他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:008 通勤スタイル

自動車通勤ができるスポーツクラブに入社したI子さん。しかし、初日にして先輩女性たちから“洗礼”を受けてしまう。

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先輩の「足」

初出勤の一日も無事過ぎ、I子さんが帰り支度を整え駐車場の愛車に向かって歩いていたところへ、ドタバタと駆け寄る影が3つ。

「I子さぁ〜ん。実はね、あたしたちバス逃しちゃってさぁ」

「乗せてってくんない?いい?帰る方向一緒なんだわぁ。それにすぐそこだから。悪いわねぇ〜」

驚き面食らうI子さん。三婦人はごめんね、ごめんね、を連発しながら断る暇を与えません

「奥さん後ろ乗る?じゃあ、あたしが行くわ。降りるの最後になりそうだし」

などと言いながら、強引に車に乗り込んで来ました。

しかも、方向が同じだと言いながら三婦人はI子さんをあちこち引き回し、結局彼女はずいぶん遠回りをして家路につく羽目になるのでした。

「I子さぁ〜ん、早く帰りましょうよ〜」

初出勤の日以来、すっかりI子さんは三婦人の“足”にされる日々が続いていました。

最初は、バスに乗り遅れて困っている先輩社員のため、新しい職場での人間関係のためと、好意で言われるがまま車を提供したI子さん。

しかし、三婦人にとっては非常時の好意ではなく、“快適な帰宅”の幕開けのつもりだったようです。つまり、バスがあってもなくても、I子さんの車に乗ることが当たり前。彼女たちにしてみれば、

「1人乗るのも4人乗るのも、ガソリン代が変わるわけでもないし」

というノリ。でも、I子さんにとっては

「職場の先輩を乗せて気を遣うし、万一事故でも起こしたらと思うと怖くて仕方がない。最初の日にわざわざ回り道したのが当たり前のように思われるのも引っかかる」

と、心理的にも大きな負担になっていました。

もっとも、I子さんもだまって三婦人の言いなりになっていたわけではありません。終業時間が近くなるとわざと仕事を探して残業したり、用事を見つけて席を外したり。あの手この手で帰宅時間をずらし、逃げを打つようになりました。

三婦人があきらめ、しぶしぶバスで帰るのを見届けてから、やっと愛車に近寄づくのです。ただ、それでも見つかって、バス停から駆け戻ってこられたこともあるので気が抜けません。

ある時、そんな様子を見ていた同僚の男性社員が声をかけてきました。

いい方法

「I子さん、毎日大変みたいだね。車」

この男性、毎日2時間かけて自転車で通っているという例の社員。

「実は僕も前は車だったんだよ」

ところが今は、雨の日もカンカン照りの日もひたすら自転車。なぜ?……それというのも、

「僕も車で通ってた頃にあの人たちの標的にされてねえ。一度送ると二度、三度になるでしょ?」

そのうち、回り道も当たり前、運転手抜きで雑談に興じる、お菓子を食べるなど、どうにも我慢ができなくなり、もともと自転車好きだったことからキッパリ自転車通勤に切り替えたのだとか。

「それで、あの人たちに随分恨まれてねえ……今でも僕の悪口を言って回ってるみたいだけど。何か聞いてる?」

確かに汗臭いだの、デスクワークなのに体鍛えても無意味だのと散々聞かされたのには、こんな理由があったとは。

「だから君も気をつけて。あの人たちはホント限度を知らないからね」

そう言われても、もうロックオンされてしまった以上、逃げ続けるか送り続けるかしかありません。下手に自動車通勤を辞めれば、この男性同様何を言われるか……考えただけでも恐ろしい。

それから半年。I子さんは積極的に残業を入れまくり、三婦人の誘いを三回に一回程度に押さえながら勤務を続けていました。

しかし、ついに彼女の努力が報われる時が来たのです。勤務先のスポーツクラブが、新店舗を開く事になり、スタッフを何人か回して欲しいと本部から通達があったのです。そのメンバーにI子さんが選ばれたのです。その理由というのが、

「I子さんは自分から仕事を探すし、時間が来たらパッと帰ったりしない。責任感がある」

という上司の評価。三婦人の“送らせ攻撃”から逃げるための行動が、すっかり仕事熱心だと受けとられていたのです。

ただ、新しい教室は都市部。今までのように自動車通勤はできません。上司も

「入社半年の異動だから、I子さんが良ければの話だけど……」

と気を遣ってくれてはいましたが、自動車通勤にほとほと疲れ果てたI子さんはこの話を受けることに。周囲の反応は様々で三婦人といえば、

「せっかく仲良くなれたのにぃ。残念だわぁ」

と本当に悔しそう。そして、自転車通勤の男性社員はこっそり囁きます。

「I子さん、これから通勤大変になるねえ。いい方法を教えてあげようか。会社のそばに定期代と称して駐車場を借りるんだよ。そこまで車でいって、そこから自転車で出社したらいい」

これを聞いてピンときたI子さんは呆然。そして、それを見た男性社員はニヤリと笑って言いました。

「誰が夏の暑い盛りに2時間かけて走ってくると思う?」

転職サクセスワンポイント講座

今回はココが問題!

通勤手段

通勤に電車やバスを利用する人が大多数ですが、企業の方針や立地条件によっては自動車通勤も可能。社用車が足りないなどの理由でマイカー通勤を推奨する企業もありますが、一方で通勤中の事故を危惧して一切禁止する企業もあり、確認が必要です。

これでサクセス!

交通の便

自動車通勤ができる職場は主に郊外や、交通の便が悪いところにあります。そういった企業は事業所へのアクセスがネックになり、都市部に比べて応募者が集まりにくくなりがちです。ただ、対応できる通勤方法を選べるのであれば狙い目の企業とも言えます。

文・イラスト:
山本ちず

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