他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:041 一社入魂

ひとつのことにのめり込むタチのAさんは、思い悩んだあげく転職を決意するが、複数の企業に同時応募できず……。

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思い詰めるタチ

Aさんは昔から1つのことに集中するタイプ。しかも相当のめり込み、他のことが手につかなくなるという不器用さを持っていました。

学生時代は女の子に片思いで勉強が手につかなくなり、就職活動のときは思い詰めて応募するかどうかだけでひとしきり悩み、結局応募したのは数社ほどだったとか。

職場に不満があるからとはいえ、そのAさんが、転職を考えはじめたのですから、もう大変。ヤル気がそげているだけに、頭は転職のことでいっぱいに。仕事なんか手につきません。ボーッと考えごとをする時間が増えていき、とうとう周囲の同僚にも怪しまれるように。

そこで嘘のつけないAさん、ここだけの話と断って、近しい同僚だけに転職の意思を漏らしたのでした。同様に会社生活にストレスを感じていた同僚は、Aさんの話に「お前に先を越されるとは……」と驚くよりも焦りを感じたようで、自分もいずれは転職を考えているから、情報交換していこうとエールを送ってくれたのでした。

さて、Aさんの性格からして、当然転職活動にものめり込みます。

転職も初めてなら、面接も就職活動以来というAさん。普通なら“慣れる”ためにも複数社応募するところですが、「1つの会社に応募している間は、他を探す気になれない」と最初から一社集中

深い落胆

しかし、初めての応募ということで、決め手のある書類が作れなかったのか、Aさんは残念ながら不合格に……。1社に絞って希望をこめたAさんの落ち込みたるや、凄まじいものでした。

理由を知っている同僚だけは、陰ながら元気づけていましたが、「やっぱり転職なんてムリだったのかな……」とブルーになったかと思うと、「いや、転職はしたい!……けど、もうちょっと経験つまなきゃダメかなぁ?」と逆に質問してきたり、「もうちょっと、今のままやっていこうか……」と気弱になったり。情緒不安定気味になってしまいます。

あまりにオロオロしているので同僚も手に負えないと、慰めるのも程々に傍観者を決め込むように。同僚がよそよそしくなった間、ゆっくりどっぷり落ち込んだAさん。ようやくヤル気が戻って来たのか、約1カ月後、転職活動を再開します。

書類だけで落とされたことが、よほど堪えたのでしょう。今度は書類選考のない企業を選びました。しかし、まず面接ありき。Aさんにとっては大変なプレッシャーです。

「スーツ、このままでいいかな!?」

「あー、今から落ち着かない!やっぱやめようかな……」

甘えるつもりはないものの、あれこれと心配そうな言葉を口にし、Aさんはまた同僚に相談を持ちかけるようになっていました。

ガチガチに緊張しながらも、面接に挑んでいくAさんの意思に反し、同僚はダメだったときの落ち込みや狼狽ぶりを懸念し、そのときの慰め方などを考えていました。

ところが……

「行ってきたよ!かなり手応えアリだよ。予定よりずっと長く時間も割いてくれたみたいでさ、俺もしかしたらこの会社入れるかも!

ガッチリ手応えを感じたと、Aさんは舞い上がった様子で戻り、熱っぽく面接時の話を同僚に語りはじめたのです。

「この会社に入れるかも」と語るAさん。しかし、面接の様子を聞かされた同僚には、どうしてもそうは思えず……。
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文・イラスト:
山本ちず

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