転職失敗談2
エリート営業マンのユウウツ
エリート営業マンのEさんは、頭打ちの仕事と、高齢の両親を考え、Uターン転職を決意したのですが……。 (→後編はこちら
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将来への基盤づくり
Eさんは仕事に熱中し20代を駆け抜けた、独身の30代営業マン。はたと気づいてみると、離れて暮らす故郷の両親は高齢になっていました。Eさんは他に兄弟もいません。
口にこそ出さないものの、心細そうな両親の様子が年々気になっていました。
一方で、営業という仕事はEさんの気質に合っていました。成績はいたって優秀。深夜まで働き詰めに働くことにも面白さを感じていましたが、
「こういうスタイルは若さがあってこそ。いつまでも続けられる働き方じゃないな」
という考えも抱いていました。
しかし管理職ポストに空きは無く、頭打ち状態。同僚たちは
「団塊世代がごそっと抜けたら、ずいぶん風通しが良くなる」
と言い合っているものの、両親のことが頭にあるEさんはのんびり待つ気持ちになれません。
「このままでは両親を呼び寄せるにしても収入が心許ないし、第一線で走り続けるのも年齢的にそろそろ限界かもしれない」
そこで、ワークスタイルの見直しと両親との同居を基準に、Uターン転職を計画したのでした。
「今までのキャリアを活かして、地元の企業で、将来に備えた基盤を築きたいんです」
地元の企業紹介などを訊ね、希望を述べるものの、
「今までトップセールスを誇ってこられた方ですから、どの企業でも評価を得られるとは思いますが……なにぶんUターンですから、このあたりだと会社の規模も小さいし、仕事の内容も細かくなって、肩書きがついたとしても、どっかり構えるというわけにはいかないと思いますよ。年収の点でも……」
インセンティブや報奨金・残業代などで手取りを増やせたセールス時代と比べると、かなりダウンしてしまうのです。
ほんとに入りたいの?
結局Eさんは、収入についてはある程度のダウンはしょうがないと、Uターンを最優先に考えて転職活動を始めたのです。
しかし、地方での求人の間口の狭さは想像以上。ネックはやはり年収問題でした。
かなり抑えめに希望年収を提示しているにもかかわらず、
「へえー、結構もらってたんだねえ。さすが都会だ。でもうちではこれが精一杯だよ。こんな額、うちでは役員待遇だ」
と予期せぬダウン額を提示され、面食らってしまうこと数知れず。
「高齢の両親との同居を考えてのUターンです。多少の給与ダウンも考慮しております。とにかく地元へ移ることを最優先に」
と力説しても、
「こんなにもらってた人が、うちなんかの仕事じゃ満足できないよ。給料も安くってさ。ご両親も、今、介護しなきゃいけないとかじゃないんでしょ?」
と不安がられ、勘ぐられてしまうのです。中には、
「今までの採用っていったら、高卒で家事手伝いしてる女の子とかさ、社長の知り合いに頼まれたバイトの男の子とかさ、そんなのばっかりで、こういう“大物”はじめてなんだよ。正直何をどうしたもんかねえ……。あなた、ほんとにうちに入りたいの?」
と頭を抱える担当者も。
こうした企業を根気強く一社一社巡り、知人の紹介による面接を経て、ようやく地場産業のメーカーU社に入社が決まったのでした。

(→後編に続く)

pen2 ようやく果たしたUターン転職。しかし毛色の違うEさんに寄せる社員の期待は大きく……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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