他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:009 カミナリおやじ

勤続30年、「酒好き・タバコ好き・働く女嫌い」という昔気質のN氏。しかし、部下の退職で一気に3人の女性を採用することになり……。

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旧型サラリーマン

物流事業を手がけるF社では若手の管理責任者を大々的に募集していました。入社した新人を鍛えるのは勤続30年になるN氏。このN氏は社内でも今や珍しい、昔気質のサラリーマンなのです。

タバコ好き、カラオケ好き。仕事帰りに一杯引っかけるのが、何よりも好き。また、ユーモアがあると思うのか、

「誰も電話に出んわ」

などのオヤジギャグを連発。若い社員たちが凍り付きつつ、お世辞笑いをするハメになります。

ただし、なんでも笑っておけばいいかといえば、そうでもありません。朝礼などで訓示に混ぜて

「商いは『飽きない』仕事だから続けられる。働くは『端を楽に』させること」

などと言うので、いつものギャグだと思いつい笑ってしまうと、後でガッツリ叱られるということに。しかも、怒らせると怖いのです。

こんなN氏でしたが、昔気質の彼の下で我慢できた人材は、気難しいクライアントでも粘り強く折衝することができ、頭を下げるべき時には躊躇なく謝罪できるよう成長したのは事実でした。

ただ、そうしたN氏のスタイルを“旧式”と批難し辞めていった人も少なくなく、他に大きな欠点があったのも問題になりました。それは、女子社員に注意されたり指示されたりするのが大の苦手だということ。

女性の社会進出が盛んな今でも、N氏の主義は

「女は家庭に入って子供を育て、夫を助けるのが一番」

ということで、働く女性を認めていないのです。しかも、男性社員が9割を超える職場にいるため、余計に女性社員を戦力と考えられないようなのです。

事務として5名の女性が同じ部署内にいましたが、誰に聞いても

「Nさんて、自分がヒマにしてても絶対電話取らないし」

「呼び出しても返事もしないでしょ。でも、もう一回呼ぶと怒るんだよね」

「いつも何か臭くない?タバコとかオヤジの整髪料とかの臭い」

悪評紛々です。

新人女子あらわる

さて、その女性社員のうち、3人が一斉に退職することになりました。1人は転職、2人は寿退社。

当然、5人中3人が辞めるとなると、かなりの打撃です。でも、せめて時期をずらせないかと、普通なら説得しそうなところですが、結婚退職を奨励するN氏は引き止めるどころか、諸手を上げて送り出してしまいます(残りの1人は黙殺)。

そこで、必然的に人員が補充されることになり、求人広告から3人の女性が選ばれました。1人目は真面目そうで口数も少ないAさん。2人目は夫の転勤で最近近隣に越して来たという、若くて快活な主婦のBさん。3人目はちょっとヤンキーっぽい雰囲気ながら、面倒見の良さそうな姉御肌のCさん。彼女が一番年上です。

自然とCさんがリーダーシップを取るようになり、どこへ行くのも一緒という状況に。職場のあちこちで固まっては雑談している姿も目につくようになりました。

そんな状況を“頑固オヤジ”のN氏が放っておくはずがありません。雑談が始まりそうな気配を感じるや否や、ビシバシと小言を飛ばしはじめました。

「無駄口たたくな、手を動かせ、お前らの無駄口に給料払ってるんじゃないんだぞ!」

とかなり辛口。Aさん、Bさんの両人が

「キツくてやりにくい人」

「あんな言い方しなくても……ねえ?」

と萎縮しつつ不満を抱く中、一人Cさんだけはケロっと

「はーい、すみませーん」

と謝るものの、しばらくすると懲りずに

「そーいえば、さぁ……」

とまた話を始めるのです。

さすがのN氏も、問題児のCさんを抱え、頭から湯気を立てる毎日を送ることになったのです。

叱られても一向に堪えないCさんに手を焼くN氏。そんな折、3人が休憩しているところへ居合わせてしまった彼は……。
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文・イラスト:
山本ちず

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