転職失敗談2
雇用保険活用法
上司への不信感から衝動的に退職してしまったH君。雇用保険の失業等給付だけでも貰おうと、3ヶ月の給付制限期間をじっと待っていたのですが……。(→前編はこちら
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待たれる給付
ほぼ勝てると誰もが予想したコンペに失敗。社長以下の怒りや落胆は大きく、コンペ責任者の上司は叱責され、さらにその上司の風当たりはH君がモロにかぶることになってしまいます。
「だいたいこんな案じゃダメだったんだよ。最初からなってなかった」
まるでハナからH君の方向性が間違っていたと言わんばかり。これにはH君も反発し、
「でも、最初のチェックの時におっしゃいましたよね。『良くできた』って。それに途中で何度も確認して、その都度OKをいただいたじゃないですか」
「いや、こっちが意図していたものとまるで違うものだった。でも限られた時間の中で、Hに『どうしてもこれで』という熱意があったからな。それに押されてつい賭けてしまった」
上司はハナからH君が暴走し、それに引きずられてしまったのだ、と被害者的立場を強調するのです。
制作の途中で何度もチェックをし、軌道修正するチャンスはあったのに、なぜ認めないのか。一緒に路線を見誤ったと言ってくれないのか…。
結果が出た後になって『俺は最初からダメだと思った』と切り捨てる上司の態度に、不信感が限界を超えてしまったH君は、半ば衝動的に辞表を提出し、1ヶ月後には職場に別れを告げていました。もちろん、転職活動をする余裕などは、まったくありません。この機会に少し休みが欲しい気持ちもあり、またせっかく加入していた雇用保険ですから、この機会に失業の給付も受けてみたいと思い、ハローワークへ出かけて給付の申請を行いました。
もっとも、H君の意思による自発的な退職ですから、給付が始まるのは3ヶ月の給付制限の後。その間給付は貰えませんから、貯金や退職金を切り崩したり、短いアルバイトをしたりしながら、給付スタートを待つことになったのです。
自己都合 or 会社都合
そんな折、H君の以前の同僚と連絡を取りあう機会が訪れました。
「Hは早くに辞めて正解だったよ。あれからうちの部門はガタガタだったからね」
 仕事上の責任を分け合えないかつての上司は、やはりその後も失敗を繰り返しては部下を叱責し続け、とにかく人望を無くしていったということ。仕事上でも結果を出せないことが続き、結局採算が取れないという理由で、H君の古巣の部署は解散が決定してしまったというのです。
「社員は転勤か退職かを選べって言われてさ……。それも来月までに。参っちゃうよ」
 怒り心頭といった感じでこぼす同僚に、驚き半分“やっぱり”という気持ちのH君。しかし気になるのは、かつての上司の去就です。
「あの人は残るよ。うまいことやって別の部署の管理に収まって転勤もナシ。いろいろ部下を応援してるけど、口先だけで全然親身になってないって、もっぱらの評判だし」
 実は自分もあの上司には愛想がつきたので、この機会に退職しようと思っていると、同僚は続けて言いました。
「これから転職活動しようと思うんだけど、Hはもう決まってるの?」
「いや、せっかくだから失業の給付をもらおうと思って、給付が始まるまでゆっくり仕事探してる状態」
「あ、そうかHは自己都合だからまだ貰ってないんだっけ」
なんとこの機会に退職する同僚たちは“会社都合退職”となり、退職後すぐに失業の給付を貰えるというのです。先に辞めた自分より、後で辞める同僚の方が給付スタートが早いとは……。
「こんなことならもうちょっと辞めるのを待ってたらよかった……」
 給付を受けるため、窮屈な3ヶ月を過ごすH君にとっては、かつての上司や部門の成りゆきよりも、こちらの方がショックな事実だったようです。
サクセスポイント
今回はココが問題!
失業等給付
勤務中雇用保険に加入していた人は、退職後申請すれば失業等給付を受けることができます。支給を受けられる金額は、原則として離職の日の直前6ヶ月間の給与を180日で割った額の約5〜8割。期間は年齢や勤続期間などに応じ90日〜300日。ただし、給付開始は、会社都合の場合は資格者の認定から1週間、自己都合の場合は3ヶ月の待機が必要になります。
これでサクセス!
どちらがトクか
収入面での安定や、キャリア構築を考えた場合、失業等給付を受けながらゆっくり仕事を探す方が良いか、間をあけずに次の仕事につく方が良いか、給付開始の時期なども含めて判断すべきでしょう。
退職と同時に失業の認定は受けておき、給付は転職活動が長期化した場合の備えに。なお、早い段階で再就職できた場合は、再就職手当が支給されることがあります。支給の条件は細かく設定され、手続きも必要になりますが、知っておいて損はないでしょう。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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