転職失敗談2
てこずる部下
若手エンジニアNさんの部下になったのは、2つ年上のアルバイト青年F君。彼は企業と学校を行ったり来たりするモラトリアムで……。(→後編はこちら
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部下は年上
小さなソフトハウスA社の若手エンジニアNさん(25歳)が、初めて部下を持つことになりました。
 ただでさえ自分の仕事に没頭するタイプのNさん。この決定には嬉しさよりも、人を使うことへのとまどいの方が大きく感じられます。
 その上、Nさんを憂鬱にさせる事実は他にもありました。部下になるF君は、なんとNさんより二つ年上。しかも専門学校に籍を置く現役の学生だったのです。そのため出社も週3回。アルバイト待遇です。
 加えて、現在の専攻学科はアート系。技術系の学部にいたことも無く、この業界に興味があるわけでもないというのです。つまりは、年上で部外者の素人を部下に持つことになったのです。
 どう使っていいのか、Nさんは頭を抱えてしまいます。
 そもそもF君がNさんの部下と決まるまでには、かなりの紆余曲折があったのでした。

 F君は文系の大学を卒業。しかし内気すぎるのか、やる気が無さすぎるのか、就職先を決めることが出来ませんでした。
 卒業後は、たまに短期のアルバイトをしたり、カルチャーセンターに出入りしたりと、ブラブラすること1年。
 さすがに見かねた母親が、ツテを頼って就職先を見つけてきたものの長続きせず、あちらの会社、こちらのお店とコネで職場を転々とすること、さらに2年。
 その後、会社に落ち着くことが難しいと判断し、改めて専門学校に入学したのですが、二度目の学生生活も今年で2年目。また就職の心配をする時期がやってきました。
 しかし、F君本人には依然働く気力が欠けていたので、会社訪問も滞りがち。
 この状況に危機感を抱いた母親がまたもや奮起し、最後のコネをフル稼働させて探し出したのが、A社だったのです。
社長の条件
F君とA社を取り持ったのは、A社の取引先にF君の父親の知り合いが勤務していたという縁でした。
 コネというにはやや弱いつながりでしたが、もう後が無いと焦った母親が、自らA社に乗り込み涙と迫力でまとめ上げた話だったのです。
 A社では、しばしば紹介や人脈から中途採用を行ってきましたが、いずれも相応の技術力とキャリアを査定してのこと。
 採用を頼みに来た母親に、社長は情を交えた採用はしていないと、一度は断ったのですが、母親も引き下がりません。これまでのいきさつをすべて話し、
「こちらの皆さんがされているような仕事はとても勤まらないことは分かっています。下働きでもなんでも結構です。働くということを一から覚えさせてやってほしいんです」
 と平身低頭。困った社長が出した
「いきなり本採用というのは難しい。様子を見る意味も含めて、アルバイトということで週3回来れますか?さしあたって期間は3ヶ月。その間に見込みがないと判断したら、うちでは面倒見られません」
 という厳しい条件もすべて呑んだ上で、息子の身柄を預けていったのでした。

 こうしてF君はアルバイトとしてA社に出入りするようになりました。
 27歳とはいうものの、まったくの業界未経験。最初は総務に配され、事務の手伝いをすることから仕事をスタートさせたのでした。
 ところがF君、ここで最初のトラブルを巻き起こしたのです。

(→後編に続く)

pen2 働く気力に欠けるF君は社内どこの部署でも使い物にならない。あちこちの部署をたらい回しにされ、とうとうNさんのところへ……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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