転職失敗談2
立つ鳥跡を…
所属チームの業績不振で、信頼を寄せていた上司が豹変。仕事のあり方について埋められない溝を感じてしまったDさんは転職を思い立つが……。(→後編はこちら
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のれん分けの顛末
転職を心に決めた時、それとなく身辺整理を始める人は多いはず。少しずつ手持ちの資料を共有化していく。少しずつ仕事を周囲にシフトしていく……これらの作業は無論、周囲にバレないよう非常に神経を使うものです。

 DさんはIT系企業のA社に勤める企画担当。A社の商品企画室ではメイン媒体であるインターネットサイトの企画・運営チームが主流でしたが、Dさんが所属していたのは、その主流チームから派生した携帯系メディアの商品開発チーム。このチーム、
「我々の手でゆくゆくは事業部に昇格させよう!」
 というNリーダーの号令のもと集まったメンバーが経営陣を説得し、作り上げたといういきさつがあります。
 ところが、チーム結成からかなりたつ今でも、なかなか採算のとれる体制が作れず、焦ったNリーダーが「まずは受注ありき」とばかりに、当初の企画や商品ラインナップも無視した受注を受け続けるようになっていきます。
 結果、予定外の手間のかかる仕事が増え、開発スタッフが悲鳴をあげることに。一枚岩と思われたチームにも次第に不協和音が流れ始めたのでした。
 企画担当のDさんもNリーダーと意見が対立することが多くなりました。販売ルールを設けて、パッケージで売ろうとするDさんに対し、「今はとにかく数字」と、クライアントの要求に従い、どんどんカスタマイズを引き受けてしまうNリーダー。
「そんな細かい変更はすべきではありません。後々、他のクライアントが『あそこがやってるんだから』と同様の改変を要求してきたらどうするんですか。収拾つかないですよ!そもそもパッケージだからこの価格に抑えているんですよ。そこまでしてしまったら、他の商品にも影響が……」
「そんなこといっても、売れてないんだから仕方ないだろう!今はガイドラインより、まず顧客を集めないことには話にならん!いつまでも『新規事業ですから』では通らないんだぞ」
 結局はリーダーの意見に押し切られてしまいます。
その日に向けて
まるで商品企画などあってないような状況では、Dさんも本来の仕事どころではありません。スケジューリングで無理をさせる開発スタッフのアシストに回ることの方が多くなっていました。その点でもDさんの不満は増大中。
「結局Nリーダーは営業畑なんだよ。そりゃ数字は必要だけど、後先考えずに取ってくるんだもん。結局損するのはどこなんだよ」
 深夜の残業などで、開発スタッフ相手にこんな言葉を口にするDさんの姿がしばしば見られるようになりました。
 Dさんが転職を具体的に考えるようになったのもこのころ。なにせ本業が開店休業状態なのですから、色々と考える余裕も出てきます。
 「そろそろ潮時か」と思い立つと、Dさんは会社探しと平行して、職場での身辺整理を始めました。デスクに置きっぱなしだった書籍や私物を少しずつカバンの底にねじ込むようにして隠しながら持ち帰り、借りっ放しの資料もこれまたコッソリ書庫に返し……。他人に引き継ぐような業務は減っていたものの、ギリギリの引き継ぎでもスムーズにいくよう、引き渡すであろう書類もきちんとファイリングし、注意書きを。
 こうして“Xデー”を目指し着々と準備を整えていた時、Dさんに青天の霹靂ともいうべき事態が起こります。
「いろいろ検討したんだが、D君には携帯チームからウェブのチ−ムに異動してもらった方が、もっと活躍してもらえると思うんだが−」

(→後編に続く)

pen2 転職準備中に異動の内示を受けたDさん。この話受けるべきか、受けざるべきか……。すっかり転職モードだった気持ちも揺れ動いて……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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