海外キャリアの歩き方
世界各国で頑張る日本人ビジネスパーソンのキャリアリポートをお届け。文化も慣習も違う海外で働く人々のパワーを感じ、アナタのシゴトに生かそう! 第2回 アメリカ合衆国 横尾 比呂路さん

アメリカ合衆国企業研修で入ったはずが
気に入られてそのまま就職

 大学卒業後、1年間アルバイトをして貯めたお金で実現させたアメリカ留学――。それが横尾比呂路さんのその後の人生を大きく変えることになった。

「大学時代、貿易関係の仕事に就いて世界を飛び回りたいと思っていたんです。その下勉強のために留学しようと。まさかそのままアメリカで働くことになるなんて考えてもいませんでした」

 横尾さんの留学期間は1年間。単に英語を勉強するだけではなく、最後の3カ月間に企業研修が付いているプログラムを選んだ。

 研修先は自分で探すことが基本。そして履歴書を書き、面接を受けて採用かどうかが決まる。一般の就職活動とほとんど変わらない。

「自分に何ができるかを考えたときにいきついたのが“お酒の知識が活かせる仕事”。大学在学中からしていたアルバイトは、スナックやクラブでのバーデンターや酒屋など、すべてお酒にかかわる仕事でしたからね。お酒に関する知識やこだわりも人一倍でした」

 そこで、ワイナリーやブルワリー、飲料メーカーなど、お酒関係に絞って活動。その中で、将来、日本への輸出を考えているという飲料メーカーと出会い、採用が決定した。研修期間は3カ月。自分の仕事に枠をつけず、何でも積極的にこなした。その結果、研修期間が終わりに近づいた頃、社長から正社員として働かないかというオファーを受けることになる。

「帰国して就職活動する予定だったのですが、ビザの手続き費用もすべて出すからとまで言われ、そこまで自分を買ってくれるなら挑戦してみよう!とアメリカでの就職を決意したんです」
横尾 比呂路さん
PROFILE

Orca Beverage Inc.
R&D/オペレーションズ・マネジャー/ミキソロジスト

横尾 比呂路さん(33歳)

1973年、福岡県生まれ。佐賀大学を卒業後、企業研修付きの留学プログラムで米・シアトルへ1年間留学。研修先の飲料メーカー(ORCA Beverage Inc.)で見込まれ、99年10月より正社員として勤務。30歳のときにR&D/オペレーションズ・マネジャー/ミキソロジスト(調合士)に昇進。商品開発から出荷管理、広報まで幅広く担当。趣味はゴルフ、松茸狩り、フットボール観戦。

横尾 比呂路さん

「博多弁を話したい」と「若博多会」を発足。会員数は60人を越える

 すでに帰国するための航空券を買っていたため、一旦帰国。日本でビザの発給を待ち、約1年後、今度はH1-B(専門職)ビザを手に、横尾さんは再びアメリカの地を踏んだ。26歳だった。

 ドリンクの開発に始まり、ボトリング(瓶詰め)、出荷・在庫管理、広報活動、ホームページの制作まで、横尾さんの業務はとにかく幅広い。「1を2にするのは簡単。大変なのは0を1にすること。この『何もないところから何かを作り上げる』というクリエイティブなプロセスが好きなんです」と楽しそうに語る。

 横尾さんが0から開発した商品のひとつが『Americana』というルートビア(スパイスが利いたノンアルコール炭酸飲料)だ。数多くのルートビアを評価するWebサイトで2003年度に4位に輝いた。

「自分の意見を積極的に主張するアメリカでは、消費者から『あれ飲んだけどすごく美味しかったよ!』という電話がくることもあります。『自分の味覚がアメリカで認められたんだ!』とすごく大きな励みになりますね」

 社長と意見が合わず、会社を辞めようと思ったこともある。しかし、それもお互いの仕事に対する情熱からだ。

「今はグリーンカード(永住権)をサポートしてくれることになり、アメリカでやっていこうと腹をくくりました」。自ら立ち上げた「若博多会」というサークルで奥さんと出会い、2002年に結婚。プライベートも順調だ。

「アメリカのドリンク業界で自分がどこまでやれるか試してみたいですね」と瞳を輝かせる横尾さん。開発したドリンクが、アメリカだけではなく日本を席巻する日も遠くないかもしれない。

取材・文・写真/スズキマサミ

ここが困った海外生活

 食に関する意識が違いすぎましたね。夕食にハンバーガーやピザが数日続いても平気。パンにソーセージを1本挟んだだけの味気ないホットドックなど、食に対してあまりこだわりがないことに驚きました。  次に味覚の違い。塩味においしさを感じる日本人に対して、アメリカ人は甘みが勝負。飲み物やデザートなどは頭が痛くなるくらい甘い! 日本では評価される“ほんのり”なんて、アメリカでは評価の対象にならない。ドリンクの商品開発では、色にしても「これでもか!」というくらい派手な色を使わないと魅力がないと言われてしまう。味覚面と視覚面でインパクトがないとダメなんですね。そのギャップに慣れるのに苦労しましたよ。

「海外」の求人情報はこちら「フード関連業務」の求人情報はこちら

▲ページのトップへ