転職失敗談2
敗戦処理担当
営業マネージャーTさんは開発出身。かつての知識と経験を生かし、営業からも技術者からも人望厚い人物だったが、そのため難しい仕事を任されて……。(→後編はこちら
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開発を知る営業
元プログラマーの経歴を持つTさんは、現在ソフトウェア開発A社の営業マネージャー。
「自分の技術はもう古いから」
 と開発の一線を退き、かつての経験を生かして開発者のまとめ役的な立場に転じた人物です。
 仕事の受注はもちろんのこと、案件に適した人材のコーディネート、プロジェクトに参加している技術者へのフォローなど、現場を知る強みで細かく対応。最近の技術者が知らない、古い言語の仕事が舞い込んだ時など、昔取った杵柄で開発の仕事に戻ることも。
 営業と開発の両面で、まさに八面六臂の活躍。加えて人当たりの良さもあり、各方面から頼りにされていました。
 そのせいか、微妙な気配りや高度な対応が求められる、難しい仕事を任されることが次第に増えてきました。
 そのひとつがクレーム対応。営業の誰かが安請け合いしてしまった、スケジューリングに失敗した、などなど、いずれもクライアントとの関係がこじれた案件を引き継ぎ、立て直すという仕事です。
納期厳守
ある時、A社は某大手企業の商品管理システムの開発を受注しました。
 A社はスタッフを集め、チームをまるごと出向させて開発にあたることに。
 気の抜けない案件とあって、わざわざ他の営業所にいた技術スタッフに白羽の矢を立ててリーダーに据え、信頼の置ける下請け企業から人材を派遣させてチームを編成。
 ところが、下請け企業が無理をしたらしく、この派遣スタッフの中にスキルの伴わない者が多分に混じっていたのです。
 最初のスタッフ収集でつまづいたことが運のつきで、そこからじわじわとスケジュールの遅延が発生。半年近くあった開発期間はあっという間に半分になりました。
 多少の遅れはどこの開発現場でもありがちなものですが、今回は開発の舵取りにも誤りがあったようで、途中で方向性まで大幅修正することに。残り3カ月というところで、開発はほぼ白紙に戻ってしまったのです。
 もちろんクライアント側は大いに立腹。内部では
「こんな会社、切ってしまえ」
 の声もあちこちから飛び出したとか。A社の社長以下が謝罪し、なんとか取りなして契約続行となったものの、クライアント側は
「当初の納期が守れるのであれば
 と一歩も譲らず、依然厳しい状態。
 とりあえずチームリーダーと一部のスタッフの更迭が決定し、ここに新リーダーとして投入されることになったのが、営業能力と技術知識の両方を兼ね備えたTさんだったのです。

(→後編に続く)

pen2 開発期間は半分。クライアント感情は最悪。頓挫しかけたプロジェクトの舵取りをまかされたTさんは、死にものぐるいで難局を乗りきるが……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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