他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:002 ひとこと言わせて

自己流で暴走するRさんに手を焼くリーダーは、ベテランの名物社員Mさんの元に彼を預けるが……。

≫前編を読む

変な自信家

「ああ〜。そういう方法もあるけど、私はねぇ……」

Mさんの声がミーティングルームに響くと、一同「またか」という表情を浮かべ、書類をめくったり、ペンを回したりし始めました。

“難物”で通っている名物社員Mさん。その正体は、他の社員より年齢が上ということもあり、良く言えばのびのび、悪く言えば周りの空気がまったく読めない人なのです。

「こういうやり方で行きましょう」

という作業手順の確認ミーティングでも、

「あっ、でもあのとき、××さんのパソコンが動かなかったでしょう?そういうとき困るわぁ……なんていうの?ウイルス?そういうのもあるしねえ、怖いわねえ」

話の腰をボキボキ折ってしまい、チームリーダーはイライラ。

「その話は後にして、先に確認を済ませましょう」

とやんわりたしなめたぐらいでは、自分が悪いことをしているとも実感しないよう。

「え?なんで?べつにいいじゃない」

とどこ吹く風。職場では一番といっていいほどのベテランなので、誰も厳しい口調で注意できず、彼女のマイペースぶりは一向に変わりません。

普段Mさんは毎日ルーティンワークをこなしているため、さほどトラブルにはならないものの、それが逆に彼女に変な自信を与えているような状況。

そのMさんに、暴走気味の新人Rさんを組ませてみたらどうなるだろう……そんなプランが語られるようになったのです。最初はただ単に、人の話を聞かない者同士をぶつけ、その様子を周りで見てみたいという試合を観戦する感覚でした。ところが、この冗談がリーダーの耳に入ったことで、具体的な話に発展してしまいます。

似た者同士の二人が一緒に仕事をすれば、お互い何か感じとるかも。少なくとも、Rさんだけでも何か考えてくれたら、今後のためになるのではないか……。

試合開始

というわけで、Mさんの仕事のアシストに入ることになったRさん。

「さあ、“ゴ●ラ VS ガ●ラ”の決戦開始だ!」

などと茶化す社員もおり、注目度大でしたが……。

派手にぶつかりあうかと思いきや、意外や意外。放っておいてもしゃべり続けるMさんと、人の話を聞かずに次々と仕事を進めるRさんは、妙に歯車が噛み合ってしまったようで、表面上は至極スムーズ。

それでいてMさんはというと、

「あの子は私があれこれ言ってやらないと分かんないんだから、ほんと忙しくなったわぁ」

とぼやき、一方でRさんも、

「あの人は勝手放題で、すぐ話が脱線してスマートに指示が出せなくて困る。いつも僕が先回りして汲み取ってやらないといけないんだから」

と非難。お互いが相手をこき下ろし、自分こそがデキる社員と自信を新たにしてしまったようです。これでは、

「君にも同じようなところがあるんだからね……」

とリーダーが“我がふり直せ”と注意しても、自信家だけにまったく効き目がありません。

「少しは謙虚になってくれるかと思ったけど、甘かった」

ある意味適材適所とはいえ、当初の“狙い”が外れてしまったリーダーと、周囲の社員たちは不完全燃焼。

……ところが、この微妙な均衡が崩れる日がやってきました。それは、二人が社用車で出かける仕事があったときのこと。Mさんは、免許はあるものの長年ペーパードライバー。Rさんがハンドルを握ったのですが、彼もさほど運転経験がある方ではありません。

緊張気味の外回りから帰って来たとき、Rさんの表情はゲッソリやつれていました。

「もうMさんにはこりごりですよっ。ペーパードライバーのくせに……」

ブレーキを踏むタイミング、ウィンカーを出すタイミング、合流するタイミング。それらを見定めている矢先に、

「ああっ、今っ!あ〜〜〜っ……ダメッ!あぶないっ」

などと、いちいち横合いから茶々を入れてきたあげく、

「あら?このナビおかしいわぁ。ね、ね、おかしいでしょ?ちょっと見てよ〜」

と肩を叩かんばかりに話しかけてくるため、Rさんもとうとう切れてしまいます。

「運転してるんで、ちょっと黙っててくれませんか?」

「ええー、なんでよぉ。ナビがおかしいから私が代わりにしてあげてるんじゃなーい」

その後も、「そこを右、やっぱり左、いや直進」と暴走ナビを繰り返し、ようやく会社にたどり着いたと思ったら、

「あー、怖かったぁ。もっと練習しときなさいよ」

とダメ出し。怒り心頭のRさんは、リーダーに溜め込んでいたものをぶつけます。

「あの人、人の意見に耳貸さないんですよ。自分の意見が絶対で、引くとか、折れるとか、考えたこともないんですかね!?」

「ふぅ」と一息ついて、リーダーは言いました。

……君も一緒だよ

と。

転職サクセスワンポイント講座

今回はココが問題!

転職者に注目

転職直後はどうしても職場の視線を集めるものです。どんな人柄か、ヤル気はあるのか、仕事のレベルは?直接聞いてこない人でも、静かに見ていると思っていいでしょう。

これでサクセス!

受け入れられる転職者とは

転職直後は特にヤル気を出しがちですが、やりすぎると受け入れ側が面食らい、浮いてしまうことも。職場に馴染んでから徐々に自分ができることをアピールしていきましょう。ただし自分のやり方に自信を持って『教えてやる』的な行動は御法度。前の職場と比べることも、聞かされる方はいい気分ではありません。

文・イラスト:
山本ちず

ソーシャルブックマークに登録 このページをYahoo!ブックマークに登録 このページをdel.icio.usに追加

▲ページのトップへ