他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:042 一社入魂

のめり込むタイプのAさんが「一社入魂」で応募した企業。面接の手応えは十分と喜ぶAさんとは裏腹に、話を聞いた同僚は浮かぬ顔で……。

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親身な質問

一度に応募するのは1社と決めているAさん。不安になりながら初めての面接に出かけたものの、「かなり手応えアリ」と気分上々で帰ってきました。

相談に乗っていた同僚も、これには興味津々。自分も転職を考えているだけに、Aさんの成功話を聞き出そうと食いついてきました。

Aさんは、応募先の企業名だけは「内定まで秘密」としながらも、嬉しそうに面接のやり取りを語りはじめました。

「半時間ぐらいだと思ったんだよ。でも、気がついたら軽く1時間越え。俺に興味があるらしくて、学歴から、何を専攻したとか、ひとつひとつ質問されてさ。最後には『親御さんは元気?』なんて親にまで気も遣ってくれて。すごくアットホームな会社?って感じで」

興奮気味のAさんは応答の内容まで事細かに再現します。しかし、上機嫌のAさんとは裏腹に、同僚の顔はどんどん微妙なものになっていきます。聞いていれば、Aさんへの質問は生い立ちや、学歴といったかなり過去のものばかり。最近の仕事についてはあまり掘り下げて聞かれていないようなのです。

Aさんは親近感を覚えてくれたと嬉しそうですが、普通採用側が一番聞くであろう点に触れられていないことに、同僚は不安を感じずにいられません。

ついつい、おせっかいとは思いながらも、「……よかったじゃん。でも、あんまり期待しすぎない方がいいよ。万一のことも考えて、体力とか気力とか残しておいた方がいいと思うんだ」と忠告してしまったのです。

多少なりとも達成感を覚えていたAさんは水を差された格好に。

「なんで!?結構脈アリじゃない?これで決まりそうな気がするよ?」

「いや、向こうに採用する気があるなら、最初の面接ってもっと仕事について話すと思うんだよ。それに面接で1時間って、そんなに長いうちに入らないと思うんだけど……」

同僚は、相手はAさんを採用する気にならなかったので、過去の身の上話でお茶を濁したのではないかとほのめかします。しかし、「この1社!」とのめり込んでいるAさんは、素直には受けいれられません。

出会いのための出会い?

「でも、落とすようなヤツのこと、そんなに話聞かないと思うんだ。すごく親身になって聞いてくれたしさ、時間つぶしには思えないけどなぁ。それに最後には『次回の面接については郵送か電話で御連絡します』と言ってたし……」と反論。

同僚は、その連絡方法がよくわからないところもアブない、と言いかけたのですが、それも憶測。結局は強く否定もしきれず、ただ1社にのめり込むAさんが、大きく落ち込むことを心配していました。

しかし、2人の願いも空しく、10日後Aさんの手元に、「不合格」を知らせる通知が郵送で届いたのでした……。予想通り激しく落ち込むAさん。すっかり自信を失い、転職活動そのものをあきらめようとする彼に同僚は

「前向きに考えると、Aに合った会社かどうかわからないしさ。ていうか、どこに応募してたんだよ」

聞き出すと、まったく未経験・異業種の上場企業であることが判明。

「こんなの、業界経験者が優遇されるに決まってるよ。そこそこ名が通った安定企業だから倍率も結構高かったと思うし、落ちて当然だよ」

同僚はこう言って、慰めます。しかし、Aさんは「未経験でも可って書いてたし……全員と面接するぐらいだから、そんなに応募者もいないんじゃ……」とゴニョゴニョ反論。

あれほど転職活動にのめり込んでいたから、てっきりそれぐらいの“転職常識”を知っているかと思いきや、「初めての転職とはいえ、こんなにも世間を知らなかったのか!」と同僚もあきれ顔。

Aさんはどうやら、行動そのもので頭がいっぱいになり、肝心の転職に関する情報、特にノウハウ部分の知識がスッポリ抜けていたようなのです。

「お前、人材紹介会社とかハローワークとかで、一度話聞いてこいって。できたら模擬面接ぐらいしてもらえって」

こう少々キツめにアドバイスをしたものの、

「えー……だって、そういう“結婚相談所”みたいなところ苦手なんだよ。出会うための出会いを仕組むみたいでさ……。なんかこう、人と人の縁ってもっと自然にできるもののような気がするんだ」

とかく「ご縁があった」「ご縁がなかった」が口癖だった就職時を思い出すように、Aさんはつぶやくのでした。

「だから、そうじゃなくって……」同僚がその誤解を解こうと説明すればするほど、Aさんは腰が引け、転職どころではなくなっていくのでした……。

転職サクセスワンポイント講座

今回はココが問題!

面接の雰囲気

面接の雰囲気だけで合否を予測するのは難しいもの。しかし、聞くべきこと(仕事への姿勢や、志望動機、退職理由など)をきちんと聞いてこなかったり、直接仕事と関係ない昔の出来事や経歴について聞きたがるなど、ポイントを外した質問が多い場合は要注意。また、極端に面接時間が短かったり、応募者からの質問を受け付けない、などもひとつの目安になります。

これでサクセス!

合否を読み取る

こうした気のない対応は、特に採用側に聞きたいと思うことがないときの苦肉の策。採用基準に満たないミスマッチな応募者だった場合は仕方ありませんが、アピール不足をヤル気のなさととられ、こうした対応をされることもあります。面接を活かすも殺すも応募者次第なので、リアクションがイマイチのときも変わらぬ対応を。

文・イラスト:
山本ちず

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