他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:052 転職のための実績

新人研修の“講師役”をやり遂げ上司の評価も上々。これを受け、Sさんは予想もしない仕事を打診されることに……。

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テコ入れ要員

新人研修の講師に指名され、それを見事にやり遂げたSさん。教育係はやりたい仕事とは言えなかったものの、ボトムアップで環境を整え、納得できる仕事をやり遂げれば、転職に際してのいいアピールポイントになると考えていました。

ところが、そんなSさんの予想図に狂いが生じます。「S君が教育担当になった今年は、新人の仕上がりが違う」「人と接する仕事がこんなに向いていたとは、意外」など、上司の評価は上々でしたが、この評価がSさんにとっては逆効果になってしまったのです。

ある日、Sさんは上司から呼び出されます。

「S君ももう長いよね。そろそろ責任ある仕事についてもいいんじゃないかな……」

この打診に、胸躍らせるSさん。新しいプロジェクトのチームリーダーか、部署の主任職か、どんなポストが待っているのかと期待を込めて上司の言葉を待っていると……

「実はね、九州の指導監督、S君にって話が出てるんだよ」

九州というのは、A社の営業所のひとつ。規模的には大きくないのにまとまりに欠け、成績は悪くないものの、今ひとつ精彩を欠く存在。本社との距離感もあり、指示への反応も敏速とは言えません。要は、ちょうどテコ入れに誰か人材をという話になっていたところだったのです。

そこへSさんの意外な活躍が取り沙汰され、突如としてクローズアップ。

「S君は7年目だったよな?いい頃合いなんじゃないの?」

若手ではなく、フットワークが重くなる年代にはまだ間がありながら、特に肩書きもなく、独り身で身軽。というわけで、「ぜひ、九州にいって緩んだ現場にカツを入れてやってほしい」と、今まで縁もゆかりもなかった土地への転勤を、強く勧められることになってしまいました。

企業が尻込み

逡巡するSさんに、上司はこの話を断ると人事部へ異動、教育専門のスタッフになる予定だと伝え、「九州では事務所全般を見ながら、教育はもちろん、現場の仕事も続けていける。大きくステップアップするチャンスだ」とダメ押しします。結局、Sさんはその言葉を信じて九州へ発つことに。

ところが、九州ではSさんの予想を遥かに越える現場が待っていました。のんびりした気風、本社からの指示通りの現場。教えたことは素直に聞くものの、実行させてみると元通り。本社からの指示も、いち早く実行できるのは今まで本社にいたSさんという状況で、気がつけば一番コマゴマと動き回る日々。

現地のメンバーは新しい技術への貪欲さが足りないとは思うものの、技術を習得しても発揮する場がないのではそれも仕方がないかと、Sさんが逆に納得してしまうことも……。

これではマズイと危機感を募らせるSさんは、「このまま営業所にいたのでは、スピード感のある業界では“浦島太郎”になってしまう」と、慌てて転職活動を開始しました。

希望はもちろん、なじみの仕事と勤務地へのUターンです。実家に戻るという名目で月に1〜2度の帰省にかこつけて、面接をセッティングしようと企業に打診しはじめました。

しかし、ここでSさんは“距離の壁”にぶつかります。とはいってもSさん側の問題ではなく、企業側の受け取り方。「お話を聞いてみたいキャリアではあるんですが、九州からわざわざ来ていただくのは申し訳ない。何かのついでであれば……」と企業の方の腰が引けてしまうのです。

Sさんは九州営業所の「管理職」ですが、希望職種は「開発スタッフ」と、現状と希望にズレがあります。しかし書類だけで見ると、「これだけのポストの人は、うちにはちょっと……」と解釈のズレによって落とされてしまうのです。

会って説明できれば、理解もしてもらえそうですが、やはり距離がネック。近郊ならば「ちょっと話聞いてみようか」と呼び出してもらえるところも、「わざわざ飛行機で?新幹線で?いえいえ、そこまでしていただくわけにはいきませんし」となるのです。結果的に選考のハードルが上がってしまったも同然。

「こんなことなら転勤になる前に、何が何でも転職しておくべきだった……」

“転職の手みやげ”にこだわって、様子をみていたばかりにと、Sさんは落ち込むことしきりでした。

転職サクセスワンポイント講座

今回はココが問題!

立場の変化

会社員である以上、部署異動や出向など、いつ何時立場が変わるか分かりません。仕事内容は、転職に大きな影響を与えますので、自分が希望する仕事についていられるうちに、次の仕事を視野に入れるのも大事です。

これでサクセス!

距離がネックに

遠距離での転職は可能ですが、やはり地元の人材に比べると不利。同じ面接でも距離と時間がかかりますし、急なスケジュール調整などができないので、企業が身構えてしまうからです。多少骨を折っても、この人の話を聞きたいと思わせるような書類、つまり企業が求める情報を的確に盛り込んだ職務経歴書作りが重要となります。

文・イラスト:
山本ちず

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