他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:053 もっと時間を!

タイトなスケジュールに泣かされるプログラマーKさん。一度は転職を考えたものの、現場スタッフ皆が「同じ気持ち」と知り、ある計画が持ち上がって……。

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エスカレートする激務

プログラマーのKさんは転職を考えるほど疲れ切っていました。理由は無理なスケジューリング。最近Kさんの上司になったプロジェクトマネジャーが、かなり厳しい納期を請け負ってしまう人だったのです。

最初のうちは深夜残業を続けてどうにか間に合わせ、その次のプロジェクトでは会社に泊まり込まなければ間に合わず、さらにそれをクリアしても今度は休日返上でもしなければ間に合わないスケジュールにと、困難を乗り越えれば乗り越えるほど、どんどん、どんどん納期の厳しさはレベルアップ

Kさんたち現場の人間は、「これさえ乗り切れば!」「今回さえなんとかすれば……」と毎回パワーを振り絞っているにもかかわらず、マネジャーは「これができたんだから、次はもっと」と業務改善を図るどころか、ステップアップといわんばかり。

これでは体が持たないと、Kさんが職場を変えることも視野に入れはじめたころ、周囲の社員たちが抱く不満も同様であると知ります。

「どうせ辞めることまで考えたんだから、ダメもとで抗議してみよう。それでダメなら辞めればいい」

こうして、現場スタッフは団結し、プロジェクトマネジャーに改善を要求することにしました。

しかし、ただ集まって話をしただけでは、あのマネジャーに丸め込まれやしないかと、不安視する人も出ます。マネジャーはエネルギッシュでポジティブなタイプ。しかも話も巧み。だからこそ、無茶を言いつつもまとめあげることができているといっても過言ではありません。

ですから、どちらかというと口ベタなKさんたち現場開発者が面と向かって話しあっても、うまく言いくるめられ、内々で収められてしまう可能性が高いのです。

そこで目をつけたのが、月に一度実施される合同ミーティング。上層部の社員も一堂に会するこの席で、居並ぶ社員を前に、マネジャーにスケジュールの改善を要求することにしたのです。

決行の日

そして、合同ミーティングの日。それぞれのチームの仕事の進み具合や予定の報告など、淡々とプログラムが過ぎていきます。しかし、「最後に何かありましたら……」という司会の儀礼的な問いかけに、Kさんのチームの1人が勢いよく挙手。

「スケジューリングの件で問題提起したいと思います。最近うちのチームでは、大変厳しいスケジューリングでの納品が続きました。それも1度や2度ではなく、徹夜や休日返上も当たり前になりつつあります」

さらにKさんが続けて、「納期は守るべきものだと思うから我々もガンバってきました。でも、毎回毎回では体がもちません」と援護射撃。「納期の定め方におけるマネジメントには、以前より問題を感じていました。改善を求めます」と締めくくったのでした。

急な成り行きと攻撃的な口調に、ざわつく会場。これに名指しされたマネジャーが応戦します。

「これぐらいの納期はどこでもやっていることだ。それに無理だったわけではない。君たちの実力を高く評価したうえで、できると判断した。それに、実際間に合っているのだから……」

「いえ、徹夜を繰りかえしてようやく間に合うのは、間に合っているとは言いません

平行線を辿る応答に、高まる険悪なムード。そこに割って入ったのが、別プロジェクトのディレクターでした。

「この件は、今すぐ決着がつくことではないでしょう。契約内容や営業方針ともかかわってくる問題ですから。このチームは私が預かりたい。決して悪いようにはしません」

これはマズいと踏んだのか、自分が責任を持って善処すると約束し、ようやくその場は収まったのでした。

ディレクター預かりとなったKさんのチーム。後日、新しいプロジェクトが発表になる。問題の納期は果たして……。
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文・イラスト:
山本ちず

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