他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:64 新人はワガママ王子(後編)

未経験でデザイナー職に転職したPさんは下積みの仕事に嫌気がさしたのか、あからさまに手を抜き始めた。見かねた上司が注意をするが……。

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手を抜く新人

 Pさんが先輩社員の指示通り動いていたのは、入社後、たったの1週間でした。

 修行とはいえ、雑用続きの毎日がつまらなくなったのか、2週間目に入ると、あからさまに手抜きを始めたのです。

 毎日山のように届けられる業界誌や新聞は整理が滞り、積みあがるばかり。

「記事の切り抜き、やってる?」と上司は、それとなく様子をうかがうのですが、

「やってますよ」「今やろうと思っていたところなんです」などと言うものの、実際に手は動かず。

 業を煮やした上司の一人が、 「こうした業務も仕事のうちだから真面目に取り組んで」と注意したところ、Pさんから

「それって私の仕事なんですか?」と返ってきたのでした。

「経験の無いPさんには、まずはこうした作業から業界の事を知ってもらわないと」

上司は怒りを隠し、ゆっくりと優しい口調で説明しましたが、Pさんは不満を隠そうともせず、ムクレ顔のまま。

「わかった?」

「ハイ……」

 一応、この場はPさんが納得した形で終わりましたが、とてもこれで収まるとは思えません。

 注意から数日間はPさんは真面目に働いていましたが、すぐにまた以前のように手抜きを始め、定時になるとパッと逃げるように帰ってしまいます。

 そんな姿を見た他の社員は、「Pさんは毎日何をしているんだろう?」

 と不思議に思ったようです。そしてしばらくすると、

「あの子だけ残業もせず、いつの間にか帰っている」と不満を覚え始め、

「これでは他の社員の仕事に影響が出ます」と、上司に忠告にくる社員も現れてきました。

だって新人なんだもん

 そんな折、Pさんの上司は人事部から呼び出されました。

何事かと出向いてみると、人事部長は

「みんな、上手くやってるか? 社員同士仲が悪いということは無いか?」

 などと、妙に探るような質問をしてきたのです。 何を言われているのかさっぱりわからない上司に、人事部長は苦笑いしながらこう告げました。

「実は、Pさんが辞めたいと言ってきてね」

Pさんは、直属の上司を飛ばして、人事部のトップに話をもっていったのです。

「本人は、何と言っているんですか?」

「『やりたい仕事と違った』とかどうとか……。そっちでもちゃんと指導してるとは思うんだけど、まあ、採用したばかりの子だし、何か行き違いがあったのかもしれないし……」

「お騒がせしてすみません。一度、直接話してみます」

 あわてた上司はすぐにPさんを呼び出します。

「こういう事は、まず僕に言ってくれ。いきなり人事部に話すなんて何を考えてるんだ!」

「だって、言っても今の仕事をキチンとやれって言うだけじゃないですか!」

「君はやりたい仕事と違うから辞めたいって言ったらしいが、最初は誰でもこういう仕事から入るものだ。だいたい今、君に仕事を丸投げして一人で最後までできる? できないでしょう?」

「そりゃそうですよ。だって新人なんですよ!!」

 逆にふんぞりかえる勢いで、大きく開き直ったPさん。

「……そう。新人だ。でも経験を積んだらできるようになる。だからそれまでの勉強じゃないか。どうして地道に仕事を出来ないの?」

「今のままの仕事を続けていても、キャリアアップできるとは思えないんです。こんなんじゃ、ずっと成長できないかもしれないじゃないですか」

 先の約束も無いのに、つまらない仕事は出来ない、とPさんは訴え始めたのです。

「未経験なんだから仕方ないじゃない……」

「わかりましたっ! 未経験だから、雑用係なんですね!」

 こう言ってPさんはすぐさま帰宅し、翌日から出勤せず、そのまま辞めてしまいました。

「新人教育は学校ではないですよ。個人の成長までは確約できません」

 疲れ切った上司は、後日人事部に報告に行きましたが、

人事部長はまだ、未経験者イビリがあったのでは、と疑っている様子でした。

転職サクセスワンポイント講座

今回はココが問題!

未経験からの転職

中途採用の多くは経験者を優遇しますが、一方で未経験者の採用も活発です。未経験者といえども、それまでの職歴や仕事内容は、次の仕事に生かしていけるものかなど、チェックされます。

これでサクセス!

未経験者のポテンシャルの判断

未経験者採用は、多かれ少なかれ本人のポテンシャルや適性に関わる部分が大きく、有望かどうかは、過去の社歴や経歴で読み取ることが大半です。過去に違った業種の仕事をしていたとしても、その経験で少しでも生かせそうな点があれば、アピールして損はないでしょう。

文・イラスト:
山本ちず

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