転職失敗談2
企業の採用力
コネクションで応募者を集めたH社。履歴書を前に面接のスケジュールが組まれるが、その順番が騒動のはじまりに……。(→前編はこちら
バックナンバー
面接はいつ?
役職者に号令をかけ、コネクションで中途採用の応募者を募ったH社。集められた履歴書を前に、面接の日程が組まれていきます。
新米主任のAさんがつれてきた後輩・B君は張り切って履歴書を送ったにもかかわらず、面接日程は2週間後と、どん尻
「早くに履歴書送ったのに、すまんな。うちの会社、いろいろ手際が悪くて」
Aさんは誘った手前、すまなそうです。
実は舞台裏では、H社の採用に不慣れな部分がもろに出ていたのでした。
集まった役員たちが各々「これがいい」「あれがいい」を連発し、絞り込めない候補者。
それと平行して「××チーフOK、○○リーダー未提出」と、応募者を探し出せなかった役職者の洗い出しに必死になる人事部員。
結局、全員を面接に呼ぶことに決めたものの、問題は順番。応募順にすべきか、興味のある順にすべきか……。落ち着いたのは、紹介者の役職順。それでB君の順番はずっと後になってしまったのです。
ところが、やっと順番を決めておきながら、なんとB君の番が巡ってくる前に採用が終了しそうな雲行きに。
「面接に時間が掛かってしまうので、全員に会うのはどうか……っていう意見が出てるんだ。社内の事情が変わって面接が延期になったとでも、中止になったとでも、言ってくれないか」
Aさんは上司のF氏からこんな言葉を掛けられ、仰天します。
いきあたりばったり採用
「どうしてですか?Bは僕の後輩ですけど、うちに入ることをすごく希望してて、面接の順番を後にされても、ずっと待ってたんです。それをいきなり理由もなしに中止だなんて言えませんよ!」
これでは済ませられないといきり立ったAさん。ここが勝負所と、強硬に食ってかかりました。
「履歴書だってイの一番に送ってきたじゃないですか。結果的には他の人と一緒でしたけど……」
と、F氏のミスもチクリ。そのことか、と短気なF氏は苛立ちの表情を浮かべます。
「もう決まりそうなヤツが出てきてるんだよ。それも二人も」
役職順に面接を行ったところ、早々に甲乙つけがたい人材が出現。どちらを採ったものかと、
「この誰々というのは、営業部長の××がつれてきた人材だからなあ」
「いや、それを言うなら、こっちはマネージャーの推薦ですよ」
バックボーンを考慮しながら、論議し合っているというのです。
しかも、それぞれを社長に会わせて決めてもらおうという話まで飛び出し、なしくずし的に「二次面接」に入りはじめているとか。
「ま、いきあたりばったりは、うちの身上だからな。しかたない」
「しかたないで済ませるんですか? これで他の応募先とか断ってたら、どう責任とるんですか!」
「しかたないもんは、しかたないだろう!俺に言われてもどうもできん、うるさいっ!」
最後はF氏のかんしゃくで幕をひいた形となりました。

どうにも収まらないAさんは、詫びの気持ちも込めてB君を夕食に誘ったのでした。
「すぐに怒り狂ってヘソを曲げる。まったく、やりにくい上司だよ。ほんとにオマエにも迷惑かけたなぁ……」
と、F氏への愚痴から始まり、酔った勢いも手伝って、Aさんはだんだん饒舌になっていきます。
「もー、このFってのが全然なってないんだよ。下には威張り散らして上にはイエスマン。オマエの履歴書だって書類に混ぜて忘れちゃうし……」
「じゃあ、履歴書送っても連絡がなかったのは……」
「そ、そ。こいつのせい」
履歴書紛失の真相から、面接の順番は紹介者の役職順であること、それも途中で気が変わって一部の人材だけで二次面接に入っていることなど、今回の採用中止の舞台裏を、全部ぶちまけてしまったのです。
すべてを話しすっきりしたのか、ピッチも上がるAさん。その傍らでB君は、
なんて会社を紹介してくれたんだ、この人は」
と表情をこわばらせ、ジョッキを握りしめていました。
サクセスポイント
今回はココが問題!
採用の段取り
採用側の都合でスケジュールが変更になることは少なくありません。しかしそれが二回三回と繰り返されたり、待たされる時間が長かったりするのなら、採用担当者の仕事の段取りに問題があったり、組織の体制が整っていないことが考えられます。
これでサクセス!
担当者の対応
対応に問題がある企業は、仕事内容が魅力的でも要注意です。仕事は面白くても、後々雇用契約や評価といった場面で不満が生まれることも。最初は採用側と応募者という関係でも、しっかりとした対応ができる企業を選びましょう。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
バックナンバー

▲ページのトップへ