他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:039 縁と信頼

優秀な人材ならいくらでも欲しいと切望するベンチャーA社。しかし、積極性はあるものの知名度の低さから思うような採用が行なえず……。

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人手と予算

ベンチャーA社は、株式会社としての社歴は5年という若い企業。目下、優秀な人材をどんどん採用し社員を増やしていましたが、ある悩みを抱えていました。

業績が伸び、急成長しているとはいえ、市場での知名度はイマイチ。求人広告を出しても、大手企業・有名企業がひしめく中では今ひとつ目立たず、採用になかなか結びつかないのです。仮に採用に至っても、ミスマッチですぐに辞められてしまったり……。

企業としても若く、うまく媒体を使いこなせてないA社は、結局自社サイトに求人情報を掲載し続けるという、気長な戦法に落ち着くことに。

しかし、「旬」がある新卒採用と違い、起伏が乏しい中途採用市場では年間通して反応が芳しくありません。むしろ、ずっと掲載し続けていることによって、「情報の目新しさが感じられない」「人が常に辞めているのでは?」などのマイナスイメージがついてしまったようで、時間が経つにつれ問い合わせも減る一方。

この“厳冬”を乗り越えるべく、採用担当のSさんは一念発起。人事部長に掛け合い予算をもらって、人材紹介企業に仕事を依頼することになりました。

採用が確定して初めて売り上げとなる人材紹介企業だけに、紹介される人物はどれもピンポイントの人材ばかり。中には、いわゆる“仲人口”というヤツで、できないことまで「できる、できる」と熱心に売り込んできて、面接でスキルのズレを実感することもありましたが、今年大手企業を定年退職になる総務のベテランと話がまとまるなど、結果を出すことができたのでした。

同業他社の不幸

しかし、人材紹介企業への報酬は、採用がまとまった人材の年収に応じて決まるもの。総務のベテラン社員は管理職待遇ということで年収もそれなりに高額。結果、採用予算の多くを今回の採用に費やしてしまったのです。

この状況に上司は、「若手がもう何人か欲しいところだな」とは言うものの、予算不足はいかんともしがたく、結局また自社サイトでの細々とした募集に逆戻りとなってしまったのです。

しかし、ここにきて朗報がもたらされます。

A社と業務提携し、時に仕事を発注していた同業のB社。この企業が業績不振で廃業することになったのです。

B社の経営者は社員の行く末を案じ、引受け先を探して東奔西走中。この話を耳にしたSさんは上司と話し合い、A社が引受け先として申し入れをすることにしました。

すなわち、「B社の社員でうちに来てもいいという人がいたら、何人か採用したい」という話です。

これには、B社の社長も感涙にむせびました。そして、かつてA社と仕事をした社員を中心に希望者を募り、総勢15人を面接の場に送り出すと言ってきました。

A社サイドでも、「イチから人材を探して仕込むことを考えれば、うちのことも分かってくれているし、何より即戦力だし、願ってもない話だ。来たいという人がいるなら、定員を気にせずに採用するように」という社長のお墨付きを得て、いよいよ大量採用に向けた面接を実施することになったのです。

全員採用してもいいぐらいの意気込みで挑んだ面接。しかし、求職者から逆にシビアなジャッジをつきつけられ、選考は難航する……。
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文・イラスト:
山本ちず

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