転職失敗談2
祭りの前夜
Yさんに疑問点と不満を箇条書きにしたメールを送ったH君。Yさんからの返信でさらに怒りが……。(→前編はこちら
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すれ違うメール
「残業はともかく、泊まり込みが当たり前になっているようなYさんのやり方は疑問です。以下の点について、Yさんの考えを聞かせてください」
 Yさんから残業の助っ人を依頼されたH君。こうした書き出しで、おかしいと思う点、改善すべき点を箇条書きにして、メールを返信しました。
 そして一昼夜待たされた後の、Yさんからの返事。
「私も今の形がベストとは思っていませんが、今はとにかく忙しいので後回しになったような形です。でもチームの問題はみんなの問題ですから、意見は聞いていきたいと思っています。がんばりましょう!」
 箇条書きに対する個別の返事は無し。当然H君の不信感は爆発します。
「スケジュールに無理があることは以前も指摘しました。そのことも含めて、僕が質問したことへの返事はもらえないんですね」
 これに返事がなければ、本気で上司も職場も見限るつもりで、再度Yさんに怒りのメールを送信しました。
 しかし、Yさんの返事は
「貴重な意見をありがとう。みんなで話し合って決めていきましょう」
 というサラッとしたものでした。
 メールというツールも悪かったのかもしれません。感情をぶつけてボルテージをあげてしまったH君、日常の忙しさを優先し、面倒なメールをサラリと流してしまったYさん。両者のすれ違いは決定的なものになってしまいました。
質問に答えて!
「経験を活かせる同業種の転職で、スケジューリングがしっかりしていて、計画性のある上司のところをお願いします」
 H君は人材紹介会社に来ていました。Yさんへの怒りもさめやらぬ様子で、強い口調で希望を言い切る姿に、コンサルタントもやや気圧され気味。
「とは申しましても、Hさんもこの業界におられればお分かりかと思いますが、スケジュールには多少の修正が入ることがほとんどです」
「いえ、修正や変更がすべて気に入らないのではありません」
 H君はそこで、Yさんがいかにいきあたりばったりの上司であるか、徹夜も楽しんでしまうお祭り好きな体質で、常に他人の手を借りることを前提にしているなど、思いの丈をぶちまけたのでした。
「……お話はよくわかりました。ですが、今のお話はこの場限りにされた方がいいでしょう。Hさんの印象を悪くしますから。こちらもその点には注意して企業をご紹介いたしますので」
 こうしてH君は転職活動をスタート。幸い充実したスキルを持つH君のところには連続して面接のスケジュールが入ってきました。
 ところが、にこやかに進んでいる面接でも、
「月間の残業時間は?深夜残業は常識的な範囲でしょうか?徹夜が通例になっているというようなことは?」
 と切り込むことを忘れません。そのせいで、
「残業に消極的な人だね。この仕事をしてれば絶対ないとは言えないのに、断固拒否しているようだ」
 と、乗り気だった企業サイドが降りてしまうことも。
「Hさん、残業についてのジャッジは、こちらに任せていただけませんか。せっかく経験もおありなのに、業界適応性が低いと判断されては損ですよ」
 みかねたコンサルタントが注意しても、
「確かにそうかもしれませんが、それにしても、こちらが聞いていることにきちんと答えてくれない会社なんて、どんなもんでしょうね。はぐらかされるような上司にはつきたくないんですよ」
 と、あくまで自衛行動だと主張。
 お祭り上司Yさんのトラウマは思ったより深刻なようです。
サクセスポイント
今回はココが問題!
面接での話し方
質問は回答の出来不出来より、会話を通じたコミュニケーションから人格を見る要素が大きいものです。ハキハキした返事が基本ですが、白黒はっきりさせようとする姿勢が過ぎると、理屈っぽい印象を与えてマイナスイメージに。
これでサクセス!
応答テクニック
知りたいことがあった場合、正面切って質問するより、多少オブラートに包んだり、柔らかいやりとりの中から探り出す方が実感できることもあります。
特に残業の有無などは、プライベートを仕事より優先する印象を与えがちなので、「したくないから」と言うよりも、「資格の勉強をしたいから」「余暇で新しい技術を身につけたいから」など、「××をしたいから残業の有無が気になる」という風に聞くとよいでしょう。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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