他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:030 シニアの洗礼

シニア採用の契約社員を指導することになったKさん。しかし、貫禄負けしていてなかなか強気に出られない。すると次第にシニア層の態度が大きくなり……。

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父の姿

親ほどの年の差の契約社員I氏を、後輩に持ってしまったKさん。のっけから貫禄負けしながらも仕事の指示を出していましたが、入社時期が少ししか違わないことがバレるとI氏の態度は急変。Kさんを「君」付けで呼ぶようになります。

その時Kさんが、「一応、ここでは僕が仕事を教える立場です」としっかり、強く出ればよかったのです。ところがKさんは年配の男性を前に萎縮しきってしまい、なんだかうやむやに。それどころか機嫌を直して仕事をしてもらおうと、逆にへりくだってしまったのです。

「この作業お願いしたいんですけど……」

しかし、こうした態度が、よりI氏を増長させてしまいます。I氏はさらに態度を大きくし、Kさんの依頼を「それは、無理」などと一蹴。必要な作業手順を覚えることすらしなくなってしまいました。

これでは仕事になりません。Kさんもさすがにこのまま引き下がれないと、腰が引けながらも食い下がります。

「でも、昨日教えたのと同じやり方でできますから」

「覚えてない」

「でも……」

「できないものは、できないっ!」

とうとう逆ギレです。

このことがきっかけで、Kさんはシニアは手に負えないとサジを投げてしまいました。注意も指示も与えず、確実に覚えているであろう仕事だけを回し、あとは放置していたのです。

もちろん、I氏の態度を腹に据えかねていた社員は他にもいました。「もっとガツンと言ってやれ」「上にちゃんと報告すべきだ」と忠告してくる社員もいます。でも、どうしてもKさんは積極的な“反撃”に出られないのです。その理由は、「自分には辞めさせる権限もないし、上司に告げ口したりするのは性に合わない」という若い社員ならではの潔白さと、どうしても自分の親を連想することでした。

「息子くらいの年の社員に叱られて首にでもなったら寝覚めが悪い」ともうすぐ定年退職を迎える自分の父の姿を重ねて、どうしても強気に出られないのでした。

不満爆発

そんなKさんの気持ちを、放置されたI氏はまったく知りません。

仕事が回ってこなくなり、次第に時間を持て余すようになったI氏。不満を抱く人が暇になるとロクなことをしないもの。今度は、自分たちが契約社員であるのに、同じ仕事をしているKさんたちは正社員ということにこだわりはじめたのです。

同じシニアの契約社員グループで寄り集まり、Kさんら若手正社員たちの至らない点をあげつらって批判するのです。

「俺たちが上司だったらこんな仕事はさせない」だの、「あれでボーナス貰ってるんだから、結構なもんだ」「社員なら社員らしい仕事をしてみせろ。契約社員以上の」など。感じ悪くチラチラと盗み見ては、聞こえるように話し合っているのです。

それでもグッと耐えていたKさんでしたが、とうとうある若手社員が耐えかねて「言いたいことがあったらはっきり言え!」と食ってかかり、拳を振りあげてしまったのです。

すんでのところでKさんたちが止めに入り、最悪の事態は避けられたのですが、この一件でさすがに懲りたのか、それ以降シニア層は急に大人しくなりました。

ただ、することがないのは変わらず、一日中なんとなく職場にいて、少ない仕事をゆっくり時間をかけてこなして帰宅する毎日。

「職場というより、老人ホームやデイサービスに来ている人みたいだ」

大人しくなったのはいいが、そろそろ自分たちで身の振り方を考えてほしいと、あくまで“待ち”の姿勢を崩さないKさん。

「僕が何かアドバイスすると、どうせまた反発されるでしょうし。でも、これ以上ムダに会社にいるのであれば、いずれ上司に報告しなきゃいけません。そうなったらあの人たちも気の毒ですから……」

せっかく再就職できたのに、と最後まで突き放しきれないKさん。その優しさが結果的にシニア層を追いつめていることに、果たしてKさんは気付いているのか、いないのか――。

転職サクセスワンポイント講座

今回はココが問題!

社内世代格差

最近、採用を見送っていた企業が第2新卒などの若手を雇用する動きが顕著です。また、団塊世代が次々と定年を迎え、今回のようなシニアの再雇用という事例も増えるでしょう。世代の離れた社員との人間関係が重要という職場は今後増えると思われます。

これでサクセス!

世代をつなぐ世代

さまざまな世代が入り乱れる中で、重宝されるのが30代の人材です。30代での転職はキャリアやスキルに加え、世代間の人間関係がキーワードになります。若手と中高年をつなぎ、指示するだけでもされるだけでもダメという、ヒューマンスキルの高さを求められるのです。幅広い世代との仕事経験が強みになる世代と言えるでしょう。

文・イラスト:
山本ちず

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