他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:036 悪いクセ

アドバイザーの指導のもと、トークのクセをひとつひとつ直していったFさん。素直さが前に出るようになり、2次、3次と選考を進めていけるようになったのだが……。

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指導のおかげ

形式張った話し方をしない」

「受け答えは素直に。説明はその後で」

「一方的に話し続けるのはダメ」

「ヤリ手と思わせる必要はありません」

「まず好感度をあげること」

こうしたアドバイザーの忠告に従い、今まで叩き込まれたトークの癖をひとつひとつ直していったFさん。模擬面接を繰り返し、ようやくこれなら大丈夫、という応答ができるようになったところで、いよいよ実際の面接に打って出たのです。

今まで軒並み1次面接でご縁がなくなっていたFさん。特訓の効果が出たのか、ポツポツと2次面接のご案内が舞い込むようになりました。

「これもご指導のおかげですよ。ありがとうございます!」

感激のあまりお礼を言うFさんに、アドバイザーはまだまだ厳しい顔で、「選考はまだ途中ですから、まだまだ気を緩めてはいけませんよ。頑張ってくださいね」と気を引き締めるよう忠告するのを忘れませんでした。

一方、Fさんは面接が進み、同じ担当者と2度、3度と顔をあわせているうち、次第にリラックスして面接に臨むようになります。

時には冗談も口にし、饒舌に語るようになると、担当者に「Fさんは固い印象がありましたが、意外に親しみ易いキャラクターだったんですね」と驚かれるようになったのです。

こうしてFさんの本領が発揮されたことで、ご縁がなくなる企業もありましたが、「明るくて、ポジティブな印象。初回の面接のときは、必要最低限のことしか話さないので、ちょっと暗い人かと思ったんですが……安心しました」と評価をいい方に改める企業も残っていたのです。しかし、これがFさんのリミッターを解除してしまいました……。

最後の質問

こうなると、アドバイザーの「気を緩めるな」のアドバイスもつい忘れがちになります。

3次面接にFさんは意気揚々と乗り込み、かつての営業トークを展開。相手も「うんうん」と耳を傾けてくれたこともあり、非常に気持ちよく話し続けてしまいました。

Fさんがひたすら話し続ける面接も終わりに近づき、面接担当者は“お約束”の質問を投げてきました。

「最後に、何か質問はありませんか」

「特にございません」

間髪入れずそう答え、面接は終了。担当者は書類をまとめ、Fさんも面接のお礼を述べて立ち上がりかけました。と、そこで、

「あ、そうだ……最後に1点、いいでしょうか?御社では……」

Fさんは、荷物片手に付け足すように質問を再開し始めました。実は、これもFさんがかつて叩き込まれた営業トーク術のひとつ。

「もう終わった」と相手が気を緩めたときに、核心を突く質問を投げかけることで本音を引き出し、相手の胸中にグッと近づくというもの。同様のテクニックが登場する名ドラマにちなんで、“コロンボ作戦”と名付けられたトーク手法でした。

最後の最後に、これをやってしまったFさん。面接官はすでに撤収準備をしていたため、反応は微妙です。一通りFさんのトークを聞いていましたが、いつ終わるとも分からない調子で話し続けるため、焦れた担当者が途中でカットイン。

「……そういうことは、時間内に言ってもらいたかったですね。この後、他の会議が入ってますし」

とキツく宣告されたのでした。

後日、アドバイザーを通じてFさんの元に「残念ながら……」の結果が届いていました。事の顛末を先方からすでに聞いていたアドバイザー。Fさんを問いただしたところ、

「もうこれで面接も終わりだと思うと、つい……」

なんのことはない、気の緩みから、あれほどダメ出しをされていたトークテクを披露してしまい、逆効果になってしまったのです。

厳しかった営業トークの訓練で身についた“あか”をそぎ落とすには、まだまだ時間と集中力が必要なようでした。

転職サクセスワンポイント講座

今回はココが問題!

相手はプロ

営業の場合、トークスキルもポイントのひとつ。「これを売り込んでみてください」など、シミュレーションを与えられたときなどは、いわゆる営業トークが必要になります。しかし、やり過ぎは逆効果。選考の場での相手は、人事のプロです。凝った表現を駆使すると、逆に不信感を招くこともアリ。

これでサクセス!

トーク術より表現術

面接で長々とした独り語りや、「はい」「いいえ」で終わってしまう受け答えはいただけません。回答は簡潔に結末を先に言い、補足説明を後付けする方がいいでしょう。むしろ大切なのはトーク術というより、角の立たない言い回しや、表現方法だと言えます。意地悪な質問に答えたり、言いにくいことに迫るために、言葉を選んだ応答例や質問例をいくつか用意しておくと効果的です。

文・イラスト:
山本ちず

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