさん送別会のお知らせ」
Kさんとは、S氏の勤務先の先輩で先月退職した人物。退職が年度末の忙しい時期にぶつかっていたため、社内有志による送別会が、年度明けにずれ込んでいたのです。Kさんには以前のプロジェクトでお世話になっていたので、S氏は早速出席のメールを返信します。
 この送別会が、彼の転職魂を大いに刺激することになったのです。

(→後編に続く)

pen2 有志による送別会で会社への不満が噴出。自分だけではないという気持ちに突き動かされたI氏は……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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