他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:038 技術に敬意を

「向上心」があることを前面に打ち出して面接に臨んだOさん。しかし、前向きな志望動機はなぜか人事担当者に不評で……。

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悩める志望動機

社内の便利屋として活用される毎日と、不甲斐ない上司に嫌気がさしたOさんは、いよいよ転職活動をスタートさせました。

「もう社内でマイノリティになるのはイヤだ」とつくづく思ったことから、同種の従業員が多いソフトウエアハウスなどをメインに応募。

面接では、応募理由をそのまま告げると後ろ向きになりそうだったので、「同業種の社員が少なく、刺激を受けることがない。スキルアップのためにも多くを学べる環境が欲しい」とアピールしたのですが、これが意外にも不評。逆に、Oさんにとってのハードルになってしまったのです。

一見前向きと思える理由ですが、「環境で転職する人は、うまくいかないときに環境のせいにするから」「スキルアップが目的の人は、『教えてもらう』という受け身の姿勢だから、すぐまた転職するだろう」など、見方を変えた手厳しい評価を受けてしまったのです。

危機感を覚えたOさん、今度は素直に仕事への情熱を訴えたものの、これはこれで「契約に則ったクライアントありきの仕事を経験していない方はちょっと……」と反応は芳しくありません。そこで慌てて、

「気楽な仕事と思われるかもしれませんが、逆に明文化した契約があるわけではないので、とにかくオールラウンド。メンテナンスも限度がなく、導入と同時に仕事が終わるということはまずありません。気軽に呼ばれれば社内のどこへでも走らなければいけませんし、それに……」

いかに自分の仕事が大変か、手間がかかるか、そしてそれゆえに嫌な思いもしてきたかと、少々愚痴っぽいほどにアピールしたのです。それも、面接が終わった後に「愚痴りすぎた」とOさん自身が落ち込むほど……。

しかし、何が功を奏するか分かりません。この捨て身のアピールが響いた企業が、1社だけあったのです。

もっと敬意を!

それが、「うちはクライアントに出向いての作業がメイン。契約を大幅にオーバーするような仕事はありませんが、多少の臨機応変さと、判断力が必要になります」というB社。社員数100人ほどの中堅企業で株式会社化して5年。目下大手の懐に大きく食い込みつつある、野心的な企業でした。

「たしかに社内SEを長くされてきたので、当社の同年代の社員に比べればスキル不足なところもありますが、他部署の人間との折衝能力は、評価できるキャリアです」

こうしてOさんはB社の一員となることが決まりました。技術力を買われたわけではない点が、ややひっかかりましたが、刺激の少ない職場にいたことを思えば、これも仕方ありません。「今までの遅れはこれから取り返せばいいや」とかえってヤル気を出したOさんは、内定を承諾。

ところが、入社直後のひと月で、Oさんはすっかり自信をなくすことになったのです。

そもそも技術力はこれから、と判断されていたように、Oさんは入社当初から他の社員とのレベルの差を痛感していました。その“遅れ”を取り戻すべく、必死に勉強をしていたのですが、その最中に客先への出向が決定。

「まだ充分に仕事をできる自信がない」と訴えたものの、「実地で学ぶ方が飲み込みも早いし、得るものも大きいんだから。それに、会社としては社員を遊ばせておくわけにいかない」とまで言われると反論もできません。複数のスタッフとチームを組んで送り出されることに。

出向先は大手電子機器メーカー。名前を聞けば誰もが知っている企業で、かつてのOさんの同僚に話すと、「あんな大手で仕事を!? 出世したんだなぁ」と驚かれました。社内SE時代、常々「技術に敬意が欲しい」と思い続けていたOさんにとっては、溜飲の下がる成り行きと言えます。

しかし、当の本人はそれどころではありませんでした。

チームのメンバーについていけるよう、突貫勉強。さらに開発案件などを提案しても、「Oさんの企画はツメが甘い」と酷評。というのも、後からいくらでも修正できた社内SE時代のクセが抜けきらなかったことが原因でした。

社内SE時代は、人に使われることに反発しながらも、頼りにされている現状にプライドを持って仕事をしていました。それが自然と油断に繋がっていたのです。

昔の同僚には尊敬されても、今の同僚の中では至って並。知らず知らずのうちに育ててしまった自尊心との戦いに、苦悩しながら仕事に挑むOさんでした。

転職サクセスワンポイント講座

今回はココが問題!

「勉強したい」はNG?

志望動機は前向きなものに、というのが転職本などでよく見られるアドバイス。しかし、「勉強したい」「スキルアップしたい」は向上心を訴えているように思えるものの、同時に受け身な人間であることを示すため、評価しない担当者が多いようです。

これでサクセス!

受け入れられる志望動機

受け身か否かの境目は、自分は「こうなりたい」という姿の伝え方で決まります。「こういう勉強をして、こんな働き方をしたい」「この会社に入ることでこんな仕事ができる(ようになりたい)」など、具体的なビジョンが描ければ、担当者の記憶に残る応募者になれるはず。

文・イラスト:
山本ちず

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