他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:047 あなたのために

安定しているがやりがいのない仕事に不満を感じたHさん。自分のやりたいことを探そうと、過去のテーマパークでのアルバイトを思い出し……。

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不満がないのが、不満

メーカーで事務の仕事について5年の女性・Hさん。残業や休日出勤もほとんどなく、月収とボーナス額も安定していて、端から見ればうらやましいような環境のうえに、仕事上でも今まで大きな壁にぶつかることもなく順調に勤務を続けていました。

しかし、これこそが本人にはやりがいのなさ、成長面での不安を育てていたのです。

ただ、転職をと考えたものの、Hさんは自分が何をやりたいのかと考えこんでしまいました。事務の仕事はしたくて就いたというわけではなく、いわば収入のための割り切った作業。ですから、やりたいことを仕事にする、ということがいまひとつピンと来ないのです。

そこで、過去の仕事やバイトで自分が一番楽しかったことは、と思い返していくことにしました。そこから自分の興味を探ろうとしたのです。そうしていろいろと思い出した結果、一番記憶に残っていて楽しかった経験はというと、テーマパークのグッズショップでのアルバイトだったのです。

いわゆるお土産物の販売でしたが、ただのレジ打ちでというわけではなく、ゲストとの交流もあり、時には親身になってお土産のアドバイスをしたりと、そこには人と人とのふれあいがありました。

「やっぱり人とふれあう仕事がしたい。目の前で人に喜んでもらいたい」

そうHさんは確信しました。しかし、テーマパーク勤務に戻るのかと考えれば、人前に出るキャストは平均年齢が若く、Hさんが採用される可能性は低いように思えます。

そこで「人とふれあい役に立つ仕事」に重点を置き、まったく別の業界で仕事を探すことにしました。

元気な営業

人とふれあう仕事ということで、店頭に立つ販売や店舗スタッフ、顧客を回る営業などの情報を集めましたが、その中でHさんが惹かれたのは、オフィス文具や機器を手配するA社の営業職。新規開拓よりも既存顧客を優先的に回り、必要なものを手配する。時には新製品を勧めたり、オフィスの引越しや配置換えを取り仕切る仕事です。

今の時代、ただ必要な物を補充して回るだけでは、ネットやFAXの注文を受けるだけで十分です。こちらからニーズを探して、顧客に役に立ちたいと思うHさんの気持ちが、彼女自身にこの仕事に向いていると思わせ、またA社側からも評価されて、内定の運びとなったのでした。

持ち前の人当たりの良さと、転職直後のはりきったテンションの高さで、Hさんの担当になった顧客からは「若い、元気な女の人が来たね」と早くも顔と名前を覚えてもらった様子。

最近では、企業の安全性をあげて「今まではコッソリ来て、知らないうちに注文とってソーッと帰っていく、いるかいないかもわからないような営業さんで正直どうかなと思ってたけど、今度の人は分かりやすくてありがたい」と褒める人まで現れ、評判は上々です。

それまで安定志向で、ともすれば事なかれ主義、顧客の言うままに注文をとってくる営業が多かった中で、Hさんは早くも頭角をあらわし、どんどん自分流の営業術を確立していきました。

新製品のお知らせにサンプルを付ける、さらに自分なりの使い方マニュアルを制作。具体的に何ができるか、何が楽になるかをお知らせしていくのです。また、担当者の誕生日や記念日を覚えておいて、カードを渡したりなど抜かりはありません。

人のために働きたい、というHさんの気持ちがようやく出口を見つけ、仕事の上に一気に開花したように見えました。

自分流で「お客様の役に立ちたい」と仕事に励むHさん。しかし、その情熱がどんどんエスカレートして……。
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文・イラスト:
山本ちず

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