他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:66 STOP! 大量退職(後編)

研修中の新人に積極的に声をかけ、悩みがあったら相談に乗ると言い続けたIさんの元に一通のメールが届いた。

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声かけ運動

 大量採用、大量退職を繰り返すA社。人事部に異動したIさんは、A社の採用方針に違和感を感じ、個々に合った新人研修を提案するも、却下されてしまいました。

「多少なりとも新人が働きやすい環境をつくろう」

個人的にではありますが、Iさんは研修の合間を見ては新人に声をかけ、フォローに務めていました。でも、彼らがすぐに心を開いて相談してくる、ということはありませんでした。かといって、今の状況に不満が無い訳ではないようで、新人同士、声を潜めて話し合っている様子がうかがえます。

「ウチの仕事は大変だと思うけど、慣れれば楽になるから、何か困ったことがあれば相談してほしい」

 Iさんは、繰り返し言っていました。

するとある日、Iさんに一人の新人からメールが届きました。

「仕事についてお聞きしたいことがあるので、お時間をください」

 Iさんは新人に自分の心配りがわかってもらえたとホッとし、と同時に、しっかりヒアリングしてあげなければと決意を固めました。

 自分で分かる事なら何でも答えてあげよう。でももし自分ではどうしようもできない事を聞かれたらどうしよう? 待遇や配属先についての相談をされても、決定権のない自分では対応できない。どんなことに関しても、すぐに対応してあげられるように、マネジャーも同席してもらった方がいいだろう。

 ということで、Iさんはマネジャーに話し、新人との面談に同席してもらえるよう手配しました。

 しかし、この気配りが逆効果になったのです。

 相談者は、今後この会社でやっていけるかどうか、不安に思っていたらしく、Iさんにだけ話を聞いてもらいたかったのです。

 それが、Iさんの隣には人事のマネジャーが座っていて、

「さ、何かな? 話してごらん」

 と始まったので、相談者はすっかり萎縮してしまいました。

180度転換

 相談者は口をつぐみ、しばらく沈黙が続きました。すると上司が

「ウチはキツいと言う人が多いが、この程度の仕事が務まらない人間はどこへ行ってもダメ。退職者が多いのは、我慢できない人間が増えただけだ」

 と自流の気合い論を展開しました。

 これが決定的となり、相談者はすっかり心を閉ざした様子でそそくさと退出しました。後になって、

「私はIさんにだけ、話を聞いてもらいたかったんです」

 とメールが届きました。

 この後、この相談者をはじめとして数人のグループが一斉に辞表を提出。示し合わせたように会社を去って行ったのでした。

 すっかり意気消沈するIさんに、人事マネジャーは、

「こんなもんだよ。辞めたいヤツは辞めていく。残ったヤツだけ鍛えればいいんだよ」

 と、冷静でした。そしてIさんも、一度は上司を恨んだものの、次第に考え方が変わっていきました。

 新人に声をかけて歩み寄る方針から一転し、あえて厳しい行動をとるようになったのです。

 その一例が研修ルームの変更。

 それまではA社で一番広い会議室を使っていたのですが、それを半分ほどの小さい部屋に変更しました。研修初日に集まった人は座りきれず、席を譲り合ったり、何人かは立っていたり……。

 窮屈そうな新人達を前に、Iさんは研修のはじめにこう言いました。

「ウチの仕事は厳しいです。業務はハードでノルマもキツい。研修中であっても楽は出来ません。皆さんは、今、この部屋を窮屈に感じているでしょうが、来週になれば、この部屋にちょうどくらいの人数しか残っていないでしょう。そういう職場です。嫌だという方がいらっしゃれば、すぐに出て行っていただいてかまいません」

 A社が厳しいのは変えようがない。だったら変に期待を持たせるよりも、実態を早く分かってもらった方が相手のためになる。こうして、Iさんの思いやりは形を変えて発揮されていったのでした。

転職サクセスワンポイント講座

今回はココが問題!

短期間の職歴

短期間で会社を辞めた場合、職務経歴書に書かない人がいますが、社会保険、雇用保険などの手続きを行なった場合は、職歴が分かってしまう場合があるので、正直に書いておいた方が無難です。社会保険の手続きも行っていない場合は、「短い間であったが、あの経験は自分にとって必須だった」など、前向きなコメントを加えておくと良いでしょう。

これでサクセス!

手続きの前に確認を

社会保険等の手続きの前に、労働条件や仕事内容などの確認をしておくことが大切です。確認をしても、あいまいな回答しか得られないなど、納得できない場合は、手続きをする前に会社を去ることも1つの方法でしょう。

文・イラスト:
山本ちず

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