他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:001 ひとこと言わせて

転職者のRさんは、上司の期待に応えようと、周囲の働きぶりを見て自主的に仕事を覚え、与えられた以上のことをこなしていくが……。

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自主的な新人

仕事は自分で作り出すもの、“指示待ち族”は失格―これは、ビジネスシーンでよく聞かれるアドバイスの一つです。

最近中小企業A社に転職したRさん。A社側からの期待も大きく、

「新しい刺激になってほしい。君の目でみて新しい提案があればどんどん言ってくれ」

との言葉に押され、自信を持って出社の日を迎えました。

最初は過去の仕事に目を通す意味で、データファイルの制作を手伝うことに。

もはや新人という年でもないため、説明もサラっとしたもの。基本的に「周りを見て仕事を覚えて」状態です。張り切るRさん、最低限の質問や指示で仕事の幅を自分で広げていきます。作業手順もいつの間にか見よう見まねで覚え、他の人の仕事までカバー。常に常に自分に与えられた以上の分量をこなしていきます。

「必要だと思ったので、ここまでしておきました」

「……あ、ありがとう」

そして、ついでに

「ところで、この作業ならもっと効率いいソフトあると思いますよ。僕も持ってるんですけど……」

と、一言アドバイスも忘れません。

こうしたことも職場改革のひとつと、意気揚々と仕事をこなしていくRさん。

ところが、ある日いつもと同じようにマシンに向かい、共有データのフォルダにアクセスすると……

「あれ?」

作業用のデータがありません。

昨日までのやりかけのファイルも見当たらないのです。

「ここに置いておいた、やりかけのファイルなんですけど……」

「ああ、それはもういいから、Rさんこっちの仕事やってくれるかなぁ。指示通りでいいから」

そんな風にあっさりと別の仕事に振り替えられてしまったのです。

周囲の評価

いぶかしみながらもRさんは指示された仕事を進めていきます。無論、自分なりの提案を含めて。ところが、

「あのさ……Rさん、指示した通りにしてって言ったよね?」

「ええ、でもこの方が絶対いいと思いますが」

「いや、あの、困るんですよ。言いにくいんだけど、実はRさんがこの間やってた仕事、途中で終わりになったでしょう?あれも全部別の人がやり直したんですよ」

「え、でも、いいと思って……」

「Rさんが急にやり方を変えると、今までやってきたものと合わなくなるんですよ。ホントに、ホントに指示された通りにしてほしいんですよね」

「でも……」

Rさんが意気揚々と作業を進めていた裏で、他の社員たちはてんてこ舞いでした。

「教えてない操作やデータの場所も見て覚えちゃうんだから、優秀は優秀なんだけど、勝手に進めちゃうから困るんだよね」

「『自分はこんなにできます!』って得意そうに持ってくるでしょ、それが苦手」

「早く仕事覚えて主導権握りたいんだよ、きっと」

自主性のあるRさんゆえの暴走に、困りきっていたのです。

ただ、Rさんも良いことをしていると信じ切っているため、注意を素直に受け入れられません。

その後も、Rさんが創意工夫→周囲が注意→議論→周囲が修正、という悪循環を繰り返し、摩擦は深まるばかり。

周囲の評価は、はじめRさんに期待された「刺激と変化をもたらす人材」ではなく「言ったことをまるで聞かない自信家」に固まりつつありました。

そんなとき、社員の一人がある提案をします。

「Rさん、あのMさんと一緒にさせたらどうなるかな?」

Mさんというのはベテランの中年女性社員。キャリアはあるのですが、これがまた“難物”で通っている名物社員で……。

自己流で暴走するRさんを牽制する意味で、名物社員と名高いMさんが登場する。彼女が社内にその名を轟かせている理由とは……。
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文・イラスト:
山本ちず

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