他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:014 賞取りレース

実力を認めてくれない職場にいらだつKさん。より良い企業に転職することで見返そうと考え、強気の会社探しを始めるが……。

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狙え、逆転ホームラン

数々の賞をモノにしながら、転職先の社内コンテストは3年連続ノータイトルというKさん。周囲の視線も厳しくなり、「わざと賞を取らせないのか?」と疑心暗鬼になってしまう始末。これはもう限界だと再び転職することを決意したのですが、

「ただ普通に辞めただけでは、自分はこの会社でずっと“負け犬”として語り継がれてしまう」

どうせなら『さすが』と言われるような企業に移りたい。多くの人の目につくような仕事ができる職場に入りたい。今まで見下されてきた怨恨感情も手伝って、思いっきり転職のハードルを上げ、仕事探しを始めたのです。

Kさんは、クリエイティブ系の人脈やコンサルタントを積極的に活用し、

「今以上のレベルの規模、仕事内容の企業であること。外部の賞を狙えるような仕事筋であること。給与は少しならダウンしてもいいが、業界内で名の知れた企業であること」

強気の条件を提示し、相手をまごつかせます。

「ご希望通りの職場をすぐに見つけるのは難しいですね」

「いや、今すぐでなくてもいいんです。条件を下げる訳にはいかないので、逆に時間をかけて探したいんです」

しかし、あまりに難しい条件のせいで、

「それでは、ご希望にあった職場が見つかりましたら御連絡しますので……」

とはいうものの、それっきり連絡が途絶えるところがほとんど。時に、

「まったくピッタリという訳ではないのですが、かなりいい線だと思います」

と条件を拡大解釈して、会社情報を持ってきてくれるところもあったのですが、

「これでもいい線ですか?せっかくですけど、企業規模はともかく、最近いい仕事してるとは言えませんよね。引き続きもっとお願いしますよ」

相手が良かれと思って持ってくる情報を、歯に布着せず断ってしまいます。最後には親身になって気にかけてくれていた人まで、

「完璧な会社なんてないですよ。ここがイヤ、あそこがイヤ、他を持ってこいではわがままが過ぎる」

と怒り出し、新たに探してきた紹介会社でも

「Kさんが希望するようなお仕事は、正直中途採用者で補われることはほとんどありませんよ。どうしてもご希望というならフリーになられて、直接大手と契約をされたらどうですか?そういうことなら、うちのフリースタッフ部門にご登録いただけますよ」

と言われてしまうことに……。

しかし、転職を逆転ホームランにしようとこだわるKさんは、理想の転職が果たせるまで、なにがなんでも妥協を許しません。

ヒット作誕生

転職に固執する一方で、Kさんは仕事も続けていました。ただ、それは職場へのこだわりや期待はもうほとんど薄れていて、「離職後のブランクが転職には不利」という理由で籍を置いていただけのこと。

夜遅くまでの残業もやめ、休暇は積極的に消化。空いた時間はすべて仕事探しや、職務経歴書の推敲、仕事ファイルのデジタル化などに費やし、どちらかといえば、転職活動の合間を縫って仕事をするようになっていました。

ところが、何が幸いするか分かりません。片手間の作業と割り切ったことが良かったのか、手がけた広告の出足が好調という連絡が入ったのです。

いつもなら凝った構図にするところも、職場の過去の作例を参考にちょっとアレンジした程度。しかし、これで逆に力が抜けていい結果になったようなのです。広告効果もなかなかで、クライアントも満足。職場での反響も良いとくれば、社長もKさんを再評価します。

「これだよ、これ。やればできるじゃないか!」

と、手放しで賞賛。

「今年の作品賞は固いだろう。いやいや、K君はもともとうちに来る前もバリバリやってたタイトルホルダーだからな。みんなも色々教えてもらえ」

手のひらを返したように、とにかく褒めちぎるのです。過去を知らない新人は社長の言葉を素直に受け止め、Kさんにアドバイスを求め、休憩時間などに昔の受賞歴について質問をしてきたりとそばに寄ってくるようになりました。

職場での扱いがすっかり良くなったKさん。こうなると、もう転職活動はやめ腰を落ち着けるかと思いきや、

「大きい会社とか有名な会社とかにこだわりません。自分が納得するものを作れる職場なら、できるだけ早く移りたいです」

と殊勝に、真剣に、あいかわらず転職先を探すのです。

その理由は……

「あんな手抜きの作品を褒められて、かえってプライドが傷ついたんです。ここでありがたがられて居心地を良くしたら、自分の成長も止まってしまう。それを本気で心配したんです。一応職場からの評価はもらったので、心残りも完全になくなりましたしね」

後日、Kさんの作品は前評判通りその年のコンテストで入賞。それを見届けるように本人は会社を去っていきました。

愛社精神を育む意味もある社内コンテスト。ただ、それが転職意識を刺激してしまうという、皮肉な結果となったわけです。

転職サクセスワンポイント講座

今回はココが問題!

履歴書の賞罰

履歴書の賞罰欄には「公的な受賞歴」を記入し、「社内コンテスト」などは、職務経歴書に記入した方がいいでしょう。また学生時代の受賞については、大きなものや特にアピールしたいもの以外は書かなくても良いです。特になければ「賞罰なし」でOK。

これでサクセス!

社内コンテストの価値

社外では通用しないと思いがちの内部コンテスト。しかし、転職活動ではこれも重要なアピールポイントです。自己PRを裏打ちし、社内で評価されたという実証になります。特に営業職などは、受賞がそのまま営業実績を反映します。職務経歴書にはしっかり書きましょう。

文・イラスト:
山本ちず

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