他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:004 恋の狩人

塾の閉鎖のため、転職することになったFさん。友人の紹介で製品管理の仕事につき、会社員として勤務し始めるが……。

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さりげない拒否

サラリーマン経験の無さを不安がるFさんでしたが、彼が不慣れだったのは仕事だけではありません。

塾の元教え子たちと“ママゴト”のような恋愛ばかりしてきたFさんは、年齢相応の恋愛にも不慣れ。ただ、生来の惚れっぽさから、職場で恋愛沙汰を起こすまで時間はかかりませんでした。

ターゲットになったのは、アルバイトに来た女の子。Fさんから積極的に話しかけていき、昼休みともなればそばにベッタリ。しかし、彼女にはまるでその気がありません。

「バイトを初めたばかりだし、もめ事を起こしたくなかったんです。それに、後々気まずい思いをするのも嫌ですし。でもFさんは誤解しているようで、もうどうしたらいいのか……」

彼女からしてみれば、直接交際を申し込まれた訳ではないので、ハッキリ断るきっかけをつかめなかっただけ。結局、困り果てた彼女は先輩の女性パートに相談。そして、女性パートが男性社員に相談し、事態が明るみに。さっそくその男性社員が、

「Fさんさぁ、あのバイトの子とつきあってんの?」

とFさんに探りをいれてみたところ、

「いや、つきあってるっていうか……。彼女が『今は仕事を覚えるのに精一杯で、そういう事は考えられない』って言うので、その、待ってるっていうか……」

そんな風にまるで言葉の意味を読み取れていないFさんに、

「それって、フラれてんじゃん?

とは言いづらく、その場は引き下がったのでした。そして上司に報告。

「Fさん、彼女の口から決定的な言葉を聞くまで、あきらめられないみたいですね」

「そうか……」

「直接注意もしづらいですよ。世間擦れしてないタイプですから、自分以外の全員が、自らの失恋を先に知っていたとなったら、ショックで辞めちゃいかねませんよ」

困り果てた同僚たちが出した答えは、彼女の方には女性社員と行動を共にさせ、言い寄るスキを与えない、それとなく気のない雰囲気を醸し出させる、そしてそれと同時に、Fさんに別の相手をあてがうという作戦。

社内に合コン魔ともいうべき男性社員がいたため、彼に頼んで一席設けてもらうことにしたのです。

社会の洗礼

世慣れないFさんは、引っ張られるようにして出かけた合コンだったものの、その能力を遺憾なく発揮。新たなお相手を見つけ、携帯番号とアドレスを交換したのでした。

「あれからメール交換してるんですよ。今度の土曜に二人で会う約束もしたんですよ!」

などと、ウキウキ経過を合コン魔の社員に報告するFさん。彼の意識は完全に合コンの女の子の方にいってしまったようで、職場には平安が訪れました。ところが、

「ああ、惚れっぽい人で助かった」

と同僚は胸を撫で下ろしていましたが、週明けの月曜日にはどんよりした顔のFさんが出社してきたのです。

見かねた合コン魔の社員が聞いたところ、合コンで知り合った女の子にフラれてしまったのだとか。事の起こりは待ち合わせが近づくにつれて連絡がとれなくなったこと。

「何回かけても話し中なんです。何日も何日も……」

そりゃ着信拒否だよ、と内心突っ込む合コン魔の社員。しかし、そうは受けとめないのがFさんの純情なところ。

「彼女の身に何か起こったのかと思って、心配で心配で……」

不安になるあまり、Fさんはどんどん墓穴を掘っていきます。なんと、雑談の間に聞いただいたいの居住地区を手がかりに実家の電話番号を調べ、直接連絡をとってしまったのです。当然、彼女は驚き、逆上。

「いくら心配だからって、教えてない番号まで調べてかけてくるなんてほとんどストーカーでしょ。だいたい着信拒否も分かんないわけ?」

ただ、Fさんも売り言葉に買い言葉。最悪の結果に。

「約束が嫌ならちゃんと連絡しろよ。そもそもそっちがルール違反だ!だいたい、約束しといて酷いじゃない?心配するだろ……」

そのことについてブツブツこぼし続けるFさんの様子に、ため息をつく合コン魔の社員。

「やっぱり、僕には合コンみたいなものは向いてません」

そう宣言すると、すっかり以前同様。バイトの彼女を追いかけ回すようになってしまったのです。

……ところが数週間後、唐突にFさんは退職宣言をしたのです!

「短い間でしたが、本当にやりたい仕事ができそうなので」

なんと、閉鎖になった学習塾の同僚たちが集まり、もう一度塾を立ち上げたのです。そこでFさんにも手伝ってほしいと声がかかり、二つ返事で承諾したわけです。

「このまま残っても皆さんにご迷惑をおかけしますので……」

と挨拶するFさんに振り回された面々は内心、

「十分かけてるよ!」

と突っ込んでいました。

転職サクセスワンポイント講座

今回はココが問題!

知人の紹介

知人の紹介で転職する場合、仕事内容が気に入らなかった際、辞退に気を遣ったり入社後の退職が難しかったりと、煩わしい部分も多いもの。ただ、30代以降の転職の場合には、グッと有効な手段となります。注意すべき点をおさえれば、応募者にマッチした仕事を見つけ出すことができます。

これでサクセス!

紹介転職の注意

「気軽に」と言われても、すでに選考がスタートする可能性大なので、本当に気軽な気持ちでは会わない。紹介者の話だけに頼りすぎず、自分なりに情報収集をする。当の紹介者が勤務を続けていく意思があるのか、代替要員として望まれているのか、紹介理由が妥当か見極める。

文・イラスト:
山本ちず

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