転職失敗談2
副業探し
フリーの演奏者としての仕事をもっているUさん。収入面での物足りなさを解消するため、副業を探し始めたのですが……。(→後編はこちら
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したいことで食べていく
ネット環境にあると、イヤというほど舞い込むのが副業の勧誘DM。「わずかな元手で月収??万円」「空いた時間で収入倍増」など、件名にはあざといまでの甘い言葉が踊ります。そうそうオイシイ話はないと分かっていても、普段の定収入に加え、あと数万円あれば……と考えてしまうのが人間というもの。

大学時代から音楽活動に勤しみ、現在はフリーの演奏者として活動しているUさん。年月も着実に過ぎ、とうとう三十路を迎えてしまいました。普通に就職した同級生たちは、部下の一人や二人持つ責任ある仕事と、それに見合った収入を手にしています。妻子を持ち、家を買い、すっかり収まるところに収まってしまった友人も少なくありません。大学を出てすぐの頃は、
「俺は自分のしたいことで食っていく。収入のために我慢して会社に勤めるなんてこと、他のヤツはできても、俺にはできない」
ひとり気を吐いていたUさんでしたが、年齢を経て心身ともに落ち着き所を求めるようになったのでしょうか、最近やけに他の友人の仕事ぶりが気になるようになってきました。
演奏の仕事は何とか途切れずこなし続けていますが、同世代の男性と比べればアルバイト程度の収入。自分一人であればこそ生活できていますが、将来のことを考えて家庭を持つとなると心もとなく、もう少し仕事の幅を広げる必然性を感じ始めました。
取り残されるような脅迫観念にさいなまれていたUさん。なんとか収入をアップさせたい、でも今の仕事をあきらめるわけにはいかない。ということで、メインの仕事に加えて、副業を探すことにしました。
異彩を放つ三十路
Uさんにとって好ましいのは、現在の仕事の幅を広げるという意味も含め、音楽関連の仕事を探すことです。不定期に入る現在の演奏の仕事は逃したくないので、フルタイムの仕事ではなく、週に何度か勤める程度が理想的。
しかしというか、やはりというか、Uさんの理想にかなう仕事は少なく、見つかったのは月三回の趣味講座の音楽講師のアシスタント。とはいっても、講師の代わりに稽古をつけることなどほとんどなく、仕事は雑用が大半だったのです。それも仕方が無いとある程度割り切っているUさんでしたが、ストレスだったのは人間関係。講師陣はUさんと同年代。逆にUさんのアシスタント仲間は、二十代の若い学生アルバイトばかりだったのです。学生に混じり同じ世代の下につく存在も異彩なものでした。
しかも風貌に気を使わないUさんの気質が災いしてか、生徒たちの人気はイマイチで、ちょっとした質問を投げかける時も、キャリアやテクニックが遥かに劣る若手の学生に集中していました。
「生徒は素人。しかも趣味で習っているんだから仕方がない」
とあきらめ半分、憮然としながらも仕事を続けていたUさんでしたが、ある時本業の仕事とアシスタントの仕事がダブルブッキングするという事態に陥ってしまいました。苦渋の選択で講座の仕事を休ませて欲しいと申し出たところ、
「Uさん、そっちの仕事が大事だったら優先させた方がいいよ、これからも。見たところUさん、うちの仕事キツそうだしさ」
 なんとクビを言い渡されてしまったのです。

(→後編に続く)

pen2 退職勧告を受け次の仕事を探すことにしたUさん。プライドの高いUさんにとって副業探しの試練は続く……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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