海外キャリアの歩き方
世界各国で頑張る日本人ビジネスパーソンのキャリアリポートをお届け。文化も慣習も違う海外で働く人々のパワーを感じ、アナタのシゴトに生かそう! 第14回 マレーシア 松田美千江さん

マレーシアお気に入りの国、マレーシアで日本語教師
世界の人々にもっと日本を知ってもらいたい!

 松田美千江さんが日本語教師を目指したきっかけは商事会社を辞めた後に行ったヨーロッパへの旅だった。旅行先の人々があまりに日本のことを知らないのだ。 「日本の場所どころか中国と区別がつかない始末。世界の人々にもっと日本を知って貰いたい、そう考えて日本語教師の道を選んだんです」

 帰国後、すぐに日本語教師養成の専門校に通い始めた。卒業後、都内の日本語学校で教師を続けて、あっという間に6年が過ぎる。その間、楽しくはあったが慣れきってしまいワクワクした心がなくなってきたのも事実。心機一転、新たな地で、もう一度スタートをきりたいと思っていた。

「そんな折、マレーシアで日本語教師を募集しているニュースが飛び込んできたんです。何度か旅行で訪れたこともあるお気に入りの国だったので、早速レジュメを送ると日本で面接をしたいという返事。トントン拍子に就職が決まり、2004年3月からクアラルンプールでの生活が始まりました」

 マレーシアは多民族国家。マレー系、中国系、インド系の人々がそれぞれの文化や習慣を保ちながら、互いを尊重して共存している。生活は珍しいことだらけである。早朝、コーランの朗読をする放送が街中に響く。イスラム教徒であるマレー系のスカーフをした女性の横をTシャツに短パン姿の中国系の子が走る。そんな光景が日常だ。日本語学校の生徒たちの考え方も皆それぞれ異なる。

「共通しているのは親切さですね。こちらに来たばかりの頃、右も左も分からない中、生徒たちがよく食事や名所に連れていってくれました」

 日本のアニメやTVドラマにはまっている生徒も多い。彼らからしばしば日本では決して日常会話では使わない言葉が飛び出してくる。

「『お父さん』という単語を教えていた時、『父上』との違いは何かと聞いてきた生徒がいました。インターネットなどで情報を入手しているらしくて本当によく知っているんですよね。私なんかより今の日本の俳優とか歌手の名前を知っていますよ(笑)」
松田美千江さん
PROFILE

語学学校『ICLS(インター・カルチュラル・ランゲージ・スクール)』
日本語教師

松田美千江さん(36歳)

1970年生まれ。國學院大学文学部卒業。商事会社勤務後、専門校の日本語教師養成コースに通う。
東京での日本語教師経験を経て、マレーシアの首都クアラルンプールの語学学校での勤務を始める。

コンクール

クアラルンプールの日本語クラスの生徒たちと松田さん(中央やや右の風船を持つ女性)

  休日には常夏の気候を生かしてスポーツを楽しむ。ゴルフのコース・デビューも果たした。安いコースならグリーン・フィーは週末でも3000円前後と驚きの料金だという。

「食事も安くて美味しいです。イスラム教の戒律に従う調理方法で作られたハラル料理、スパイシーなインド料理、日本人に馴染みやすい中国料理とバラエティに富んでいます。それが4リンギット(約120円)くらいから食べられるんですよ」

 クアラルンプールで約1年を過ごした後、近郊のニュー・タウンであるスバン校へ転勤になった。ここでは日本語教師としてだけなく、現地スタッフと他の教師たちを統括する管理責任者の地位を任されることとなる。

「一筋縄ではいかないんです。何しろ日本語を始めマレー語、ドイツ語、フランス語、韓国語など9か国語を教える教師数は約20人、生徒は700人以上になりますからね。多分、日本にいた頃より忙しくなっていると思いますがやりがいはあります。どのくらいマレーシアでこのまま暮らしていけるかはわかりませんが、この仕事はずっと続けていきたいと思っています」

 いろんな人々と出会え、生徒から学ぶことも多いのが嬉しいと笑みを浮かべる松田さん。日本語教師は彼女にとって天職なのだろう。

取材/文 梅本昌男

ここが困った海外生活

  クアラルンプールで苦労するのは公共交通が不便なことです。特にバスは時刻表がないため、いつ来るかわかりません。しかもルートがよく変更されるので、目的地にたどりつく前に降ろされてしまうことも日常茶飯事。多民族国家のため共通言語としての英語は、他の国よりもかなり通じるのですが、バスの運転手さんは総じて話せないことが多いのも難です。
 それだけならいいのですが、突然、運転手さんがバスを降りて食事始めることも! でも、乗客は慣れているのかまったく動じないんですよね。そして、運転手さんは15分くらい経つと戻ってきて何事もなかったように再び運転を始めます。日本じゃ考えられないですよ。

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