他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:054 もっと時間を!

合同ミーティングでの直訴は成功し、マネジャーはKさんたちのチームから外され、変わって上司になったディレクターにより余裕のあるスケジュールが組まれるようになったのだが……。

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直訴の結果

「今進行している分なんですが、ちょっとキツいですね。スケジュール的に」

「そうか……だったらちょっと猶予をもらえるよう掛け合ってみるよ」

ミーティングの騒動からしばらくたって、Kさんたちチームは新しいプロジェクトにとりかかっていました。問題の納期は決して楽とは言えないものの、以前のようなむちゃくちゃな厳しさはなく、ある程度の猶予をもらえるようになりました。

それというのも、突き上げを食らったプロジェクトマネジャーはKさんたちから外れることになり、合同ミーティングで「私が預かろう」と言ったディレクターが上司になったからです。一同直訴の効果はあったと喜び、ヤル気を出して仕事に取り組んでいました。

しかし、万事解決と思われたスケジュール問題に、予期せぬ事態が潜んでいたのです。

「先日アップしてもらった分だけどね。ちょっと修正が入って……。そのかわり、今やってる分は少し遅くてもいいから」こういった細かい予定変更が増えはじめます。

あるときは、急いで深夜残業を続けて仕上げたプログラムをひとまず確認してもらったところ、「あ、これね。そんなに急ぎじゃなくなったから。うん。だから、もうちょっと時間かけてブラッシュアップしていいよ」と拍子抜けすることを言われたり。別の意味で戸惑う事が増えるようになります。

以前、マネジャーが管理していたころは時間的にはタイトだったものの、一度決まった納期はそうそう変わることはありませんでした。こうした点に不信感を抱くKさんでしたが、他のメンバーは、「ディレクターはかなり大雑把にスケジュール組んでるんじゃない?こっちにムチャ振りしてこなければそれでいいよ」と楽観している者がほとんど。

決してキツくはないものの、ひょいひょいと変更されるスケジュールに振り回され続け、Kさんはどこか釈然としないものを抱えていました。

そんなある日、Kさんは驚きの事実を知ることになります。

ゆるい納期の秘密

以前Kさんが仕上げて納品したはずのプログラム。これが、客先に納品されたときには随分手を入れられ、ほとんど別モノになっていることを目の当たりにしたのです。

驚いたKさんがディレクターを問いつめると、「うん。あれね。K君はいい仕事してくれたおかげで、後の仕事がはかどったよ。試作品としてはいいできだった」なんと、サンプル扱いにされており、Kさんの仕事を元に別部署が仕上げ、納品に至っていたのです。

「何か私の仕事に問題でもあったんですか?直すところがあったら言ってください。自分の仕事は最後まで責任もってやりますので」

Kさんは驚き慌てて訴えましたが、「うーん……でもねえ。限られた時間でやってもらって負担をかけるより、それぞれが得意な部分で力を出す方が結果的にいい物ができるんだよ」とまったく取り合ってくれません。さらには、

「K君たちは納期に余裕が欲しいということだったから、余裕のある仕事を回したわけで」

余裕のある仕事とは、結局はサンプルやタタキ台を作る仕事。一切表に出ることはありません。事実上の“2軍落ち”状態です。

表に出したいなら、あの地獄の納期を受け入れろ――。

言外にほのめかすディレクターの“裏の顔”を目の当たりにしたKさんは、ディレクターはずっとマネジャーの肩を持っていたのだと、実感したのでした。

この事実がチーム内に広まった翌日、さっそく転職系雑誌を持って出社した同僚がいました。

「納期がユルいから転職活動するヒマあるしさ」

苦笑しながらページをめくる姿に、Kさんも「人ごとではない」と焦りはじめました。

転職サクセスワンポイント講座

今回はココが問題!

仕事が楽に

表向きの仕事は変わらないのに、スケジュールがゆるくなった、休暇が取り易くなったなどの変化は、会社からの期待が低くなったことを示す場合もある。仕事内容の変更や異動がその後に起こることも……。

これでサクセス!

あわてないために

不本意な仕事内容の変更や異動は転職理由になります。希望しない仕事に回され慌てるよりも、急に仕事が楽になるなどの“危ないサイン”を読み取り、転職を視野に入れることも含めて、いち早く対策を練ることが肝心です。

文・イラスト:
山本ちず

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