他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:007 通勤スタイル

通勤に不便な住宅地から都心の職場に通うI子さん。しかし、長時間のバス&電車通勤に限界を感じはじめ……。

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朝の戦争

I子さんの父親が念願の庭付き一戸建てを購入したのは彼女が大学生の時でした。

父の書斎、母の茶室、姉妹それぞれの部屋に、愛犬には庭と小屋。家族それぞれに十分な居住スペースが与えられた代わりに、彼女の家族は最寄りターミナル駅までバスで1時間という、車無しでは暮らせない生活を送る事となったのです。

しかし、都心の会社で新人に自動車通勤を許可してくれるところは少なく、I子さんは泣く泣くバスと電車で通勤を始めました。

バスは朝のラッシュでも1時間に2本ほど。うまく乗り継げたとしてもターミナル駅からさらに電車で40分。ほんのちょっと寝坊しただけでバスに乗り遅れ、もう遅刻です。その度に自動車通勤している姉や父に頼み込み、車で送ってもらうのですが、度重なれば小言やイヤミも言われます。

会社の近くに一人暮らしをすることも考えましたが、お金がかかるということではなく、何よりI子さんの両親がそれを許さないとあって、やはり家から通勤を続けるという結論に落ち着きます。

…とはいえ、出勤するだけで喧嘩沙汰という物騒な朝の風景に、相当ウンザリしてきました。そして、ついに丁度仕事にも慣れて先が見え、面白味も薄れ初めていた頃、

「もっと近くか、車で通えるところに行ければいいのに。転職すれば?」

という友人の軽い一言がきっかけで、I子さんは本当に転職することにしてしまったのです。 生来運が強く、タイミングに恵まれてきたというI子さん。今回もたまたま目にした求人雑誌の広告がきっかけで、自動車通勤可、通勤時間トータル30分ほどという格好の職場に巡り会えたのでした。

歩み寄る影

新しい職場は前の職場とは逆方向にある、郊外の大型スポーツクラブ。そこで事務をすることになりました。

場所が場所ということで、従業員にも自動車通勤が許可されてはいましたが、配属になった部署の同僚はバス通勤が主流。ただ一人の例外は、毎朝2時間かけて都心から自転車で通勤してくるという、健康志向の強者の男性社員がいたぐらいです。

I子さんは念願だった自動車での通勤を開始。仕事にはすんなり馴染み、同僚ともすぐに仲良くなりました。

事務局の多くは女性社員。そしてその中心的存在は、パートから補充された30代後半〜40代の女性3人組。みな近隣からのバス通勤組ですが、これが文句タラタラ。

「いくらクラブの前にバス停があるっていってもねえ」

「終業が5時で、バスの時間が5時5分でしょ?なかなか間に合わないのよねー」

「そしたら次のバスが45分でしょ?その間ここにいてもする事無いし、残業代もつかないしさぁ」

「みなさん、車の運転はされないんですか?」

「ダメダメ。何年も乗ってないから怖くって」

「自転車の人もいるんですよね?」

そう毎朝駐車場で見かける男性の事を話題にしてみると、

「あー、あの人ねえ……」

「体力あるんだろうけど、正直事務職じゃあ意味ないよね」

「それにあの汗!体拭いたり着替えたりしてるけど、これからの季節は汗臭くて困るわよ」

と反応は散々。徹底的にコキおろすのです。

「ところでI子さんは何で通ってるの?車?」

I子さんがそうだと答えると、女性3人組の目が妖しく輝きました。

ターゲットになったのはI子さんの愛車。その日から車を巡る“3人組”との攻防が始まった!
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文・イラスト:
山本ちず

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