転職失敗談2
夫婦で社員
社内恋愛でゴールインしたKさんとH子さん。二人とも結婚後も同じ会社で仕事を続けることを希望していたのだが……。(→後編はこちら
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社内恋愛のゆくえ
 社内恋愛がめでたく成就! というとき、一昔前であれば女性が花束抱えて寿退社、と相場が決まっていましたが、最近は同じ部署の二人ならどちらかが異動になり、共に勤務を続ける姿も、多く見られるようになってきました。

 コンサルティング企業B社で、営業マンをしているKさんには、水面下で交際を続けていた女性がいました。それは5歳年下の同僚・H子さん。営業部の後輩として入社した彼女と、クライアントに同行して営業をかけたことがきっかけで急接近。3年の交際を経て結婚しようかということになったのです。
 早速営業部長に報告に行ったところ、まずは「おめでとう!」と祝福の言葉が。続いて、
「ところで、H子さんは仕事の方はどうするの。続けるの? 家庭に入るの?」
 H子さんは丁度仕事が面白くなった年頃。仕事を続けることを望み、Kさんもまたそれに賛成していました。
「仕事続けるんだ。ああ、良かった。転職なんかしないよね……?」
「それなんですが、今の職場に不満はないので、できればここで続けたいんですが……夫婦で同じ部署というのは」
「それだよ。最近H子さんを欲しいという部署があってね。コンサルなんだけど、どう?丁度いいタイミングだし、興味あったらそっちに行ってみないか?」
 H子さんはきめ細かい気配りで営業先での評判も上々。そこに目をつけたコンサルティング部門の上司が、いつか引き抜きたいと交渉していたと言うのです。
 B社では営業マンのステップアップの一つとして、コンサルタントになるというモデルケースがあり、コンサルを目指す人にとっては“あこがれのコース”。H子さんに不満はなくこの話を快諾します。
 夫になるKさんは、
「俺は新規開拓を続ける営業の方が性に合ってるけど、H子にはひとつの会社をじっくりケアする、コンサルの方が向いてると思ってた。よかったじゃないか!」
 と、こちらも祝福。
 かくしてH子さんが営業からコンサル部門に異動し、二人は同じ会社に通うという結婚生活をスタートさせたのでした。
繰り上がる予定
「今はいいけど、子供できたら大変よ〜」
「そうそう、残業も出来なくなるしね」
「××さんなんか、奥さんも残業続きで、結局奥さんの実家の隣に引っ越しちゃったわよ。子供の面倒はおじいちゃんおばあちゃんに丸投げだって」
「まあー。でもそれが一番いいかもね、あたしなんか……」
 結婚後、H子さんの周囲には同じ職場の“働く主婦”が集結し、あれやこれやと話題を提供してくれるようになりました。その話の成り行きは、決まって
「H子さん、今は二人とも同じように仕事できてるけど、ずっとこのままとは限らないわよ〜」
 と脅すように締めくくられるのです。
 彼女たちは夕方五時になると、そろって子供を迎えるため、飛び立つように帰宅していきます。そんな姿を見送り、漠然と自分の将来を思い描くH子さん。
「子供を持つのは2〜3年後と決めてるから、まあゆっくり考えていこう」
 とのんびり構えていたところ、その“兆し”は予想より早く訪れてしまったのです。
 結婚から1年半ほどたったころ、めでたく妊娠判定。H子さんKさん、ふたりにとっても予想外の出来事だったらしく、
「ギリギリまで仕事して、そのかわり産休は1年ほどとりたいけど……」
「この部屋もちょっと狭いし、引っ越しも考えないと……」
 あたふたと計画の繰り上げをすることに。
 幸い職場では、働く主婦・母の多いこともあって、H子さんの妊娠はあたたかく迎えられ、産休の申請も受理されただけでなく、しばらくの残業免除など勤務についてもきめ細かく対応してもらうことができました。
 こうして環境を整え、出産を待つ身になったH子さん。ところがそこへ新たなトラブルが降りかかってきたのです。

(→後編に続く)

pen2 出産を控えたH子さんを置いて、Kさんがあるものに熱中しはじめる。そのあるものとは。そして“働く主婦”連合の暗躍……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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