転職失敗談2
てこずる部下
Nさんの指示した仕事がまったく出来ない、年上部下のF君。とうとうNさんは我慢の限界を超え、爆弾発言をしてしまう……。(→前編はこちら
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社内を転々
「社長、こんなこと言いたくないんですが、F君は全然使えません
 アルバイトF君を最初に受け入れた総務部の社員たちが、悲鳴をあげました。
 半時間ほどの書類の整理に半日かかる、お使いに出したら1時間の行程を、3時間半たっても帰ってこない……。
 元々やる気があって働いているわけではなく、むしろ嫌々通ってきている様子だというのです。
「F君一人では仕事にならないので、もうひとり付き添いの人間が必要になって、二度手間なんです」
 総務部の女性社員たちが、このままでは自分たちの仕事までおろそかになってしまうと訴え出たことから、F君はわずか10日ほどで別の部署へ移ることに。
 ところが、そこでも同様に失敗を繰り返し、結局また異動。こうして何カ所かを回ったあげく、とうとうエンジニアNさんの元に配されたのでした。
 元々年齢が上で、門外漢の学生というだけでも憂鬱だったNさんでしたが、ここに至るまでの状況を聞き、さらに気持ちが重くなります。
 やむなく、データベースの入力という単純な作業からやらせてみることにしました。それも急がなくてもいいものから与える気の遣いようでした。
 週3回、F君はのっそりと出勤してほとんど口をきかず、黙々と端末の前に座って、時間が来たらのっそり帰るという毎日。ようやく安定した仕事場を得たように見えました。
斬る男
しばらくたって、仕事の進み具合を窺ってみたNさんは、その出来に驚きあきれてしまいました。
 完了している分が、何一つ無かったのです。正確に言うと、1番目の項目だけが最初から最後まで入力してあり、次に2番目の項目……という具合に進めてあるのです。
「これでは効率が悪すぎる。少しは考えて作業してほしい」
 しかし改まらないばかりか、注意しても注意しても相変わらず同じ方法で作業を続けます。
 Nさんはとうとう堪忍袋の緒が切れてしまいました。
「どうしていつも勝手にするんですか?!指示したとおりにしてくださいよ」
 しかしF君は分かったのか分からないのか、黙ってうつむくばかり。
「どうして答えないんですか?」
 その瞬間、黙って聞いていたF君が唐突にぼろぼろと泣き始めたのです。
「僕だって、年上のFさんにこんなキツイこと言いたくないですよ。でも出来ないんなら出来ないと相談してくれないと……」
 なだめすかして話を聞くと、他人とコミュニケーションを取るのが苦手であること、一人でこつこつ作業をする方が向いていること。話が苦手でも、ゴッホやピカソなど天才的な仕事をする人間はいることなどを、ポツリポツリと話しはじめました。
 しかし相当頭に来ていたNさんは、
「でも、僕が一緒に働くんだったら、コミュニケーションを取れない天才より、話が通じる凡人の方がいいです
 バッサリ斬ってしまいました。
 結局その一件が引き金になり、F君は社長に願い出て退職していきました。

 ある日の社長室、Nさんはその顛末を社長から聞かされていました。
「社内あちこちたらい回しにされて、自分が勤まらないことにどこで気がつくか、それともどこが気づかせるかと様子を見てたんだけど、まさか若いN君がバッサリやるとはね」
 苦笑しながら話す社長のデスクには、年明け早々に届いたF君の母親からの年賀状が乗っていました。
「おかげさまで息子も、今年はバリバリと仕事に励んでいます……」
 印刷された挨拶文が少し哀しい、Nさんでした。
サクセスポイント
今回はココが問題!
年上の部下
進学や就職で足並みを揃えることも昔ほどではない現在、入社時期により、実年齢を別にして上司・部下の関係になるケースも増えてきました。
しかし、依然現場では「年上の部下は使いにくい」という意見が主流。これは外資系・技術系・販売系など、種類を問わない傾向です。
これでサクセス!
企業の欲しい年齢
年上の部下として敬遠されない為には、応募の段階で企業の欲しがっている年齢を読み取る必要があります。
募集要項に記す年齢は、多少余裕をもたせて高めに設定することがあります。また上司の年齢が29歳でも、キリが良いよう「30歳まで」と記載することも。「×歳〜」というように下限が決まっている場合は、下限に近い方が有利だったり。
ただ、どうしても応募したいという熱意があり、年齢枠を超えられるプラスアルファのアピールがあるなら、この限りではありません。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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