他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:051 転職のための実績

入社7年目のSさんは、宙ぶらりんなポジションに不満を抱き、本気で転職を考えるように。そして、実行に移す前に何か大きな仕事をしておきたいと希望するが……。

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7年目の憂鬱

ソフトウエアハウスA社で開発の仕事に携わるSさんは勤続7年目。新卒で採用されてからA社一筋ですが、SさんのA社での立場は、少々微妙なものでした。

そこそこの中堅として頼りにされることは多いものの、まだ役職はなく、何かの決定権を持っているわけでもありません。しかし、仕事を任せきれない若手でもないことから、「結果」を求められる一面も。

Sさんは、在籍7年の視点から作業手順の改革案などを提案します。それに対しA社は、抵抗なく実行できる企画案だとし、低くない評価を与えます。ただ、こうした評価はあくまで社内向けの作業に対するもの。目の前にある仕事を優先させる毎日でしたが、対外的な仕事でやりがいと評価が欲しいとSさんは次第に感じはじめ、転職を希望するようになったのです。

そんな中で、未だ実行に移せないでいるのは、「もう少しスキルをあげて、対外的な仕事で評価を得てから……」という理由からでした。

どうせ転職するなら、業界内でインパクトのあるプロジェクトにからむなど、A社にいた足跡として何かを成し遂げ、少しでも転職に有利になる条件を身に付けてから新しい職場に移りたいと、機会をうかがっていたのでした。

そんな折、Sさんは新入社員の「教育係」に任命されます。

新人研修の問題点

毎年、新入社員の研修はビジネスコンサルタントに丸投げで、出来合いの新人指導プログラムを利用していました。ただし、このやり方には問題が少なくありませんでした。

まず、新人のスキルレベルにバラつきがあるにもかかわらず、全員同じ講習を一律で受けさせていましたが、これにより予備知識のない新人が、「とてもついていけない……」と自信をなくして脱落したり、逆にそこそこデキる新人は天狗になったり。

また、講習内容も実際の業務に即したものでなく、無闇にレベルが高いときも。こうした不満な点を、しばしば新人の声として耳にしていたSさん。何気なく改善が必要だと上司に話したことがありました。そのことを覚えていた上司が、新人研修を改善する責任者として、Sさんを新年度の教育係に指名したのです。

対外的にウケがいい派手な仕事ではないものの、問題だと感じ、かつ改善点が分かっていただけに、嬉々として仕事にあたったのでした。

そして、この仕事がきっかけとなり、社内でのSさんを見る目が変わりはじめます。

「今まではどちらかというと、1人で黙々と仕事をする一匹狼かと思ってたけど、こんなに仕切りがウマいなんて」

こう見直したと言う上司に、Sさんは

「毎年、新人のレベルのばらつきが気になってたんですよ。下ができないままだと、上はいつまでたってもフォローばかりで、仕事らしい仕事ができないですしね」

Sさんはまず部下のレベルをあげることで、ボトムアップをはかり、次に自分の仕事のレベルもあげていこうと考えたのです。

新人研修を弾みに、大きなプロジェクトを夢見るSさん。しかし、会社はSさんの「指導力」を評価したため、予期せぬ仕事が……。
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文・イラスト:
山本ちず

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