転職失敗談2
女性ウケ
女性に苦手意識を抱くKさんは、仕事上でも女性にのまれてミスを連発。しかしあることをきっかけに、苦手意識が改善されていく……。(→後編はこちら
バックナンバー
女性恐怖症
 誰にでも苦手はあるもの。しかしそれが人類の半分、つまり異性であった場合、社会人としてはなかなか厄介です。
 Kさんは理数系学部出身の29歳。女性との縁が薄い学生時代を過ごし、苦手意識を持ったまま現在に至っていました。もちろん独身です。
 とはいえ、社会に出れば女性と仕事を共にするシーンも増えてきます。Kさんも徐々に慣れ、笑って話を合わせるぐらいまでは出来るようになりました。
 しかし相手の女性が長々と説明を続けたりすると、緊張からか、とんちんかんな返事をしてしまうことがしばしば。急に、
「Kさんはいかがですか?」
 などと話を振られようものなら、
「えーと、えーと、あの、あれでですね、えー、えー」
 と絶句してしまいます。
 ただこうしたことは、女性と面と向かい合ったり、電話で話したりする場合に限られていて、メールや書類は至ってシンプルでムダがなく、むしろ切れ味鋭い印象
 社内ではそんなKさんの気質も知られており、相手や周囲がうまくフォローしてくれていたのですが、問題は社外の人物と会う時でした。
 クライアントとの打ち合わせで、女性担当者がテキパキとニーズを突きつけてきた場合、Kさんはその場で即座に的確な対応をすることが出来ません。つい
「そうですね」
 とか
「はい、分かりました」
 などと相手のペースにのまれ、引き受けてしまうのです。当然、後から内部で大もめ。
「あのですね、あの、先日のお話なんですが、あの、えー、帰って上と相談したらですね、やっぱり……そのー……」
 と後日になって断ったり謝ったり。
「それならそうと、最初にちゃんと言って下さいよ」
 その度相手も憤慨です。

 このようなことが重なったせいでしょうか。いつしかKさんは胃に痛みを覚えるようになっていたのです。
運命の入院
 市販の胃薬を常用し、ごまかしながら毎日を過ごしていたKさん。しかし症状は一向に改善されず、とうとう社内の健康診断にひっかかって入院を言い渡されてしまいました。
 幸い精密検査の結果にたいした異常は見られず、入院期間は検査と静養をかねて一週間程度。
 しかし、この入院体験がKさんの女性への苦手意識に、変化を起こしたのです。
 なにせ看護士の多くは女性です。おはようからおやすみまで、いろいろな看護士たちと代わる代わる接していれば、多少は慣れようというもの。
 また職場を離れ、心身ともに休めたせいか、前ほどドモったり、言葉を失ったりすることも減っていました。

 看護士の中には、忙しそうにつっけんどんに話す人もいましたが、やさしく、Kさんのペースにあわせて耳を傾けてくれる人もいました。
 そのうちの一人に、手際が悪く、先輩看護士に注意されてばかりの新人女性がいたのです。
 まだ言われた事を愚直にこなすばかりで、注射もヘタ。自分にも似たその慌てぶりを見ていると、今まで自分がどんな風に見られていたかが分かるような気がします。
 彼女が担当になった時は、こちらから話しかけることも出来るほど、Kさんの中に、余裕のようなものが生まれていたのです。

 実はKさんは、以前から仕事内容に物足りなさを感じていたものの、一方で人見知りしやすく、特に女性に対しての苦手意識があることから、新しい環境に飛び込む勇気を持てずにいました。
 しかしこの入院をきっかけに、多少なりとも女性に対する自信を深めることが出来たKさんは、転職を本気で考えるようになったのです。

(→後編に続く)

pen2 女性への苦手意識が薄れたKさんは転職活動をスタート。ムダのない履歴書やレジュメで書類選考を次々突破していくが……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
バックナンバー

▲ページのトップへ