転職失敗談2
評価するのは誰?
出向先での作業が多いプログラマーS氏。現場を知らない本社の給与判定に不満が募っていた折、先輩社員Kさんの送別会に出かけた……。(→前編はこちら
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“お墨付き”を手に入れろ
時期を改めたせいか、参加者は意外に少なくてS氏を含めても数人といったところ。主賓のKさんがすでに転職を果たしていることもあり、自然と話題は勤務先への不満、転職への興味に移っていきました。
「会社は個別の社員の勤務実態まで、きちんと把握できないんじゃないかな。今のままで、正しい評価は無理だと思ったから、俺は転職したんだけどね」
 Kさんはビールのジョッキを片手に語ります。まさにS氏が抱えていた不満と同じです。S氏の転職願望は一気にふくれあがります。
「転職を考えるんだったら、今のまま動いても同じことの繰り返しになるだろうね。給料アップまで視野にいれるなら、まず正しい評価を勝ち取らないと。会社にまかせておいても『できて当たり前』としか思ってくれないからね」
Kさん曰く、勤務先に正しい評価を期待せず、現場の上司や出向先にスキルを認めててもらうことが大切だといいます。Kさん、実は転職前も後も、同じ現場で働いているのです。出向元だけが変わった形になります。その際に、Kさんのキャリアやスキルに、現場の上司がお墨付きを出す形で推薦してくれたため、新しい出向元に好条件の雇用契約で移ることができたのだとか。
「それをやるには、まず普段から精一杯仕事をしておく必要があるけどね。クライアントが“ここまででいい”といっても、自分が納得するレベルがあるならその時点まで突き詰めて仕事をする。それぐらいやって初めて信頼してもらえるし、推薦もしてもらえるもんだ」
クライアントからの推薦
そういわれてS氏は行き詰まってしまいました。自分の限界まで出し切って仕事しているかと問われれば、やはりある程度のところで割り切っていたと言うしかありません。ヒマなときはそれなりに早く帰るし、仕事がなければ別の作業で時間を潰したことも。結果的に責任を果たせればOK、というドライなスタンスのS氏にとって、Kさんの「限界までがんばる」方式は違和感を感じてしまうのです。
 そこに口を開いたのが、同じく送別会に出席していたBさん。
「俺も今の会社のあり方には疑問を持ってる。が、自分の納得のために際限なく時間を使って作業するのはどうかと思うね」
Bさんは残業をしないことで社内でも有名なプログラマーで、年齢やキャリアからいってもそろそろ管理職に就くべきと目されていましたが、ずっと現場で働き続けている人物。そのスタンスが社内から奇異の目で見られたこともしばしばでした。
「そんなメリハリのない仕事の仕方が続けば、納期に無理がある場合でも“がんばればできる”で片付けられてしまう。今の会社の体質はまさに「残業すればいい」「がんばればいい」がまかり通っているし、そこが俺も問題だと思ってるから」
 Bさんはこの送別会から数日後、会社に退職届を提出。なんと自分の会社を設立したという話が伝わってきたのです。そういえば送別会で
「社長のやり方とは合わない」
を連呼していたBさんでしたが、まさか「自分のやり方」の会社を興すとは−。
 新しい職場を求めて、まったく違う方向性を見いだした二人に、S氏は多いに刺激を受けました。
 そして自分をもう一度冷静に見つめて出した答えは……「転職延期」。今転職しても給与や待遇がアップする保証は無く、残るにしても今の評価基準は気に入らない。かといってクライアントにお墨付きをもらえるかといえば、そこまでの仕事ぶりではないし、ましてや起業するのは……。先人二人の転身を目の当たりにして、
「自分はまだまだ転職を考えるレベルに達していない」
と確信したS氏は、転職も視野に入れつつ、とりあえずはもう少しスキルを磨いて自信をつけようと、日々の業務に戻っていきました。
サクセスポイント
今回はココが問題!
現場の声を届ける
人材派遣や出向など、雇用契約を結んだ企業と実際の職場が別の場合、現場の事実が雇用先に伝わりにくいもの。給与アップや待遇アップを望む場合、一番効き目があるのは、出向先、つまりクライアントの評価です。「できて当たり前」と済まされないよう、「よくやってくれている」「いいスキルを持っている」ときちんと評価してもらえれば、待遇や、転職時にも多いに役に立ちます。
これでサクセス!
派遣・出向先から採用
意外と多いのが、出向や人材派遣などで、一時的にプロジェクトに参加したスタッフを、そのまま雇用する形態です。特に派遣の場合、社員採用を前提とした「紹介予定派遣」というジャンルもあるくらいです。
採用側は中長期的な勤務の中で人柄や勤務態度・スキルを見極められるほか、契約が切れた時また新しいスタッフを雇い入れることを考えるとグッと効率的。就労側にとってもゆっくり企業体質や人間関係などを知ることができるため、契約終了時などに「よかったらこのまま……」という話になりやすいのだとか。また出向先ではなく、出向仲間が在籍する企業に引き抜かれることも。この場合もやはり決め手になるのは現場の実績・推薦です。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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