転職失敗談2
お願い!人員補充
同僚の退職により仕事が倍増したEさん。常々増員を申し出ていたが、一向に実現しない。その理由とは……。(→後編はこちら
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辞めていった同僚
 とある装飾関係の企業でのことです。以前から将来への不安を口にしていたOさんが、とうとう
「このままここにいても得るものが無い
 と周囲に宣言し、退職していってから3ヶ月。職場に残された同僚・Eさんたちにその影響が出始めていました。
 Eさんたちは百貨店や量販店などの店頭ディスプレイを請け負うプランナー。リサーチをもとにコンセプトを決定し、デザインを発注するのが仕事です。デスクワークから始まり、最後はディスプレイの納入に立ち合って、深夜の店舗で作業するというハードな日々。
 通常、入社から2〜3年もたつと次第に仕事を覚え、プランナーとして独り立ちしていくのですが、今回辞めていったOさんだけは、何が悪いのかなかなか上司から独り立ちを認められず、アシスタントや社内業務を担当していました。
 そのOさんが残していった仕事ですから、こまごまとした雑用がメイン。ルーティンワークに電話対応など、難しさは無いものの、Eさんたちにすれば面白みの少ない作業の数々です。
「これじゃ、イヤになって辞めるわな」
 引き継ぎを手分けした社員同士、改めて同僚の転職を当然のものと痛感していました。
 と、同時にそれぞれが達成感の少ない作業と手間を増やすことになり、微妙にイライラしはじめていたのです。
人手不足?
「そういえば、Oが辞めた後、誰か増やさないのかな」
「もう限界。誰か入れてほしいよ。そうそう電話にも出られないし」
 プランナー室は人の出入りも多く、また在室中のメンバーはほとんどが自分の電話や打ち合わせを行っているので、電話ひとつ取るのも一苦労。もともと面倒だと思っているものですから、つい
「誰か手が空いてる人が取ってくれれば……」
 とみんながみんな手を出さず、電話を鳴らせ続けてしまったり。
 Oさんの退職以後、電話のベルが鳴り響くことが多くなり、電話の相手に、
「お宅人手が足りてないの? あんまり出ないんで今日は休みかと思った」
 などと嫌みを言われるまでになってしまったのです。
 さすがにクレームが出たとあっては無視もできません。今が交渉どころと、Eさんは上司に増員の希望を出しました。ところが、
「甘えたことを言うな。どこの社員だって電話も取ればお茶も出す。プランナーだからといって特別扱いされると思うな」
 と、いつになく厳しい口調ではねつけられてしまったのです。
 この上司、以前は
「瑣末な作業に時間を取られるヒマがあったら、街や本屋を歩いて刺激を受けてこい。その方がプランナーにとってプラスになる」
 と言っていたのです。それがこの豹変ぶり。Eさんもびっくりです。
「でも一人抜けたことは確かなんです。そのしわ寄せが来ていることも現実問題なんです。僕らも会社にいるときは出来るだけのことをしますが、全員が出払ってしまった時にはどうするんですか」
 解せないEさん、なおも食い下がります。
「それも大丈夫だろう」
「どうしてですか?」
「Oが辞めるとき言ってたんだが……」

(→後編に続く)

pen2 職場への不満を漏らして辞めたOさんが、置き土産に残した言葉。それが意外な影響を持っていた。その言葉とは!?次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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