他人の失敗から学ぶ転職裏マニュアル 転職失敗談集3

FILE:67 残業のない会社(前編)

 面接で残業は可能かと質問されたOさん。残業を覚悟で入社したものの、実際は毎日が定時上がりで……。

≫後編を読む

イラスト1

お客様待遇?

「多少の残業はあるけど、そこは大丈夫?」

 面接の最後にこう確認されたOさん。応募したのは小さな専門商社の事務でした。

 Oさんの現在の職場は、ほぼ毎日残業。サービス残業も当たり前で、むしろ残業できない日を届け出るほどだったので、ためらいなく

「残業なら慣れています」

 と答えました。

 そのサラリとした対応が、採用担当の役員に気に入られたのか、

「できるだけ早くウチに来ていただきたい」

 とその場で内定が出ました。

 Oさんもこれを快諾。新しい職場への期待を抱き、ある程度の残業を覚悟して転職することになったのでした。

 新しい職場の同僚たちはOさんの入社に好意的で、不慣れなOさんに、何かと気を遣ってくれました。

 会社の中の案内から、仕事の内容、頭に入れておいた方がいい人間関係なども丁寧に教えてくれました。お昼休みが近づくと、

「そろそろお昼だから、休憩行こうよ」

 と行きつけの店に誘ってくれます。

 夕方、定時が近づいてくると、

「今日はもういいから。上がってよ」

 と帰宅を促してくれる人もおり、Oさんはいい会社に転職できたと、大満足で初出勤の一日を終えたのでした。

 Oさんへの周囲の親切は翌日も、その翌日も続きました。

 しかし、こんなことが3日、4日と続くと、

『いつまでお客さん扱いなんだろう? このままではうまく馴染めないのでは……』

 と逆に不安になり、焦りを感じるようになりました。

そんなの明日でいい

イラスト2

 入社5日目、いつものように昼食に誘われたOさん。

 ところがその日は新しい仕事をこなすのに時間がかかってしまい、初めて

「キリが良いとろこまで終わらせたいんで、後で弁当でも買ってきます。お先にどうぞ」

 と言ってみました。しかし

「ダメダメ! 昼休みは休むもの

 と、強引に連れ出されてしまったのです。

 さらに夕方。昼間のロスもあって、まだ作業が終わっていなかったOさんは、残業して仕事を終わらせてしまいたい、と思っていました。

 でも同僚は、いつものように退社を促すので、Oさんは、

「まだこれやりかけですし、キリのいいところまでやってしまいたいんで……」

 と、残業を希望しました。

 しかし、声をかけてくれた同僚の反応は意外なもので、

「ああそう……。でも、本当にその仕事は明日でいいから。ほら、パパッと片付けて」

 あくまでも残業するな、今すぐ帰れと言わんばかり。

「でも……」

「もうすぐ、みんなも帰るから。さっ、早く早く」

 同僚は、何が何でも、Oさんには残業してほしくなさそうな様子でした。

 面接時には、残業アリと聞いていたのに、実際はまるで違います。

 残業が無いなら無いでありがたいのですが、Oさんとしては、釈然としません。

 首を傾げつつ、Oさんは同僚に追い立てられ、帰り支度を始めました。

Oさんの定時上がりを促進する同僚の行動。そこには、ある理由があった……。
≫後編を読む

文・イラスト:
山本ちず

ソーシャルブックマークに登録 このページをYahoo!ブックマークに登録 このページをdel.icio.usに追加

▲ページのトップへ