転職失敗談2
転職の旬
経理マンとして安定した仕事に就いていたHさん。しかし学生時代の夢だったIT技術者への転職をあきらめきれず……。(→後編はこちら
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かつて見た夢
NHKの大河ドラマといえば1作が1年にもわたる大規模ドラマ。2年先、時には3年先のラインナップまで決定されているといいます。先日も翌々年の作品と主演が発表されましたが、その一方でささやかれているのが「旬」の問題。主演として発表されたのは、現在人気絶頂の女優。まさしく今、旬を迎えています。それだけに2年先のオンエアー時に、果たしてその人気が続いているか……という危惧です。変化の激しい芸能界では、2年先まで読み通すのは至難の業ともいえますが……。

 流通系の企業で経理を担当している26歳のHさん。実はIT系の技術職に就きたいという希望をずっと抱いていました。就職の時にチャレンジすることも考えたのですが、大学の専攻も経済学部のため専門の教育を受けたこともなく、独学でプログラミングをしてみたことがある程度。結局技術職にチャレンジすることなく現在の職場におさまってしまったのです。
 ところが、3年も同じ仕事を続けていると、毎日の仕事に対する“飽き”や“慣れ”も出てきます。
 そんなとき頭をもたげてくるのは、やはりかつて夢見た仕事。
 しかし今の経理という仕事からの転職は、就職の時以上に難しいものがあります。
 そこでHさん、一念発起し、就業後にスクールへ通うことを決心します。
 情報処理系の資格などを取り、それを足がかりにして未経験職種への転職を果たそうというのです。
二重生活
Hさんが選んだのは会社帰りのアクセスも便利な、ターミナル駅にあるスクールでした。よく見かけるお手軽なパソコン教室の類いではなく、きちんと国家資格を目指せる体制である点を重視し、専門性の高いところを選びました。
 申し込み後は担当の女性がつき、Hさんの希望を細かくヒアリング。コースをいくつか提案してきます。
「こちらの資格は、IT企業では国から取得するように言われているものなので、持っているといいかもしれませんね」
 そう勧められた資格を目標に決定。昼は職場、夜はスクールの二重生活がはじまりました。
 出だしはなかなか快調でした。ダラダラとした残業を改め、日頃の仕事もスピードアップ。
 また、曜日を決めて早く帰宅することも、周囲には
「運動不足気味なのでジムに通っている」
 とごまかし、理解を得ていました。
 ところが、通学が長期化すると、やはり少なからず問題が起こるようになりました。
 深夜まで資格の勉強をして、日中ウトウトすることがあったり、逆に決算前の繁忙期には残業を余儀なくされ、時間が取れない上に、自宅での勉強もおろそかになったり……。どうしても休みたくない授業の日でも、
「趣味のジム通い」
 と周囲に告げていたせいで、無理を言って帰ることもできません。社会人のつらいところです。
 結局、Hさんが目標とする資格を取れたのは、スクールに通い始めて2年後のことでした。

(→後編に続く)

pen2 ようやく手にした資格を武器に、Hさんの転職活動が始まった。しかしやはり「未経験」の壁は厚く……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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