他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:006 ネガティブ営業

化粧品から下着のセールスへと転職したIさん。今までの経験と人脈を活かし、瞬く間にトップセールスを誇るようになったが……。

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挨拶状営業

化粧品のトップセールス・ウーマンだったIさん。しかし、扱う商品の効果に疑問を感じ初めていました。そんなとき友人が始めた下着のセールスに興味を持ち、とうとう自分も転職してしまったのです。

Iさんが最初にしたのは、知人や化粧品時代のお客様に挨拶状を出すこと。他の転職者の同僚がゼロからのスタートで一軒一軒飛び込み訪問をしているとき、Iさんはそれまでの人脈にモノを言わせました。つまりは、挨拶状を受け取った人の多くからこんな声があがってくるのです。

「あら、Iさん商売替え?何か見せにきてよ」

お祝い代わりに一枚買ってあげようか、という嬉しいお返事。

そうしてお客様とお友達を集め、商品を見ながらのお茶会を企画。そこで試着を勧め、体にメリハリが出たり、バストが持ち上がったりしていることを示すのです。このような変化を目の当たりにすると、

「わー!全然違う!やせて見える!」

「ホント?」

と友達付き合いもあって、つい財布のひもも緩みがち。面白いようにまとまった注文が入ります。Iさんは、自分の勧める商品の目に見える効果を確認できたことで、強くやりがいを感じるようになりました。

こうして、新天地でもIさんはあっという間に営業トップグループのひとりに躍り出ました。ところがこの快進撃、ゆるやかに頭打ちになってしまいます……。

下着は消耗品といえども、化粧品ほどではありません。特に高い下着は購入者も大切に扱うせいか、一度売ってしまうと「次が欲しい」という声はなかなか起こりません。また、化粧品ほどは効能にバリエーションがありません。つまり、知人相手には一通り売ってしまったため、次が続かなくなったのです。

そこで当然、Iさんは新規顧客の獲得に乗り出します。

嫌われる真実

ここでも化粧品セールス時代の腕がモノを言い、新規獲得もお茶の子さいさい。

お客さんが警戒しがちな飛び込み営業でも、

「いらないものは売りません。欲しい方だけに見てもらえればいいので」

と、お手製のチラシやカタログを配布する“引きの営業”で関心をつかみ、

「いきなりお宅に上がり込むのもご心配でしょうから、お友達もご一緒の時で結構ですよ」

と安心感を持たせます。そうして見事に“お茶会”をセッティング。ここまではまさに、トントン拍子。調子が狂いはじめたのは、この先からでした。

「お客様の場合……ココッ、ここの贅肉が体のラインを崩してるんですッ!」

歯に布着せない営業方針のIさんは、化粧品時代のノリでバンバン勧めていきます。

「高いボディースーツで締めれば、そりゃ多少は締まりますよ?無理にでも締め続けることで体型は変わります。でも、無理しすぎて着なくなるんじゃ同じことですよ」

本人に必要ないものは勧めない、本当に必要だと思う事を言う。今まで通りのスタンスで繰り広げる、Iさんご自慢のセールストーク。ところが扱うものが変わったことにより、顧客の受け止め方も違ってしまうのです。

「私には効く下着なんか無いと言わんばかりだったわ」

「いかにも太いといった感じの事を言われて、大きいサイズばかり勧められたの」

「他ではMサイズなのに!失礼な」

こんなクレームがチラホラ、本部に入ってしまったのです。

ズバリとえぐるように問題点を指摘するIさんの営業手腕は、それを好む常連ならともかく、初めて会う相手には予想以上にキツく聞こえてしまうよう。しかも、ものが肌やメイクテクだけでなく、体全体ということでなおさら。

「このシミが消えれば若く見えます」

という説明に問題が無くても、

「ここの肉がとれれば若く見えますよ」

といってしまえば、失礼になるのです。つまり、本人が一番気にしていて、変えるにはかなりの努力が必要なことだけに、一層デリケートな対応が求められたのです。

その後、Iさんの営業方法は相手の出方を見ながら勧めるソフトタイプに変わり、それなりの成績をおさめるようになりました。しかし、残念なことに

「この人に本当に必要なのは、この商品じゃなくこっちなのに……」

という胸を締めつけられる想いを同時に抱くようにもなってしまいました。

転職サクセスワンポイント講座

今回はココが問題!

営業職の求人

営業職は転職市場でも目立つ職種です。未経験者の受け入れも少なくなく、まさに花形。しかし同時に、一言で「営業」と表現してもその実態は幅広く、なかなかひとくくりでは捉えられません。

これでサクセス!

様々な営業

また、ルート販売に近いものから完全な新規開拓、個人営業・法人営業という違いもあります。基本的に顧客のニーズを汲み取る力が必要ですが、それにプラスして金融系なら財務分析ができること、生保・損保系なら営業マン本人への信頼などと、業種別に必要になる能力が違ってきます。

文・イラスト:
山本ちず

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