他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:028 ゆがんだ愛社精神

研修を抜群の成績で乗り越え、売り場に立った期待の新人Mさん。販売員として大きく飛躍すると思いきや、想像もつかない行動に出て……。

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引きこもる新人

「Mさん、在庫チェックは棚卸しのときにちゃんとするから、できるだけ売り場に出て」今日もバックヤードに先輩販売員の声が響きます。

この度採用され、数々の研修をくぐりぬけてようやく店頭に立つようになった販売員Mさん。どんな珍妙な格好でも新商品であれば嬉々として身につける度胸と、ハンパではない商品知識でぶっちぎりで期待の新人として輝いていたMさんですが、いざ店頭に立つと意外にも評判はふるいません。

それというのも、あれほど接客に向いていると思ったMさんはことあるごとにバックヤードに走り、あまり売り場に立ちたがらない様子。

先輩販売員が注意するとしぶしぶ売り場に出てきますが、ローテーションで組む相手がかわると、またバックヤードに入ってしまうのです。

「いざというとき1人だと、接客に穴が開くから、店に出て!」と一度、全員が集まるミーティングでキツくお灸をすえられたMさん。これでようやく、必要以上に後ろに引っこむのをやめました。

しかし、一度収まったMさんの奇行は、秋口になるとまた再発しはじめたのです。

しばらくして、あるスタッフがMさんが入った日の後に限って、陳列棚に隙間が多いことに気付きました。

「商品が動いて空きができたら、ちゃんと補充して上がってください」とこれまた最初は注意ですませていたのですが、どうも商品が動いた訳ではなさそうなのです。

Mさんが休みの日、代わりに入っていた販売員が、あるお客様からの問い合わせを受けます。

「昨日のワンピース、やっぱり注文します。時間がかかっても入ってくるんですよね?」何の事かと、連絡票を見ても記載はなし。やむなく「どのワンピースでしょうか?お取り寄せでしたら、メーカーに商品があれば2、3日で入ってきますが……」とお客様に水を向けてみると、「昨日、お店の人に聞いたら、メーカーも欠品でものすごく時間がかかるし、入るかどうか分からないし、だったら他の店舗に行った方がいいって言われたんです」とのこと。聞いてみると、売れ筋路線でよく出回る欠品しているはずのない商品。この店舗にもちゃんと在庫があったはずです。

おかしいと思った販売員が在庫管理データを調べると、確かに商品が入っていました。しかし、店頭には影も形もないのです。

「また誰か品出しをさぼったな」販売員は内心舌打ちしながら、お客様にことわり、バックヤードに走りました。……そこで彼女は驚くべきものを発見します。

奇行の狙いは……

バックヤードのダンボールが折り重なるようにした奥の方に、この商品をはじめとする人気商品が押し込んであったのです。明らかに、隠すように。

驚きを隠し、何食わぬ顔で売り場に戻った販売員。

「今見てきましたら、かろうじて在庫がありました。欠品はこちらの手違いでした。申し訳ございません。ところで、お客様がいらっしゃったのは……」

謝りながらも、事の次第をサラリと聞き出す販売員。お客様は、昨日売り場にいた「すごいスカートをはいた女の人」に、欠品だと言われたと話してくれました。

昨日売り場にいたすごい格好の人となると、Mさんしかいません。

「そういえば」と、この販売員は思い出しました。最近Mさんがカレンダーを目にしては妙にソワソワしているのを。気になって話しかけてみたところ、「いよいよですね!ファミリーセール!」とかなり楽しみな様子で返事をしてきたのでした。

ファミリーセールとは、売れ残りやサンプル品などを、安く社員に販売する日のことで、社員にとっては秋の娯楽のひとつ。

「社員だったら随分安くなるんですよね?いくらぐらいですか?」

もともとこのメーカーのファンだったMさんは、これ以上ないというぐらい舞い上がって楽しみにしていたのです。そしてさらに、こうも言っていたのです。

「今年の商品も、残ってたら出るんですよね?」

翌日、休み明けのMさんを捕まえ、それとなく話を振ってみました。

「そういえば昨日、バックヤードに商品あったけど……あれは?」

「あ、おとり置き分です」

「ふーん。引き継ぎノートに書いといてくれた?」

「あ、すぐ取りにこなかったら売り場に戻そうと思って、そのままにしてました。すみません」

「そうなの……昨日、客注(取り寄せ)のお客さんきたけど、Mさんが接客した人?おとといも来たって言ってたけど」

「……さあ?」

「バックヤードにあった分で間に合ったから、客注かけずに処理したけど、それでよかったわよね?」

「ええ、もちろん」

こうして、またもやシレっと逃げられてしまいました。

しっぽをつかむには証拠が足りないと、追求はそこまでになりましたが、Mさん以外のスタッフの間には、彼女の動きから目を離さぬようにと、要注意の通達が回ったのでした。

転職サクセスワンポイント講座

今回はココが問題!

敬遠される愛

メーカーやエンターテイメント産業など商品に固定ファンがある有名企業は、社員優待セール目当ての応募も多い。中には、セールで購入した品を転売する人もいるため、企業は自社商品・サービスにだけ熱狂的な愛情を注ぐ応募者は、逆に敬遠することもあります。

これでサクセス!

企業への愛情表現

ただ単にその企業や商品を褒めても、面接では通用しません。すでにある過去のものへの“ラブレター”よりも、その歴史の上に将来に向けた自分なりのプランをアピールする方が効果的です。

文・イラスト:
山本ちず

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