他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:010 カミナリおやじ

新人の3人娘を目の敵にするカミナリおやじのN氏。毎日小言の雨を降らせていたところ、ついに退職者が……。

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最初の退職者

N氏の小言は日を追うごとに多くなり、3人の新人女性もすぐに彼を煙たがり始めます。昼食や休憩時間は寄り集まっての愚痴大会

「人のする事にはいちいちうるさいクセに、自分は出て行ったら帰ってこないんだから。どこで何やってるんだか!」

「自分は掃除しなくていいと思って、机の周りとかホント汚いし」

中でも、もっともN氏に目の敵にされていたのが、ちょっとヤンキーっぽいCさん。

「ああいう人は、何言ったってムダムダ。もう年なんだから、適当に流しときゃいいのよ。掃除だってどーせ汚れるんだから、目立つとこだけやっとけば?」

ふてぶてしいのか世慣れているのか、一事が万事こんな調子。しかも、N氏のチェックは妙に厳しく、手抜きがバレては叱られ、それがさらに新たな愚痴を呼ぶという悪循環……。

そんなガス抜きがうまく機能していれば、ある程度職場のバランスは保っていられたのでしょうが、ある日均衡が崩れてしまいます。

いつものように、会社近くでランチを取っていた3人。

「私、もう限界……辞めたい!」

堪えかねたように爆発したのは、意外にも一番口数も少ないAさん。

彼女は元々努力家で、進学も就職も希望通り。たまたま前の職場が経営不振になったため、やむなく転職してきたのでした。大人しい性格のAさんは、N氏の指示をいつも真正面から受け止め、流すということが出来ません。その前の日も手に余る仕事を片付けようと残業していたところ、N氏がそこに通りかかりました。「女は結婚が一番」と固く信じるN氏は、

「こんなに遅くまで何をやってるんだ。まあ景気が悪いから仕方がないが、若い子が転職してまで続ける仕事なのか」

と口にしてしまったのです。

「いつもあれが悪いここが悪いって言われて、無理な変更も『それが仕事だ』って言うから残業してたのに!全部Nさんの言う通りにしてたのに、続ける意味が無いなんて言われたら、もうやっていけない!」

しかも、いつも3人一緒にいるということで目の敵にされ、人一倍小言も食らっていました。

真面目で今まで叱られることに慣れてないAさんにとって、N氏の叱責は想像以上のストレスになっていたのです。

ビルの谷間の煙

かくして3人の中で一番長続きしそうだと思われたAさんが、最初の退職者になりました。そして、最初の一人が出たことで、弾みがついたように次が続きます。

実は残った2人、BさんとCさんは喫煙者。しかし、職場の喫煙ルームは事実上男性専用状態でした。単純に数の上で劣る女性が入っていきにくいという雰囲気もあるのですが、N氏が女性の喫煙に強固に反対するため、というのが主な理由。

ですから、2人も一服する時はビルの裏手や非常階段などを選んでいました。しかし、その姿をとうとうN氏に押さえられてしまったのです。

「お前たち、こんなところでタバコなんか吸って!恥ずかしくないのか!他社の社員にだって見られるんだぞ!」

いつも以上に激しく叱りとばすN氏。特にBさんは既婚者ということもあり、

「だから働く女はろくなもんじゃない。旦那の仕事は大丈夫なのか?仕事してたら子供も作れないだろうに。だからタバコなんか吸うんだ!」

と八つ当たり気味に、ひときわ激しく攻撃されてしまったのです。そしてさらに、2人を並べて

「女はタバコなんか吸ったらダメなんだ。赤ん坊を産まなきゃいけないんだからな。そのくらいのことは分かるだろう?」

としみじみ注意を繰り返したのです。

その後解放されると、普段は朗らかなBさんも険しい表情で

「なんであの人にあそこまで言われなきゃいけないの?私がNさんの子供を産むわけでもないのに!」

と大激怒。ついには、辞意を固めてしまったのです。

一方、Cさんはというと、Bさんに調子を合わせてはいたものの、意外にも怒り度は低め。その後も変わらず勤務を続けていきました。

「私も若いときから随分タバコ吸ってきたけど、今どきあそこまで注意する人いないでしょ。ちょっとスゴいよね」

この一件をきっかけに、N氏をおせっかいな父親的存在として受け入れはじめていたのです。

とはいうものの、急に普段の言動が改まる訳でもなく、相変わらずCさんの仕事は手抜きやズルが多く、注意されても「は〜い」と軽い返事でどこ吹く風。N氏はN氏で反抗的な娘を持ったように、ギャンギャンと小言を浴びせる毎日。つまりは、まったく事態は変わっていないのです。

そうして、周囲の社員たちはこの奇妙なコンビを感慨深げに見守るようになりました。

「結局3人雇って残ったのは、叱られ慣れていたヤンキー娘だったか……」

転職サクセスワンポイント講座

今回はココが問題!

人間関係の難しさが転職理由

転職理由のかなり上位にランクするのが人間関係、特に上司とそりが合わないという理由が多い。毎日顔を合わせるのが辛い、嫌いな相手に査定されるのが耐え難い、好かれていないから評価が上がらないなど、実情は切実。ただ、転職活動中に面接でそのことを口にするのは避けるべき。ネガティブな内容だけに、採用側が「うちでも同様になるのでは」と警戒するかもしれません。

これでサクセス!

そりを合わせる方法

また、例え転職したとしても、合わない上司の下につく可能性はあります。もしそうなった場合には、「合わないな」と思った人とどうにかこうにか合わせていくしかないようです。上司に多くしゃべらせ、うなずきながら話を聞く、上司の行動を見習う、価値観の違いを感じさせないように振る舞う、はたまた日記やブログなどでガス抜きをする(ただし情報の取り扱いには注意!)など。ケースにあわせてうまく取り入れていきましょう。

文・イラスト:
山本ちず

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