転職失敗談2
雑談面接
採用ラインに届かない応募者の面接を担当したOさん。いつものようににこやかな雑談で時間を過ごしたのだが、それが意外な結果に……。(→前編はこちら
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休日の予定は?
メーカーK社の採用担当Oさんは、面接でわざと話を脱線させるという話術を展開していました。これには応募者の建前を取り去り本音を引き出すという理由の他に、不採用になった応募者にもK社、ひいてはK社の商品に悪い印象を抱かせないようにという配慮からのことでした。
ある時、Oさんは24歳の女性・Fさんの面接を受け持つことになりました。事前に提出された履歴書や職務経歴書、簡単な適正テストの結果によると、Fさんは合格ラインギリギリ。採用は微妙ということで、
「これ以上は、実際会ってみてからの判断だな。一応呼んでみようか」
という意味合いでセッティングされた面接でした。
そんな情報も頭に入れながら、Oさんはいつもの脱線話術に磨きをかけて面接に挑みます。当のFさんはというと、はた目にも分かるほどガチガチに緊張して登場しました。どんな質問がくり出されるのかと、身を固くして待ち受けている彼女に、Oさんは開口一番、
「Fさんて、きっとA型でしょ?真面目そうだもんねえ」
休日ってどんなことしてる人?」
予想外の話題にFさんは最初戸惑っていたようですが、Oさんのにこやかでフレンドリーな対応に気分もほぐれ、会話も弾んでいきました。多少の仕事上の質問なども交えつつ、面接は45分ほどで終了しました。
どうしても働きたい
「今回は見送りですね」
面接終了後、Oさんが出した答えは厳しいものでした。一見すると弾んでいたようにみえる会話もOさんに言わせると、
「緊張していたせいもあるだろうけど、聞かれたことにだけ答えていて、コミニュケーション的につたない部分が多いし、その答えも先走りすぎてチグハグなこともあった」
と厳しい意見。少し話してみて、相性なども含めて「違う」と感じたOさんは、いつもの不採用者対策でにこやかに雑談をして面接を終了させたのでした。
結局当落ライン上の微妙さもあって、Fさんの採用は見送られることに。その後、不採用の通知を発送するよう手配し、Fさんに関わる選考作業は完了となるはずでした。
 ところが約1週間後。FさんからK社に電話がかかってきたのです。
「先日の面接の件で、Oさんにお話があるんです」
運悪くOさんは社外に出ていたため、電話に出た女性社員が代わりに対応しましたが、
「直接、Oさんとお話がしたいんです」
と、思いつめた声色。丁寧にOさんの不在をくり返し説明して、ようやくFさんはポツポツと口を開きはじめました。
「私、どうしても御社で働きたいんです」
不合格の通知は届いたものの、どうしても諦めきれないのだと言うのです。K社への愛着もさることながら、それよりOさんと同じ職場で働きたいという気持ちが強い。今までどこの面接でも冷たくあしらわれたり、威張った対応をされたりしていたが、Oさんは親切で、親身になって話を聞いてくれたばかりか、個人的な部分にも興味があるようだった……。
「私、Oさんと一緒に働きたいんです」
 こう言いながら電話口でしきりと鼻をすすり上げるFさんに、対応する女性社員は、驚きながらもOさんの脱線話術にも困ったものだと苦りきっていました。
サクセスポイント
今回はココが問題!
面接のポイント
会話が弾んだ、採用間違いなし!と思っていても不採用になるのが面接です。一見盛り上がっている会話でも、面接官ばかりが会話をリードしていたり、仕事の愚痴で盛り上がっていたり、転職してもくり返しそうな失敗を話してしまった場合、結果は厳しいものになるでしょう。面接で会話が弾むことは大切ですが、そこにとらわれすぎて本質を見失わないように。
これでサクセス!
自分の言葉で語る
面接は人と人の出会いですから、やはり重視されるのはコミニュケーション能力、そして企業と応募者の相性です。面接官は履歴書などの書類で分かることを二度聞くために会っているのではありません。また模範的な解答や、なんでも「できます、やれます」といった安請け合いを聞きたいわけでもありません。自分で考えた言葉で対話をすることが大切です。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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